あの日、欲望の大地で (試写会)
愛ゆえに 女ゆえに
公式サイト http://yokubou-daichi.jp
9月26日公開
監督・脚本: ギジェルモ・アリアガ
「アモーレス・ペロス」「21グラム」「メルキアデス・エストラーダの3度の埋葬」「バベル」の脚本を手がけ、今作が長編監督デビュー作。
音楽: ハンス・ジマー
主演のシャーリーズ・セロンが、プロデューサーも兼ねています。
高級レストランでマネージャーとして、てきぱきと仕事をこなすシルヴィア(シャーリーズ・セロン)だが、私生活では行きずりの男と安易に肉体関係を持ち、自傷行為に走る。そんな彼女の前に、カルロスという男が現れる。
秘密を抱え、心に傷を負っている彼女は、過去と向き合う事になる。
シャーリーズ・セロンとキム・ベイシンガーの出演は知っていましたが、試写会場の入り口でもらったアンケート用紙から、監督が「21グラム」などの人だと知りました。
この人の作品て、やたら時間軸があちこち移動するんですよね。今回も同じで、時間をシャッフルしすぎ。こんなに混ぜなくてもいいと思うんですけど。
自分の頭の中で、時間軸通りにストーリーを並べ直さないといけないんですよね。
キム・ベイシンガーとシャーリーズ・セロンが母娘だと、予告編などで知っていたのでまだよかったですけど、何も知らないで見たら、始めのうちはかなり混乱すると思います。
登場人物も最初は誰なのか説明もないのでわからず、徐々に明かされていくのです。
話は大きく分けて4つ。
① 4人の子供がいる人妻ジーナ(キム・ベイシンガー)と、妻子持ちの男性ニック(ヨアキム・デ・アルメイダ)が、砂漠にあるトレーラーハウスで密会を重ねる。
② ジーナとニックが情事の最中に、火事でトレイラーハウス内で死んだあと、ジーナの娘マリアーナ(ジェニファー・ローレンス)と、ニックの息子サンティアゴ(J・D・パルド)が互いの家族に内緒で付き合い始める。
③ 12歳の娘マリアとメキシコで暮らしているサンティアゴ。
④ レストランで働いているシルヴィアの様子。
最後に話がつながって、ジーナが密会を続けた理由や、マリアーナがなぜ生まれたばかりの娘とサンティアゴを置いて、出て行ってしまったのかがわかります。
ニックが不倫していた理由はわかりませんが、ジーナが不倫するようになった理由は、女性にはわかるし同情もできます。
4人兄弟の一番上のマリアーナは、母の様子に不信感を持ち、娘としては当然とも思える行動に出ます。
娘に気づかれたと感じたジーナは、ニックとの密会をやめようとしますが...
夫にも娘にも言えない、ジーナの女としての辛さと苦しみ、そして心の葛藤。
父親にも幼い弟や妹にも言えない、マリアーナの気持ちと秘密。
何も告げられずマリアーナに出て行かれたサンティアゴも、きっと悩み苦しんだと思いますね。それと、マリアーナとサンティアゴの交際を知った親達も辛いし、悲しんだでしょう。
登場人物たちが悪人でないので、やりきれないですね。
愛ゆえに苦しみ傷ついた人達。
マリアーナの秘密は、早くに推測できたので驚きませんでしたが、ジーナが不倫を続けた理由はそうだったのかあと溜息。
時間の激しいシャッフルにはちょっと閉口しますが、この監督なら多分ラストは希望があるものだろうと、その点は安心して見られました。
ラストはうるっときました。
それと、密会のトレーラーがある場所や崖の上に立つシャーリーズなど、風景が心情を表すかのように、とても合っています。
シャーリーズ・セロンが大胆なヌードを披露していますが、50代半ばのキム・ベイジンガーも、ベッドシーンでヌードを披露しているのが驚きです。w(゚o゚)w
ジェニファー・ローレンスは今作で、ヴェネチア映画祭の新人賞を受賞しています。
ネタバレになるので話せませんが、あるシーンの演技がとても良かったと思いました。
レストランの料理人で、妻帯者でありながらシルヴィアと関係を持ち、彼女にご執心のジョンは、見覚えがあったけど、どこで見たのか思い出せませんでした。「マイ・ビッグ・ファット・ウェディング」のお婿さんだった俳優なのね。髪型が全く違ったので、印象が違うのよ。
今作のイケメン!
出演シーンは少ないものの、いい男だわと思ったのが、大人になったサンティアゴ役の、ダニー・ピノ。
テレビシーズ「コールドケース」に出演しているようですね。
(鑑賞日9月9日)
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監督:ギジェルモ・アリアカ
2008年 アメリカ映画 106分 PG12
キャスト:シャリーズ・セロン
キム・ベイシンガー
ジェニファー・ローレンス
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なるほど風子さんは4つに分けましたか。私はマリアとの関わりも含めて現在のシルヴィアというくくりで大きく3つに大別して観ていました。いずれにしてもそれぞれが係わり合いを持ちつつ、パラレルに進行する展開は、最初ちょっと戸惑いますがなれるとむしろ解りやすいぐらいでした。
ちょっと丁寧に描きすぎて全ての事柄をセリフで説明してしまった嫌いはあるかなぁと。そこまで言わなくても解るよって感じ?(笑)
女優陣が素晴らしい演技でしたよね^^
投稿: KLY | 2009年9月29日 (火) 01:16
★KLYさん
確かに戸惑うのは、登場人物が誰なのか、全員の関係がわかるまででしたね。
>女優陣が素晴らしい演技でしたよね^^
アカデミー賞女優ふたりはさすがでした。
新人のジェニファー・ローレンスも、今後が楽しみですね。
投稿: 風子 | 2009年9月29日 (火) 09:00
9月に公開されてたんですね。
田舎にまで来るのは、三か月もかかってます。
母の不倫の方がわかりましたか?
あたしは、ちょっとわかんなかった。
母の役割もほって、不倫に走っていくのが??それが本能で欲望かな・・とも思いましたが、ニックの不倫は納得いきました。
あの妻じゃなあ、って。
投稿: sakurai | 2010年1月22日 (金) 08:54
★sakuraiさん
そちらでも公開されたんですね。
>ニックの不倫は納得いきました。
あらま、そうですか。(^-^;
母親の役割もほおってというのは、どうかと思いますが、ジーナのような手術をした人は、女としてかなり辛く悲しい思いをするし、それを誰にも話せないんですよ。
投稿: 風子 | 2010年1月22日 (金) 16:31
TBありがとうございます。
ジーナの姿を見てマリアーナがどう思ったのか、それは彼女の行動に集約されていましたね。
マリアーナがサンティアゴに惹かれ、彼も彼女に惹かれる。磁石のSM極のように引き寄せられる姿は、あとで考えると納得しました。
マリアーナがなぜ姿を消したのかも理解できます。
希望のあるラストがよかったですね。
投稿: ミス・マープル | 2016年3月29日 (火) 11:38
★ミス・マープルさん
それぞれの苦悩と葛藤が切なかったです。
投稿: 風子 | 2016年3月29日 (火) 12:05