ヴィヨンの妻 ~桜桃とタンポポ~ (試写会)
夫婦の形は不定形
こんな形もあり
公式サイト http://www.villon.jp
10月10日公開
今年は太宰治生誕100年
太宰作品の「ヴィヨンの妻」をベースに、「思ひ出」「燈籠」「姥捨」「きりぎりす」「桜桃」「二十世紀旗手」などのエッセンスを融合したオリジナルストーリー
モントリオール世界映画祭最優秀監督賞受賞作
監督: 根岸吉太郎
出演: 松たか子 浅野忠信
室井滋 伊武雅刀 広末涼子 妻夫木聡 堤真一
秀でた才能を持つ小説家の大谷(浅野忠信)と誠実で美しいその妻・佐知(松たか子)。大谷はその才能とは裏腹に、お酒を飲み歩き、借金を重ね、妻以外の女性とも深い関係になってしまう破滅的な生活を送っていた。ひょんなことから夫の借金を返すために飲み屋・椿屋で働き始めた佐知は、あっという間にお店の人気者になり、日に日に輝きを増していった。そんな佐知は、常連客の一人、大田にのファンの青年・岡田(妻夫木聡)や昔佐知が振り向いてもらえなかった弁護士・辻(堤真一)から好意を寄せられるのだった。見違えるように美しくなっていく佐知に嫉妬する大谷。そして大谷は、書くことそして生きることに苦悩し、愛人の秋子(広末涼子)と心中未遂を起こしてしまう。それを知った佐知は...
(チラシより)
上映後に主演の松たか子さんと、漫画家の倉田真由美さん(9月下旬に入籍したばかりで、妊娠8ヶ月)のトークショーがある、「妻」限定 特別試写会に行ってきました。
当日は、左手薬指に指輪をしてくる事が条件。
ネタバレ感想となっています。
ある夜、大谷が飲み屋の椿屋から5千円を盗んで帰って来て、飲み屋の夫婦(伊武雅刀 室井滋)が大谷を追って家に来ます。夫はその場から逃げてしまい、何とか警察沙汰だけは避けたい佐知は、幼い息子をおぶって翌日椿屋へ行きますが、お金を返すあてはありません。
どうするのかなあと見ていましたが、道々思案した佐知は、「返せるあてができて、夫が今日返しに来るから、それまで私は人質としてここで働きます。」とでまかせを言います。若くてきれいな佐知は客の人気者になり、チップも客からもらえます。
「わたし、お金になるんですね。」と自分の魅力に気づく佐知。
たまたま、夫が本当にキャバレーかなんかのママと椿屋に現われて、そのママがお金を返してくれます。
お金に困っている佐知は、その後も椿屋で働き続けます。
椿屋の常連客には、出版社の人や、夫の愛人の秋子もいる。
店の客で、大谷の作品のファンである工員の岡田は、佐知に思いを寄せ、椿屋から帰る彼女と、一緒に電車に乗って帰るようになります。
椿屋で働き始めてから、きれいになっていく妻を見て、浮気をしているのではと大谷は疑います。
自分は散々浮気をしているくせに、まったく男って ┐(´-`)┌
隣りの車両から、こっそり佐知と岡田の様子を見ている大谷は、情けなくもあり、かわいくもあり。(笑)
たまたま車内で佐知は、昔思いを寄せていた辻と出会い、彼も椿屋へ来ます。
辻は、昔は司法試験合格を目指す貧しい青年でしたが、今は弁護士となり、お金持ちの令嬢と見合いをしました。
佐知は辻のためにマフラーを万引きし、交番に連れて行かれましたが、司法試験を目指す辻はかかわりたくなくて、その場から去ってしまいます。
その時佐知を助けたのが、大谷でした。それが2人のなれそめなんですね。
佐知も純情可憐な乙女というわけではないんです。なかなか逞しく、したたかな面も持っています。
ダメ夫だけど、自分を愛してくれていると思っていた佐知でしたが、夫と秋子の心中未遂で、大きく傷つきます。
それでも夫が殺人罪に問われるかもしれないと聞き、必死に辻に弁護を頼みます。
警察で秋子とすれ違い、その時の勝ち誇ったような彼女の表情を見たときの佐知の気持ちを思うと...
「夫に心中未遂をされた妻はどうすればいいんですか。」と涙をこぼしながら大谷に問う佐知に、激しく同情。
釈放されても、どこにも行くところがない大谷は、椿屋に来ます。
「勝手かも知れないけれど、許してくれ。生きていけそうな気がするんだ。だから許してくれ。」
店を出た大谷を追いかけ、「わたし達は生きてさえいればいいんです。」と言って夫の手を握り、夫も握り返すラストシーンが、とってもいい感じです。
夫婦のよさを感じたせいか、心が落ち着きました。
なんだかんだあっても、結局愛し合ってる夫婦なんじゃないの?
佐知は大谷が好きなんです。そして、大谷が釈放後椿屋に来た事、許してくれと言った事で、夫の自分に対する気持ちに、自信が持てたのではないでしょうか。これが根底にあるから、夫のした事、している事を許せるのではないでしょうか。
ただひたすら耐える妻というより、明るく逞しく、生きる事に前向きな女性という感じでした。
辻の事務所から出てきた佐知の、女郎のような歩き方がうまい!と思いました。この歩き方の変化で、何があったのかを語っていますね。
松さんの演技力を一番感じたシーンです。
パンパンから買った口紅を塗る様子や、口紅を拭い、口紅を置いていくシーンも、佐知の心情を見事に物語っていました。
大谷にしても、佐知は自分を理解してくれているし、許してくれて見捨てない存在だとわかっているのでしょう。関係を持った女性はたくさんいるけれど、彼にとって、やっぱり佐知は他の女性達とは違う特別な存在だし、必要な存在でもあるのでしょう。
自分は絶対、大谷みたいな夫はごめんですけどね。
大谷ほどひどくないけど、登場する男性陣は、みんな結構情けない。(爆)
妻夫木くんは純情青年だけど、夫の大谷にあなたの奥さんをくださいなんて言うのは、どうかと思いますけど。
誰でも長所と短所があり、短所が許容範囲かどうかは、人それぞれに違いますからね。10のうち9が短所であっても、残りの1の長所がそれに勝るとか、すごく良いとか思えれば、やっていけたりするんですよね。
松たか子さんは、実力を評価している大好きな女優さんです。日本の女優さんでは一番好きかも。
滑舌のいい役者さん好きですし、松さんはコメディーもこなせるし、歌も歌えますよね。
この試写会に応募した理由のひとつが、生で松さんが見られる事。
この試写会の様子は、公式サイトのブログでも紹介されています。
映画やテレビでは、童顔で幼く見える松さんですが、上映後、壇上に現われた松さんは、落ち着いた大人の女性って感じでした。
漫画家の倉田真由美さんは、話を聞いていると、やっぱりこの人ってダメな男に引っかかるというより、好きなタイプがそういう男達なのねと思いましたよ。(爆)
松さんが、佐知は結構ぶっ飛んでる女性だと思うと言ってましたが、同感ですね。
倉田さんは、こういう女性が息子の嫁だったら最高ですねと言っていました。
松さんは「夫と私はTシャツのたたみ方が違うけど、それは私がたたみ直せばいい事で...」
客席の妻の方のひとりが、「うちの夫に直して欲しい点は、そういう細かい事ばかりですが...」と(笑)
妻って細かい事で、ついガミガミ言っちゃったりすんですよねえ。(´Д`)ゞ(反省)
客席からもいくつか質問を受け付けて、お2人が答えていました。
そうそう、この日の司会は、ワイルドスピードMAXのプレミアで見たばかりの、伊藤さとりさんでした。
トークショーのあと、ゲスト2人が客席の中に入ってフォトセッションがあるというので、びっくりしましたよー。
きゃー、より近くで松さんが見られたー。(アホか)
肌がきれい。
倉田真由美さんも、肌のきれいな人でしたよ。
退場の時に松さんに声をかけて、握手してもらいましたー。
この日、これが一番うれしかったかも~。
トークショーの詳しい様子は、東宝のホームページに載っています。
こちら
(鑑賞日10月3日)
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» ヴィヨンの妻 -桜桃とタンポポ- 夫婦って深いなあ〜 [労組書記長社労士のブログ]
【 50 -12-】 当たっても当たっても、すでに予定がある夜の試写会ばっかりで、妻が独りで行ったり、人にあげたり・・・
でもようやく空いている夜の試写会が当たった(^_^)v
今年は太宰治生誕100周年でいくつか太宰治の作品が映画化されているようで、この映画が皮切りだそうだ。
しかし太宰作品というのは自分は小学校6年の時に「走れメロス」を読んだのが最初で、その後は中学生時代に半強制的に何冊か(何だかは思い出せん、人間失格と斜陽は読んだ気がするが・・・)読まされた記憶の程度。
そしてこの映画の原... [続きを読む]
» ヴィヨンの妻 ~桜桃とタンポポ~ [LOVE Cinemas 調布]
太宰治生誕100周年のトップを切って公開される作品。同日公開に『パンドラの匣』がある。主演は『K-20 怪人二十面相・伝 』の松たか子。共演に『剱岳 点の気』の浅野忠信、『おくりびと』の広末涼子、『ノーボーイズ、ノークライ』の妻夫木聡、堤真一、室井滋、伊武雅刀といった名優が揃う。監督の根岸吉太郎は第33回モントリオール世界映画祭で監督賞を受賞した。... [続きを読む]
» ヴィヨンの妻〜桜桃とタンポポ〜 / Villon 's Wife [我想一個人映画美的女人blog]
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今年は太宰治 生誕100年(1909〜1948)
ということでいくつか太宰の小説が映画化されている中、
本作は太宰の「ヴィヨンの妻」をベースに、「思ひ出」「灯篭」「姥捨」「きりぎりす」「桜桃」「二十世紀旗手」を融合させ、
田中陽造が松たかこをイメージして書き下ろしたという脚本。
『サイドカーに犬』などの根岸吉太郎監督作... [続きを読む]
» 「ヴィヨンの妻 〜桜桃とタンポポ〜」(2009) [choroねえさんの「シネマ・ノート」]
これはとてもよかったです♪個人的には期待以上で今年観た邦画の中でもかなり上位になりそうです。(^^ゞ
太宰作品は若い頃に「走れメロス」に始まり、有名どころの「人間失格」や「斜陽」「晩年」などは読みましたが、単純な私にはあまりに暗くて理解できず、それ以上読みたいと思う気持ちになれませんでした。^^;
来年「人間失格」が映画化されるというので、そろそろ読み返してみようかと思っていたら、この作品が先に公開になったので、「ヴィヨンの妻」も読んでみました。あの短編をとても上手く映画としてまとめ..... [続きを読む]
» ヴィヨンの妻 ~桜桃とタンポポ~ [映画通の部屋]
「ヴィヨンの妻 ~桜桃とタンポポ~」 製作:2009年、日本 114分 PG-1 [続きを読む]
» 『ヴィヨンの妻 〜桜桃とタンポポ〜』 [京の昼寝〜♪]
□作品オフィシャルサイト 「ヴィヨンの妻 〜桜桃とタンポポ〜」□監督 根岸吉太郎 □脚本 田中陽造 □原作 太宰治 □キャスト 松たか子、浅野忠信、室井 滋、伊武雅刀、光石 研、広末涼子、妻夫木 聡、堤 真一、山本未來、新井浩文■鑑賞日 10月12日(月)■劇場 TOHOシネマズ川崎■cyazの満足度 ★★★☆(5★満点、☆は0.5)<感想> 入場開始のアナウンスが始まったので耳を澄ましていると、まだ日が浅い担当者なのか、あるいは映画を知らない担当者なのかわからないが、明らかに“ブイ... [続きを読む]
» 恋する気持ちの原点。『ヴィヨンの妻 〜桜桃とタンポポ〜』 [水曜日のシネマ日記]
戦後の日本を背景に道楽ざんまいの小説家の夫と彼を支える妻の姿を描いた作品です。 [続きを読む]
» ★「ヴィヨンの妻 〜桜桃とタンポポ〜」 [★☆ひらりん的映画ブログ☆★]
TOHOシネマズの1ヶ月フリーパスもこれで打ち止め。
合計18作品をタダで見ることができました。
本作は、文豪・太宰治の原作・・・
2009年は太宰の生誕100周年だったのね。 [続きを読む]
妻限定試写会って面白いですね。(^^ゞ
最近の松さんの活躍はめざましいですよね。
30代になられて結婚もされて、一番ノッている時期なのかもしれません。
優れた脚本、演出に加え、キャストも皆ピッタリで見応えのある作品でした。
こちらからもTBさせてくださいね♪
投稿: choro | 2009年10月16日 (金) 22:28
★choroさん
人妻ばかりで、上映後のQ&Aはなかなか楽しかったですよ。
この作品は既婚者でないと理解しにくいと思いますし、ターゲットもそういう人達だからではないでしょうか。
松さんは親の七光りでなく、実力のある女優さんですよね。今後も楽しみです。
TBありがとうございます。
投稿: 風子 | 2009年10月16日 (金) 23:19