シャネル&ストラヴィンスキー
芸術家同士の恋はあったのか
公式サイト http://chanel-movie.com
R18
1913年、パリのシャンゼリゼ劇場。
イゴール・ストラヴィンスキー(マッツ・ミケルセン)は、《春の祭典》の初演を迎えていた。来場していたココ・シャネル(アナ・ムグラリス)は、その音楽に魅了された。しかし、あまりに斬新な《春の祭典》は、観客には受け入れられず、ストラヴィンスキーは、悲しみに打ちひしがれる。
7年後の1930年。
すでにデザイナーとして富と名声を得ていたシャネルは、心から愛した男を事故で亡くし、悲しみにくれた。一方ストラヴィンスキーは、ロシア革命後、全ての財産を失って難民となり、パリで亡命生活を送っていた。
そんな二人が、ミシア・セール(ナターシャ・リンダンジェ)とセルゲイ・ディアギレフ(グリゴリイ・マヌロフ)の計らいで出逢う。ストラヴィンスキーの才能に惚れ込んだシャネルは、彼が仕事に打ち込めるようにと、ガルシュに所有する自分のヴィラで暮らすよう提案すると、彼は妻と4人の子供を連れて、ヴィラへ移り住む。
シャーリー・マクレーン主演の「ココ・シャネル」、オドレイ・トトゥ主演の「ココ・アヴァン・シャネル」は、私好みではないかもと思い、レンタル待ちにすることにしていて、未見です。
タイトル通り、ふたりの関係にスポットを当てているので、シャネルのファッションを見たい人には、物足りないかもしれませんね。
ストラヴィンスキーといえば、去年見た舞台の兵士の物語(英国ロイヤル・オペラ・ハウス版)も、彼の作曲です。
《春の祭典》は、キリスト誕生以前のロシアの原始宗教を扱っていて、春の儀式のために生け贄の少女が選ばれ、ひたすら踊り続けて絶命すると言う話。
初演は野次と嘲笑で劇場全体が騒然となり、大センセーションを巻き起こした事で有名。
音楽だけでなく、振付も当時のバレエにはなかった斬新なものだったから、よけいだったのでしょう。
その振付は、天才バレエダンサーで振付師でもあったニジンスキー。今考えると、すごい組み合わせだわん。
ロシア革命後、亡命したロシアの芸術家達は、みな大変な苦労をしていますよね。アメリカに亡命したラフマニノフも、生活のためにハードな演奏活動をしていたし。
ちなみにストラヴインスキーもナチスのせいで、1939年にはヨーロッパからアメリカへ移ったんですよね。
シャネルの提案を受けたのも、金銭的な理由が大きかったのかな。
シャネルが自宅を提供したのは事実だけど、この映画で描かれている肉体関係はフィクション。もしかしたら、あったのかもしれないけれど。
互いを刺激しあった、斬新的な芸術家のふたり。
ひとりは《春の祭典》の再演に命を賭け、もうひとりは新しい香水創りに魂を注ぎます。
映画では、シャネルの家に住んでしばらくしてから、ふたりが関係を持ちます。
シャネルが普段、黒い服をきていますが、ストラヴィンスキーと関係を重ねるようになると、白い服。気分が変わると、着る物も変わるのは、よくある事ですよね。
ストラヴインスキーの音楽も、情熱的になっていきます。
ストラヴィンスキーは、カメレオン作曲家と言われるほど、作風を次々つきと変えていった事で、有名でもあります。
彼の机はインク壺や筆記用具が整然と並べられていて、残された手書きのスコアの丹念な筆跡から、厳密で正確な仕事ぶりがわかると言われていますが、映画でも、この点を描写していましたね。
ストラヴィンスキーの奥さんは病弱だけど、夫の曲の校正を手がけていて、夫の仕事のサポーターでもあります。
シャネルの家は、モノトーンのセンスのいい内装ではありますが、生活感がありませんよね。独身だから当然ですが、家族という温かみは感じられません。
ストラヴィンスキーの奥さんのセリフに、シャネルという人は明るい色が嫌いなの?というのがありますが、当然でしょう。彼女は調度品に、布でアレンジをします。
シャネルと奥さんの趣味や性格の違いがこれに表れていて、うまい演出ですね。
シャネルの広告モデルだった事もあるアナ・ムグラリスは、着こなしも決まっていますね。その中でも、《春の祭典》の再演の時の彼女が、一番美しかったと思います。
で、私の目当ては、マッツ・ミケルセン。
玄関前の階段を上がる時、ズボンをはいていても、お尻が引き締まってるわと思いましたが、それから少しして全裸でベッドシーン。
ん~、やっぱり引き締まってる。(わたしは何を見に行った)(;´▽`A``
もともとアスリートで、ダンサーだった事もある人ですからね。
シャルネルとの関係も止められず、家族を捨てる事も出来ないストラヴィンスキー。
夫とシャネルの関係に気づいて苦しむ妻は、子供達も夫とシャネルの関係に気づき始めたのを感じ、シャネルの家を出る決意をします。
こういう3人の関係の映画は、多々ありますね。
シャネルは自立した強い女性ですが、妻も別な強さを持った女性。
女はいつもしょーもない男を支える。
やっぱり世界は女で持っている?(笑)
(鑑賞日1月22日)
« インビクタス/負けざる者たち (試写会) | トップページ | ブリジストンのCM »
「【映画】さ行」カテゴリの記事
- ジョン・ウィック:コンセクエンス(2023.10.03)
- ザ・ホエール(2023.05.01)
- シャザム!~神々の怒り~(2023.03.28)
- ザリガニの鳴くところ(2022.12.25)
- ザ・メニュー(2022.12.18)
コメント
トラックバック
この記事へのトラックバック一覧です: シャネル&ストラヴィンスキー:
» シャネル&ストラヴィンスキー [LOVE Cinemas 調布]
シャネル50周年記念作品としては『ココ・シャネル』、『ココ・アヴァン・シャネル』についで3作品目。『ドーベルマン』のヤン・クーネン監督が、シャネルとストラヴィンスキーの恋愛劇を軸に香水「N°5」の誕生秘話や「春の祭典」再演にかける想いを綴った作品だ。主演は『そして、デブノーの森へ』のアナ・ムグラリスと、『誰がため』のマッツ・ミケルセン。... [続きを読む]
» シャネル&ストラヴィンスキー/COCO CHANEL & IGOR STRAVINSKY [我想一個人映画美的女人blog]
{/m_0150/}ランキングクリックしてね{/m_0150/}
←please click
ココ・シャネル生誕125周年ということで、昨年から続々公開している
シャネル映画のラストがこちら。
監督は「ドーベルマン」のヤン・クーネン。
当初の予定では、「エクソシスト」のウィリアム・フリードキン監督がメガホン!
と言われててかなり期待してたんだけど、いつの間にか交代になっちゃってたのね、、、、。
週明け、渋谷にて鑑賞{/hikari_pink/}
先に公開された2作も、シャネルが成功するまで... [続きを読む]
» 「シャネル&ストラヴィンスキー」(2009) [choroねえさんの「シネマ・ノート」]
昨年公開されたシャーリー・マクレーン主演の[http://blogs.yahoo.co.jp/country_rabbit_mk/58533226.html 「ココ・シャネル」]、オドレイ・トトゥ主演の[http://blogs.yahoo.co.jp/country_rabbit_mk/58689542.html 「ココ・アヴァン・シャネル」]に続き、第3弾となるシャネルの伝記映画は、今まであまり注目されることのなかった、ロシアの作曲家ストラヴィンスキーとの物語でした。
ストラヴィンスキ..... [続きを読む]
» 「シャネルとストラビンスキー」と「ココ・アヴァン・シャネル」 [映画の話でコーヒーブレイク]
昨年見たシャーリー・マクレーン主演の「ココ・シャネル」と合わせて、シャネルの伝記映画を3本見ました。
・「ココ・シャネル」は幼少期から亡くなるまでを網羅
(シャーリー・マックレーン、バルボラ・ボブローヴァ主演。米・伊・仏合作)
・「ココ・アヴァン・シャネル」はデザイナーとして成功するまで
(オドレイ・トゥトゥ主演。フランス映画)
・「シャネルとストラビンスキー」は有名デザイナーとして成功を修めた後
(アナ・ムグラリス主演。フランス映画)
を描いており、
「ココ・アヴァン・... [続きを読む]
» 『シャネル&ストラヴィンスキー』 Coco Chanel & Igor Stravinsky [かえるぴょこぴょこ CINEMATIC ODYSSEY]
ビターなオトナ感に惚れ惚れ。映像と音楽とが表現するパッションとエモーション。
1913年のパリ。ココ・シャネルは、酷評をあびたロシア・バレエ団の「春の祭典」初演に心を動かされ、7年後にその亡命した作曲家イゴール・ストラヴィンスキーに再会する。カール・ラガーフェルドとシャネルのメゾンが全面的にバックアップしたのは結局のところ、『ココ・アヴァン・シャネル』 ではなくて本作の方だったのだよね。シャネルのミューズである美しきアナ・ムグラリスがココ・シャネルの役を演じることは、ラガーフェルド自らがドレス... [続きを読む]
» 「シャネル&ストラヴィンスキー」:新橋駅前バス停付近の会話 [【映画がはねたら、都バスに乗って】]
{/kaeru_en4/}この豪華な建物は、何だ?
{/hiyo_en2/}昔の新橋駅を再現した建物よ。
{/kaeru_en4/}へえ。あの当時としてはモダンな建物だったんだろうなあ。
{/hiyo_en2/}シャネルやストラヴィンスキーがモダンだったようにね。
{/kaeru_en4/}ストラヴィンスキーなんて、モダンすぎて、公演は人々から不評を買っちゃった。
{/hiyo_en2/}そこに手を差し伸べたのが、当時すでに飛ぶ鳥を落とす勢いのココ・シャネル。
{/kaeru_en4/}忙しくてど... [続きを読む]
» シャネル&ストラヴィンスキー [心のままに映画の風景]
1913年のパリ、シャンゼリゼ劇場。
新作「春の祭典」の初日を迎えるイゴール・ストラヴィンスキー(マッツ・ミケルセン)だが、観客は斬新な... [続きを読む]
» 映画「シャネル&ストラヴィンスキー」モデルとしか思えない美しさ、美意識が隅々まで [soramove]
「シャネル&ストラヴィンスキー」★★★☆
アナ・ムグラリス、マッツ・ミケルセン、アナトール・トーブマン主演
ヤン・クーネン 監督、119分 、 2010年1月16日公開、2009,フランス,ヘキサゴン・ピクチャーズ
(原題:COCO CHANEL & IGOR STRAVINSKY)
→ ★映画のブログ★
どんなブログが人気なのか知りたい←
「シャネルの映画がも3本目、
決定版!と思えるような作品には結局... [続きを読む]
» 「シャネル&ストラヴィンスキー」 [みんなシネマいいのに!]
この1年はシャネル生誕100年ということで、3本の映画が公開だが、その最後を飾 [続きを読む]
» *『シャネル&ストラヴィンスキー』* ※ネタバレ少々 [〜青いそよ風が吹く街角〜]
2009年:フランス映画、ヤン・クーネン監督、マッツ・ミケルセン、アナ・ムグラリス主演。 [続きを読む]
» シャネル&ストラヴィンスキー [迷宮映画館]
ココ・シャネルの映画化第三弾は、なかなか官能的。 [続きを読む]
» 『シャネル&ストラヴィンスキー』 [シネマな時間に考察を。]
大胆で容赦のない芸術、そして愛。
革新的な美の追求はスキャンダラスな愛に似て。
彼の楽譜と彼女のデザインに下書きは、ない。
『シャネル&ストラヴィンスキー』
COCO CHANEL IGOR STRAVINSKY
2009年/フランス/119min
監督・脚色:ヤン・クーネン
出演:... [続きを読む]
» シャネル&ストラヴィンスキー [C'est joli〜ここちいい毎日を〜]
シャネル&ストラヴィンスキー09:フランス◆原題:COCO CHANEL IGOR STRAVINSKY◆監督:ヤン・クーネン「ドーベルマン」◆出演:マッツ・ミケルセン、アナ・ムグラリス、エレーナ・モロゾヴァ、ナターシャ・リンディンガー、グリゴリイ・マヌロフ◆STORY◆191...... [続きを読む]
» シャネルストラヴィンスキー [日っ歩~美味しいもの、映画、子育て...の日々~]
シャネルストラヴィンスキー [DVD]/マッツ・ミケルセン,アナ・ムグラリス,エレーナ・モロゾヴァ
¥3,990
Amazon.co.jp
伝説のファッションデザイナー、ココ・シャネルとパリに亡命していたロシアの天才作曲家、イゴール・ストラヴィンスキー。1913年5月29日... [続きを読む]
» シャネル&ストラヴィンスキー [いやいやえん]
【概略】
1913年のパリ。「春の祭典」の初演で失意に打ちひしがれたストラヴィンスキーは、悲しみに暮れるシャネルと出会い恋に落ちる。
ドラマ
マッツ・ミケルセンがみたくて借りました。
ストラヴィンスキーは作曲家で、ココ・シャネルは「シャネルの創業者だよね?」くらいの知識しかない状態での鑑賞(ブランド品に興味ないので)。
シャネルの援助を受けはじめたストラヴィンスキーとその家族。しかしシャネルとストラヴィンスキーが、ちょっとピアノの連弾した位で急速に接近して、その後すぐに情事、情... [続きを読む]
前2作も観たのですけど、私は特に男と言うこともあって、シャネル自体に何にも知識を持ち合わせてなかったんですね。ココってカレー屋しかしらんぞ?ってなもんでして…。
だからその2作で予習して本作をみたという感じでした。私みたいに何も知らない男が本作だけを見ると、シャネルなんだか何だかさっぱりだと思います。ま、そもそもそんな人は観ないか。(笑)
投稿: KLY | 2010年1月24日 (日) 00:24
★KLYさん
女性ならココ・シャネル自身について、何らかの知識を持っている人は多いのではと思います。
確かにシャネルについての知識ゼロの人は見に来ないと思いますが、R18だと、そういうシーンだけ目当ての男性客とかも中にはいるようですけど。
投稿: 風子 | 2010年1月24日 (日) 00:40
こんにちは、
TBありがとでした。
お返ししたんですが入らないですか??
投稿: mig | 2010年1月24日 (日) 09:33
★migさん
TBありがとうございます。
ちゃんと届いております。
承認制なので、反映されるまでにちょっとお時間がかかるときがありますが、お許しくださいませ。m(_ _)m
投稿: 風子 | 2010年1月24日 (日) 13:55
風子さん、こんばんは。
TBありがとうございます。
「春の祭典」はロシアの原始宗教を扱っているのですか。衣装や髪型がアイヌと似ているなぁ~と思っていました。
ストラビンスキーはピアノで作曲し、楽譜におこすのは隣の部屋にいる奥さんが担当しているように思えたのですが・・・?
投稿: ryoko | 2010年1月26日 (火) 00:32
★ryokoさん
>アイヌと似ているなぁ~と思っていました。
衣裳とか髪型とか、そんな感じでしたね。
ストラヴィンスキーは、自分で5線を引いていましたし、机には書いた楽譜がのっていたシーンもありましたよ。
投稿: 風子 | 2010年1月26日 (火) 08:07
こんにちは。
コメントありがとうございます。
マクレーンの方のはTV映画だったので、アレでしたが、オドレイの『ココ・アヴァン・シャネル』も私は気に入りましたよー。
が、前二作は男優がそれほどに好みじゃなかったのに比べ、本作のマッツは完璧でございました。
音楽家なのになんてステキな裸体だったのでしょう♪
マッツはダンスもやってたんですか?!素晴らしいー。
投稿: かえる | 2010年1月27日 (水) 02:02
★かえるさん
>マクレーンの方のはTV映画だったので
あら、そうだったのですか。
マッツ・ミケルセンは40代であの体は、偉いですよねえ。
投稿: 風子 | 2010年1月27日 (水) 13:45