春との旅 (試写会)
老後の面倒は誰がみる
公式サイト http://haru-tabi.com
5月22日公開
原作・脚本・監督: 小林政広
まだ寒い、北海道の四月。
母の死後、春(徳永えり)は地元の小学校の給食係をして、元漁師の祖父・忠男(仲代達矢)を支えてきたが、廃校となって失職。東京に働きに出ようと考えるが、足の不自由な忠男を一人で置いて行く事はできない。そこで、老いた忠男の受け入れ先を求めて、長年疎遠になっていた、東北・宮城の各地に住む忠男の姉兄弟を訪ね歩く旅に出た。
単に、日時の都合よかったという理由で、応募した試写会です。(^^;
上映前に、小林政広監督の舞台挨拶がありました。
過去の映画で、スター俳優さんに色々脚本に注文をつけられたり、もう帰るぞとか脅されたりしたことがあって、スター俳優さんを起用するのは嫌だったけど、仲代さんには、いい脚本だとほめられて、脚本のせりふは変えませんと言われたそうです。
その代わり、演出が悪いとか言われたらどうしようかと思ったそうです。
仲代さんは偉ぶったり、わがままを言うこともなかったらしいですね。
さて、春と忠男が最初に訪ねるのは、一番そりが合わなかった、忠男の兄夫婦(大滝秀治,菅井きん)。
次に会いに行った弟の行男は、内縁の妻(田中裕子)から服役中だと聞かされる。
鳴子で温泉旅館を切り盛りする、しっかりものの未亡人の姉(淡島千影)。
仙台で不動産業をしている弟道男(柄本明)と、その妻(美保純)。
それぞれ家庭の事情と、忠男への愛憎がある。
自分は兄弟がいないので、実感することのない感情。
でも夫を見ていると、わかるところもあります。
兄には、いいたい事を言って、突っかかったりします。でも、兄として、一目置いているところもある。
弟達には、小さくて(体は大きいけど)守ってやるものという意識があるように思います。庇護してやるべき相手という感じかな。
特に末の弟には甘い。夫だけかなと思ったけど、他の兄弟も、末弟には皆甘いのよ。(笑)
忠男と道男は派手にけんかをしますけど、あの年であんなケンカができるなんていいなと言う、道男の妻。これには、同感。
姉だけには頭の上がらない忠男。
母親代わりでもあるのでしょうか。
姉に言われた事は、きつい説教も、素直に聞き入れています。
春を犠牲にしてはだめ。あんたは一人で生きて行くのよと。
忠男は結構わがままだし、春に甘えているもんね。
辛いから生きていけるというのも、一理あるなあと思いました。
春は祖父とその兄弟達の様子を見ていて、これまで会うつもりの全くなかった父(香川照之)に会いたくなります。
父が再婚していた事に、ショックをうける春。
父はなぜ離婚したのか。母はなぜ自殺したのか。
実は幼さいながらも、春は理由を知っていたんですね。どれだけ辛かっただろうと、もらい泣き。
前半はゆったりした流れなので、眠気がきましたが、旅館でのあたりから大丈夫でした。
ベテラン俳優さんたちが出演しているので、それぞれ説得力がある演技でした。
柄本明と仲代達矢の場面は、一番見ごたえがありました。
ぽっくり死んじゃうか、長患いするか、誰にもわかりませんからね。老人介護は社会問題ですよね。長生きすれば、子供が先に死ぬ事もあるし。
子供がいても、一人暮らししている人もいるし。難しいですよね。
昼間の試写会だったので、散歩がてらしばらく歩いて、夕食のレストランの場所まで行きました。
武道館の近辺は、キクザクラとか、何種類か満開の桜がありました。
ハナミズキもきれいでした。
天気がよくて暖かかったので、川に面したレストランで、外のテーブル席に座り、コース料理を注文しました。
前菜
メインディッシュは分けてもいいので、夫はピザ。
私は肉料理を頼んで、両方を味わいました。
肉は野菜の陰になって、おいしそうに撮れませんでした。
夫が頼んだデザート
わたしのデザート
久しぶりにちょっぴり贅沢して、おいしい料理を味わいました。
(鑑賞日5月1日)
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【題名】 「春との旅」
【出演者】
忠男: 仲代達矢、春: 徳永えり、金本重男: 大滝秀治、金本恵子: 菅井きん、木下: 小林薫、清水愛子: 田中裕子、市川茂子: 淡島千景、中井道男: 柄本明、中井明子: 美保純、津田伸子: 戸田菜津子、津田真一: 香川照之
【監督・脚本・原作】小林政弘
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{/kaeru_en4/}家庭センターかあ。一緒に暮らすことを兄弟に拒否された老人の相談にも乗ってくれるのかなあ。
{/hiyo_en2/}ここは、子どもに関する相談に乗るところみたいよ。
{/kaeru_en4/}じゃあ、「春との旅」に出てくるような老人は、身の振り方をどこに相談すればいいんだ?
{/hiyo_en2/}小林政広監督の「春との旅」は、19歳の孫娘と北海道の漁村で暮らす老人が、孫娘を独り立ちさせるために、自分は兄弟のところに身を寄せようと道内や東北を回るが、行く先々で煙たがられると... [続きを読む]
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作品について http://cinema.pia.co.jp/title/153225/
↑あらすじ・配役はこちらをご覧ください。
孫娘・春と暮らしてきた老人が、春の失職を機に
今後の人生を頼るべく、兄弟の家を訪ね歩く――
この作品は、身内(父)のことが、痛いほど思い浮かび
身につまされつつ、共感や嘆息に、まみれた作品でありました ……
..... [続きを読む]
兄弟って、生まれたときから一緒にいる肉親であり、他人でもあり、ライバルでもあり、親友にもなれる。
そんな気がします。
それらの感情をうまーーく表現してました。
投稿: sakurai | 2010年7月28日 (水) 08:31
★sakuraiさん
>生まれたときから一緒にいる肉親であり、他人でもあり、ライバルでもあり、親友にもなれる。
兄弟って、そういう存在なんですね。
投稿: 風子 | 2010年7月28日 (水) 15:40
年老いても兄弟はけっっこう言いたいことを言いあえる。若い時には言えなかったことも、今なら遠慮なく、かもしれませんね。
誰しもくる老いですが、なるべく人には頼りたくはないもんです。
いつもTBありがとうございます。
投稿: atts1964 | 2017年8月14日 (月) 07:50
★atts1964さん
高齢化で、老後の問題はいろいろありますねえ。
投稿: 風子 | 2017年8月14日 (月) 08:11