マイ・ブラザー (試写会)
戦場の傷を癒せるのは誰
公式サイト http://my-brother.gaga.ne.jp
6月4日公開
デンマーク映画、スザンネ・ビア監督の「ある愛の風景」のハリウッドリメイク作。
監督: ジム・シェリダン 「マイ・レフトフット」「イン・アメリカ」
脚本: デヴィッド・ベニオフ
主題歌: “Winter” U2
海兵隊のサム・ケイヒル大尉(トビー・マグワイア)は、父親の自慢の息子で、良き夫で良き父。一方サムの弟トミー(ジェイク・ギレンホール)は、刑務所に服役する厄介者。トミーが出所したのと入れ替わりに、サムはアフガニスタンの戦地へ赴き、そしてサムの訃報が、妻グレース(ナタリー・ポートマン)に届いた。
悲しみにくれるグレースと幼い娘2人を支えたのは、トミーだった。そしてトミーとグレースは、少しずつ惹かれあっていく。そんなある日、死んだはずのサムが帰還した。
しかし戻ってきたサムは、別人のようになっていた。
オリジナルの映画を見ているので、ネタバレ感想です。
オリジナルより、主要の3人の年齢が若いですね。
キッチンのリフォームとかもあるし、弟がガールフレンドを連れてきたり、ストーリー展開は、ほぼオリジナル通りですね。乗ってたヘリが撃墜されたのも同じだったし。
オリジナルは夫婦に一番スポットを当てていましたが、今作では、家族にスポットを当てています。
トミーは父や義姉に嫌われている厄介者ですが、サムだけは弟を見捨てず、気遣っていました。
ろくでなしだった弟が、兄の死後、残された兄の家族を支えて守らなければと、成長していきます。
子煩悩で優しかったサムは、帰還後、全く様子が違ってしまいます。
サムの様子に戸惑う、グレースとトミー。
事情を知っている観客にとっては、サムの行動は痛々しいし、何がサムを苦しめているのか知って支えになりたいのに、何も話してもらえないグレースやトミーの気持ちもよくわかります。
生きて家族の元へ帰るため、敵でなく仲間を殺したなんて、墓場まで持って行きたい秘密です。重い罪の意識から解放される事はなく、家族に打ち明ける事もできない辛さ。
そして、弟と自分の妻子との仲むつまじい様子から、自分が不在時の弟と妻の関係を疑うサム。
長女の言葉には、サムがどれだけショックを受けたかことか。
ストーリーを知っているので、オリジナルを見た時のように、ぼろぼろ泣きはしませんでしたね。
それでも、銃を持ってサムが庭に出た場面での、サム、トミー、グレースの3人の様子には、ぐっときましたよ。この場面の演技がうまいです。
特にジェイク・ギレンホールは、この場面が一番良かったと思います。
オリジナルは、ベンチに座る夫婦の後姿の様子から、多分事情を話したのねと察せられるラストでしたが、今作では、セリフがあります。
話し出そうとする時の、トビーの演技が素晴らしい。
トビーは役作りで、9kg減量したそうですね。アフガニスタンで捕虜になっている時は、頬がものすごくこけて、げっそりしてますよ。
サムとトミーの父親は元軍人で、戦地から帰った時は、妻子に当たっていたらしい。
演じているのはベテランのサム・シェパードで、さすがの演技です。
サムの葬式後、ずっと悲しみにくれるナタリー・ポートマンもよかったですね。
サムが殺したジョー・ウィリス二等兵の妻に、「17歳の肖像」のキャリー・マリガン。
そして、なんといっても、子役の2人の女の子がとってもいいです。
妹はとにかく可愛いし、妹は可愛いからみんなに人気があると、ちょっとすねている感じのお姉ちゃんもうまかったです。
そんなお姉ちゃんと、トミーの会話がいいです。子供の頃から優秀な兄と違っていたトミーは、きっと同じ様な思いを抱いていたのでしょう。
それにしても、戦争のむなしさをつくづく感じますね。
(鑑賞日5月25日)
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2004年作デンマーク映画「ある愛の風景」のリメイク
監督は「マイ・レフトフット」「イン・アメリカ/三つの小さな願いごと」などのジム・シェリダン。
オリジナルは観てないんだけど、この監督の映画はけっこう好みで
特に昔観た「父の祈りを」なんてかなり泣けた。
それに脚本家がデイヴィッド・ベニオフ。
わたしは好みが完全にわれてて「25時」「トロイ」は全然駄目で
「ステイ」「ウルヴァリン... [続きを読む]
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テーマが戦争なのか結婚なのか兄弟愛なのかはっきりしないアメリカのファミリーを描いたら一流のJim Sheridan(ジム・シェリダン)監督最新作がBrothers(マイ・ブラザー)。海兵隊でアフガニスタンへ赴くTobey MaGuire(トビー・マクガイア)と刑務所から出所したJake Gyllenhaal(ジェイク・ギレンホール)の兄弟はそれぞれの役者がいい演技をしているのに兄弟の関係が希薄、過小評価されたNatalie Portman(ナタリー・ポートマン)も兵士を夫に持つ母として強い存在感を出... [続きを読む]
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【{/m_0167/}=27 -10-】 このブログのコンセプトはたしか「社会保険労務士」と「労働組合」のことを綴ることのはずなんだが・・・プー!(*≧m≦)=3
海兵隊員のサムは、よき夫でよき父。厄介者の弟トミーが出所するのと入れ替わりに、妻のグレースと二人の娘を残し、アフガニスタンに出征する。しばらくしてグレースのもとにサムの訃報が届く。悲しみに沈むグレースたちを慰めたのはトミーだった。彼は兄嫁や姪たちを支える中で次第に更生していくが、ある日、死んだはずのサムが別人のようになって生還する……... [続きを読む]
» 映画「マイ・ブラザー 」人間は頭で想像する全部を実際にすることができる [soramove]
「マイ・ブラザー 」★★★★
トビー・マグワイア、ジェイク・ギレンホール、ナタリー・ポートマン、サム・シェパード出演
ジム・シェリダン監督、105分、2010年6月4日公開、2009,アメリカ,ギャガ
(原題:BROTHERS)
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「アフガンへの派兵を控えたサム(トビー・マグワイア)と
服役を終え出所した弟(ジェイク・ギレンホール)、
明らかなカラーの違... [続きを読む]
» マイ・ブラザー / Brothers [うだるありぞな]
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以前から、似てると思っていたトビー・マグワイアとジェイク・ギレンホールが兄弟役で共演。
トビー・マグワイアの奥さん役には、ナタリー・ポートマン。
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» マイ・ブラザー○◆BROTHERS(2009) [銅版画制作の日々]
世界の果てをみた兄に、まだ声は届くだろうか。
東宝シネマズ二条にて鑑賞。これってリメイクだったんですね。オリジナル版は2004年のデンマーク映画「ある愛の風景」。上映されたけど、行けなかった。未見なので、比べようがありません。オリジナル版をちょっと調べたところ、リメイク版とはほぼ同じようです。さてリメイク版に登場する3人はかなり豪華で演技派の方たちばかり。だからかなり期待していたのですが、、、、、。えぇ〜!ちょっと尻切れじゃないの?と思うようなラストにがっくりしました。中途半端ではないでしょうか... [続きを読む]
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「マイ・ブラザー」(2010年)
■出演■
トビー・マグワイア
ジェイク・ギレンホール
ナタリー・ポートマン
サム・シェパード
メア・ウィニンガム ベイリー・マディソン
テイラー・ギア
キャリー・マリガン
他
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6月4日公開ですって?! ありがとうございます! 知りませんでした。
そうですよね、こんなゴージャスな配役の映画、上映しないなんてもったいないですもんねー!!
見てからまたお邪魔します。楽しみです~!
投稿: ゆきちママ | 2010年5月28日 (金) 14:04
★ゆきちママさん
情報がお役に立ってうれしいです。
ご感想を、お待ちしていますね。
投稿: 風子 | 2010年5月28日 (金) 15:26
オリジナル未見ですが、3人の俳優が実に良かったです。若くてでも経験もそれなりにつんできて、今が一番旬かもしれませんね。
それとあの2人の子役がほんと素晴らしかった。スケートに行くシーンの伏線、マギーに対するイザベルの嫉妬、それを優しく包むトミー。子供の言葉は時として残酷だけれども、純粋なだけにストレート。
刻々と変わる心情の変化がとても良く伝わってくる作品でした。
投稿: KLY | 2010年6月 5日 (土) 15:05
★KLYさん
主要3人の演技はよかったですね。
長女の赤い風船のシーンも、すごかったですねえ。
うまい子役ですわ。
投稿: 風子 | 2010年6月 5日 (土) 15:39
サムと一緒に囚われの身となった部下の妻がキャリー・マリガンとは気が付きませんでした。
そういえば、彼女の家に訪問した、そのときのサムの感じも不気味でしたね^^;
この表情を見て、トビーは猟奇殺人犯も出来るな!と確信したものです(←こら)
投稿: ituka | 2010年6月 6日 (日) 20:37
★itukaさん
>この表情を見て、トビーは猟奇殺人犯も出来るな!と確信したものです
いけますよ。演技力あるからOKですね。
悪人顔より、こういう人が殺人鬼をやる方が、怖いんですよねえ。
投稿: 風子 | 2010年6月 6日 (日) 22:42
デンマーク映画のリメイクでしたか。
オリジナルのほうも見てみたいですねー。
投稿: こん | 2010年7月 7日 (水) 10:55
★こんさん
機会があれば、オリジナルも是非見てくださいね。
投稿: 風子 | 2010年7月 7日 (水) 11:18
やっと当地で上映となりましたが、オリジナルを見ている人が結構少なくて、そこにびっくりでした。
なので、ますますリメイクしたかったんだ!!多くに人に見てもらいたかった!!という気持ちが伝わりました。
スザンネ・ビアの感性って、凄いですよね。
いつも彼女の映画は容赦なくぐさぐさ刺さってくるのですが、これも・・。
でもやはり、多くの人、特にアメリカ人に見てもらいたい!そんな気がしました。
投稿: sakurai | 2010年9月 8日 (水) 10:22
★sakuraiさん
スザンネ・ビア監督の作品は辛いけど、愛が感じられて好きです。
投稿: 風子 | 2010年9月 8日 (水) 12:33
この映画とても良かったです。
風子さんの記事を見て、
是非オリジナルも見てみたいと思いました。
オリジナルを鑑賞したら、またお邪魔しますね!!
投稿: 小米花 | 2011年2月 8日 (火) 23:40
★小米花さん
帰還兵士の心の問題は、これまでも色々描かれていますよね。早くこういう思いをする人がいない平和を望みます。
オリジナルの感想をお待ちしますね。^^
投稿: 風子 | 2011年2月 9日 (水) 09:02
今晩は~。
オリジナル作品見ました!
感想も上げました。。。
ハリウッド版は、キャストを見てしまいますが、
オリジナル作品は映画の中身をじっくり見たような気がします。
双方良かったですが、迫力はオリジナルの方があったでしょうかね。。。
投稿: 小米花 | 2011年3月 9日 (水) 23:39
★小米花さん
それぞれの苦悩が伝わる作品ですよね。
投稿: 風子 | 2011年3月10日 (木) 10:57