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2010年7月15日 (木)

小さな命が呼ぶとき (試写会)

新薬に希望を求めて

Photo

公式サイト http://www.papa-okusuri.jp
7月24日公開

実話の映画化
新潮文庫から本()も出ています

監督: トム・ヴォーン 「ベガスの恋に勝つルール」
字幕: 戸田奈津子
字幕監修: 東京慈恵会医科大学 衞藤 義勝

オレゴン州ポートランドに住むエリート・ビジネスマン、ジョン・クラウリー夫妻(ブレンダン・フレイザー,ケリー・ラッセル)は、3人の子宝に恵まれたが、8歳の娘メーガンと6歳の息子パトリックは、“ポンペ病”という難病に冒されている。平均寿命9年とされるこの病気には、治療薬がない。残された時間は、あと1年。苦悩の日々の中で精神的に追いつめられていったジョンは、ポンペ病の権威であるロバート・ストーンヒル博士(ハリソン・フォード)の研究に唯一の希望を見出し、博士と二人でバイオ・テクノロジーのベンチャー企業を起こす。そして子供たちの小さな尊い命を救うため、自力で治療薬を開発するという夢の実現に向かって突き進んでいく。


※ ポンペ病(糖原病2型)とは「酸性α‐グルコシダーゼ」という、体内でグリコーゲンを分解する酵素の1つが生まれつき全くないか、または少ないために発症する遺伝病。4万人に1人が発症するといわれる極めて希な病気です。
酸性α-グルコシダーゼは、細胞の中にあるライソゾームという小さな“ふくろ”の中にあり、グリコーゲンをグルコースに分解しますが、ポンペ病の人は、ライソゾームの中にグリコーゲンがどんどん蓄積して、ライソゾームがふくらみ、その結果まわりの筋肉の働きが悪くなる。
世界に5,000~10,000人の患者が存在し、日本でも特定疾患として難病の指定を受けている。1932年、オランダのポンペ博士がこの病気の患者について初めて報告したため、「ポンペ病」と呼ばれている。

ジョン・クラウリーは、もともと製薬会社に勤めるビジネスマンだったんですね。ハーバードのビジネス・スクール卒だから、頭もいい人なのね。

子供がポンペ病と診断されてから、この病気に関する文献を読みあさったのでしょう。そしてストーンヒル博士の研究に注目します。

ビジネスマンだから、資金を集めるにはどうしたらいいか、どうすれば新薬の製造が可能になるかをわかっていますね。

とにかく新薬の開発って、本当に莫大な費用と時間と労力がいるんですよねえ。(そういう職場にいたことあり)

まず、治療薬研究の会社を起こす。
同じくポンペ病の治療薬を研究している大手の製薬会社に、ストーンヒル博士の理論が正しいのを理解してもらい、自分達の会社を買収させる。
早く臨床試験を可能にするため、よっつの研究チームを連携させる。

ビジネスとして、実際の新薬開発の過程がどういうものか、その内幕も描いています。

研究に携わっている人達の中には、実際の患者を見たことない人もいるんですよね。ジョンは会社に患者家族を呼び、実際の患者を目にしてもらい、患者たちの治療薬研究に対する思いを知ってもらいます。これって重要だと思いました。

Extraordinary_measures2

ジョンはとってもエネルギッシュでポジティブな人なので、長女のメーガンも、その性格を受け継いだのかなあと思いました。病気だからとくよくよなどしていなくて、とっても明るい。

Extraordinary_measures_2010

わずかな寿命の子供たちと、できるだけ一緒に過ごすか、それとも治療薬の開発に望みを託すか。
子供が日に日に弱って行くのを見ているのは、とてもつらい事だと思います。
たとえわずかな可能性でも、すがりたいと思うでしょう。

ジョンはメーガンとパトリックのために何ができるのか、どうするのが彼らのためなのか、とても悩んで迷います。そして、新薬が先か、子供たちの寿命が先か、焦る気持ちもわかります。子供たちをどれだけ愛しているのかひしひしと伝わってくるので、ブレンダンパパに泣けます。

両親が一生懸命資金集めをしているのを見て、長男君が自分のスケボーを売ったお金を、足しにしてとパパに差し出したのにも、うるっとしちゃいましたよ。

ジョン・クラウリーは実在の人物だけど、ハリソン・フォードの役は、何人かの専門医を合わせて創造された役だそうです。
偏屈な研究者で協調性はないし、ビジネスは苦手。まあ、研究者にはよくいるタイプかも。わが道を行くってタイプで、わがままなのよ。優しい気持ちも持っているんだけど、表現がへたなの。
ハリソン・フォードが、とってもうまく演じていました。ハリソン・フォードの演技がうまいと思ったのは、初めてかも。
研究室での様子、病室でジョンの子供たちと接する時の表情や仕草で、役の性格がよく表現されています。

ポンペ病の酵素補充療法剤は、日本でも保険適応の治療剤です。
乳児で発症した場合、進行が早くて、ポンペ病と気づかないうちに亡くなってしまう場合もあるらしいので、早くこの病気だとわかることが大事です。
乳児のうちなら治療効果も大きいので、この映画でこの病気を知ってもらえるといいですね。


出演者と実際のクラウリー一家
Extraordinary

(鑑賞日7月13日)

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【映画】た行」カテゴリの記事

コメント

ジョーンズ博士とオコーネルが協力して難病の新薬を手に入れたわけですよね。^^;

冗談はさて置き、難病ものかと思いきや、新薬開発のサクセスストーリーといった
方が良い物語でした。良い意味でアメリカらしいなと思ったのは、幾ら子供のため
とはいえ起業しちゃうこと。この辺、ハーバードのビジネススクール出のエリートだ
からこそ思いついたんでしょうけど、日本だったら中々そうは思わないですよね。

まだまだ幾らでも世の中に難病はあります。それを考えたら、こんな作品が何本
もできるようになってくれると良いなと思いました。

★KLYさん
いくら優れた研究をしても、形にならなければ病気は治せない。
ビジネスマンのクラウリー氏は、その方法を心得ているんですね。ほんと、アメリカらしいですね。
わずかな期間でそれを実現したバイタリティーは、すごいと思います。

ブレンダンはいいパパ役がとっても似合ってましたね。
昔のあほなコメディに出ていた時とは比べ物にならないです。

★sakuraiさん
アメリカでは、1本ヒット作がでると、オファーされる作品も違ってきますからね。
楽しいファミリーコメディーのブレンダンも好きですよ。

今晩は~。
事実の映画化で説得力がありました。
ハリソンが良かったですね。

確かにハリソンはどんな役でもハリソン・フォードそのものなんですが、
今回はロバート・ストーンヒル博士でしたね。。。

いろいろな人物を合わせた役だったのですね~。

★小米花さん
このハリソン・フォードは、本当にいい演技だと思いました。

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