« 食べて、祈って、恋をして | トップページ | 十三人の刺客 (試写会) »

2010年9月21日 (火)

悪人

愛に出会いたかった

Photo_4

公式サイト http://eat-pray-love.jp

朝日新聞に連載された吉田周一の同名小説の映画化

文庫本が上巻 下巻 で出版されています

監督: 李相日(フラガール)
音楽: 久石譲

深津絵里さんが
第34回モントリオール世界映画祭最優秀女優賞受賞


福岡と佐賀の県境の三瀬峠で、OL佳乃(満島ひかり)の他殺死体が発見された。
当初、当日彼女と会っていた福岡の大学生(岡田将生)が容疑者だったが、彼はシロだった。そして彼女と出会い系サイトで知り合った解体工の清水祐一(妻夫木聡)に、捜査が及ぶ。その頃祐一は、同じく出会い系サイトで知り合った、馬込光代(深津絵里)と会っていた

すぐには誰が犯人か明かされない展開なので、前知識無しに見たかったですね。妻夫木くんが殺人犯役と、早くから大々的に宣伝されちゃってるのは残念。

祐一や光代のような孤独感を抱えている人は、現代社会では多いのでしょうか。
幸いにも、彼らのような孤独感を感じた事はないし、出会い系サイトを利用しようと思った事もないので、そういうサイトで遊びでない出会いを探そうとしちゃう人がいるの?って感じです。

理由は何であれ、それこそ泥棒や詐欺師や、殺人者かもしれないのに、安易に会うのって危険だと思うけど、そういうサイトの利用者は多いのね。

佳乃は合コンで知り合った、裕福な旅館の息子の大学生圭吾に、積極的にアプローチ。その一方で出会い系で、セックス相手を物色しているあばずれ。

でも両親(柄本明・宮崎美子)にとっては、大事な可愛い一人娘。

圭吾は、佳乃に対して気はなく、むしろうっとうしく思っている。
佳乃の遺体が発見されてから、彼女のメールや、彼女の父親の言動を、仲間に笑い話として披露するろくでなし。
でも彼が佳乃を迷惑な女と思うのは、無理もないこと。彼の対処の仕方が悪かっただけとも言える。

佳乃は祐一を見下しているけど、自分が圭吾から同じ様に思われているのに気づかなかった。
それぞれに、相手に対する気持ちと、相手からの気持ちが違っている。

祐一は祖父母と暮らしている。母親(余貴美子)は別に暮らしていて、祐一は祖母(樹木希林)に育てられた。
祖父は介護が必要な状態。

光代は妹と暮らしていて、妹の部屋には彼氏がたびたび来るけれど、自分には恋人はいない。職場でも出会いはない。

祐一と光代は、同様な孤独感を持ち、出会い系に電話をする動機も似ている。
ふたりとも、心を寄せ合える人がほしかった。

祐一が言うように、光代ともっと早く出会っていたら、殺人者にならずにすんだかも知れない。自分の苦労や辛さを聞いてくれる人、自分の事を気づかってくれて寄り添える人がほしかっただけなのにね。

佳乃が圭吾の車から蹴りだされたあと、祐一と佳乃の間に何があったのか祐一が話すけど、ひどい女だと同情はするけれど、殺してしまうのはやはり許されないこと。

娘を思う両親、孫を思う祖母。
自分を心配してくれる家族を、泣かせるような事はしてはいけないと、痛感しますねえ。

人を殺した祐一だけが、悪人なのか。
状況によって、心の中の悪魔と天使の、どっちが出てきてもおかしくないのが人間。

祐一が光代の首を絞めたのは、彼のやさしさだと思ったんだけど。
光代が、自首を止めた自分のせいだと罪悪感を持たずにすむように、そして光代の祐一への思いを消しさるため。
もし殺す気なら、逮捕される前に彼女は死んでいたでしょう。
逮捕された時、祐一は必死に光代の手をつかもうとしていたものね。
祐一の思いが伝わるシーンでした。

ん~~、善悪だけでなく、いろいろ現代社会についても考えちゃう映画でした。

とりあえず、自分は夫と友人達に感謝。あなたたちのおかげで孤独じゃありません。

(鑑賞日9月18日)

« 食べて、祈って、恋をして | トップページ | 十三人の刺客 (試写会) »

【映画】あ行」カテゴリの記事

コメント

何をもって悪人とするのか…。
その根源的な問いを投げかけてくる作品だったと思います。
法を犯したら悪なのか、それじゃ祐一の逃亡を助けた光代も
悪なのか、そもそも悪人の詐欺師だって、それと気づかれて
いないうちは悪人じゃなかったわけで、悪は相対的なものな
のか。
一つだけいえるのは、この物語の中で大事な人がいる、或いは
手にした人は悪人ではないのではないか。そんな気がしました。

★KLYさん
自分のした事、している事がどういうことなのか、わかっていない人が一番問題ですね。悪い事をしたのだと自覚できる事が大事なのだと思いました。

おかげさまで孤独ではない自分に感謝です。
どの役者さんも見事でしたね。
冗長な台詞や、説明などなくても、役者さんたちの表情や演技だけですべてが伝わるような・・。こういうのを見ると、日本の役者さんたちって、凄い!と改めて感じました。

★sakuraiさん
みな、それぞれのキャラクターを見事に演じていましたね。

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 悪人:

» 悪人 [映画鑑賞★日記・・・]
2010/09/11公開(09/02試写) 日本 PG12 140分監督:李相日出演:妻夫木聡、深津絵里、岡田将生、満島ひかり、宮崎美子、樹木希林、柄本明なぜ、殺したのか。なぜ、愛したのか。ひとつの殺人事件。引き裂かれた家族。誰が本当の悪人なのか?若い女性保険外交員...... [続きを読む]

» 悪人 [ゴリラも寄り道]
<<ストーリー>>若い女性保険外交員の殺人事件。ある金持ちの大学生に疑いがかけられるが、捜査を進めるうちに土木作業員、清水祐一(妻... [続きを読む]

» 悪人 [花ごよみ]
試写会で見てきました。 原作は吉田修一の同名小説。 監督は李相日。 出会ってしまった孤独な男と女。 その二人を、妻夫木聡と深津絵里が演じます。 福岡・佐賀・長崎 が舞台。 保険外交員、佳乃(満島ひかり)が何者かに 命を奪われる事件が発生。 まず最初に大学生増尾(岡田将生)に、 嫌疑が掛かるが、 捜査が進んで行くにつれ、 清水祐一(妻夫木聡)という土木作業員が 容疑者として浮かび上がってくる。 妻夫木聡、深津絵里、柄本明、樹木希林等、 配役はぴったり。 妻夫木に祐一の役が、 合... [続きを読む]

» 「悪人」みた。 [たいむのひとりごと]
例によって原作は未読なため、予告編から判っているのは”逃亡劇”だということのみ。しかし、主演から脇の脇まで実力派俳優陣がそろっているこの映画。単なる逃亡劇でなさそうなのは予告編からでもジワジワと感じら... [続きを読む]

» 『悪人』 [京の昼寝〜♪]
□作品オフィシャルサイト 「悪人」□監督 李 相日□脚本 李 相日、吉田修一□原作 吉田修一□キャスト 妻夫木 聡、深津絵里、樹木希林、柄本 明、岡田将生、宮崎美子■鑑賞日 9月12日(日)■劇場 チネチッタ■cyazの満足度 ★★★(5★満点、☆は0.5)<感想>  映画が終わってから、しばらく何も言葉にできなかった・・・。  それは、感動とかではなく、なんかむなしい喪失感が全身を覆ったからだ。  誰が「悪人」って、こんな映画(... [続きを読む]

» 悪人 [to Heart]
なぜ、殺したのか。 なぜ、愛したのか。 ひとつの殺人事件。引き裂かれた家族。誰が本当の“悪人”なのか? 製作年度 2010年 映倫 PG12 原作 吉田修一 脚本 吉田修一/李相... [続きを読む]

» 真実が潜む場所。『悪人』 [水曜日のシネマ日記]
モントリオール世界映画祭で最優秀女優賞を受賞した作品。九州で起きた殺人事件の被害者と加害者を取り巻く人たちの物語です。 [続きを読む]

» 映画レビュー「悪人」 [映画通信シネマッシモ☆映画ライター渡まち子公式HP]
悪人(サントラ)◆プチレビュー◆ひとつの殺人事件が重層的にあぶりだす人間の心の闇。愛を渇望する男女の逃避行が胸を打つ。 【75点】 長崎在住の土木作業員の祐一と、佐賀に住む紳士服量販店店員の光代は、携帯の出会い系サイトで知り合い、強く惹かれ合う。だが祐一は、...... [続きを読む]

» 映画「悪人」 [FREE TIME]
注目の映画「悪人」を鑑賞しました。 [続きを読む]

» 悪人 [ダイターンクラッシュ!!]
2010年9月11日(土) 21:30~ TOHOシネマズ川崎6 料金:1200円(レイトショー料金) パンフレット:未確認 『悪人』公式サイト 深津絵里が賞を取ったからか、TOHOシネマズで延々と予告編を流していたからか、初日とは言えレイトショーの終映が12時だというのに妙に混んでいる。銀座地区ではみゆき座での公開だが、小さいみゆき座で収容できる客の倍ぐらい入っている。これだとみゆき座の席は、全回ほとんど完売か。 能天気な好青年のイメージの強い妻夫木が、何を考えているか判らない物凄い暗い男を... [続きを読む]

» ■『悪人』■ ※ネタバレ有 [〜青いそよ風が吹く街角〜]
2010年:日本映画、李相日監督&脚本、吉田修一原作&脚本、久石譲音楽、妻夫木聡、深津絵里、岡田将生、満島ひかり、樹木希林、 柄本明出演。 [続きを読む]

» 「悪人」 無表情の感情 [はらやんの映画徒然草]
深津絵里さんがモントリオール世界映画祭で主演女優賞を受賞しましたが、作品を観れば [続きを読む]

» 悪人 [迷宮映画館]
役者がすごい。とにかくすごい!! [続きを読む]

» 悪人☆独り言 [黒猫のうたた寝]
妻夫木くんと深津さん主演の『悪人』試写会に同行させていただきました。今回は、なかなか見やすい席ゲットできて環境はいい感じ(笑)あるOL殺人事件。犯人は当初、彼女が最後に逢っていた大学生かと思われていたが、実は彼女が出会い系で出会ってつきあっていた男と判明す... [続きを読む]

» 『悪人』 [ラムの大通り]
----このタイトルって、 あまりにも直接すぎニャい? 予告観ても、だれが悪人かすぐ分かっちゃうし…。 「いやあ、そこが原作のうまいところなんだろうね。 観ていて、途中、主人公がいい人か悪い人か、 自分でも分からなくなっちゃうもの」 ----原作って、芥川賞作家の吉田修一だよね。 「うん。今年初めには 彼の原作『パレード』も映画化されている。 今回の作品は吉田自ら“代表作”というだけあって、 20社以上からの映画化争奪戦が繰り広げられたらしい。 監督も10人を超えるオファーがあったとか。 これって、... [続きを読む]

» 悪人とは? [笑う学生の生活]
16日のことですが、映画「悪人」を鑑賞しました。 殺人を犯してしまった男、出会い系サイトで出会った女 惹かれ合う2人の逃避行・・・ 骨太の人間ドラマ 悪人とは何なのか 考えさせられます 加害者の母、被害者の父も重要となってき...... [続きを読む]

» 「悪人」 [お楽しみはココからだ~ 映画をもっと楽しむ方法]
2010年・日本/東宝監督:李 相日原作:吉田 修一脚本:吉田 修一、李 相日 芥川賞作家・吉田修一の同名ベストセラーを、原作者自身と「69 Sixty Nine」、「フラガール」の李相日監督が共同で... [続きを読む]

» 悪人 [映画的・絵画的・音楽的]
 この映画に出演した深津絵里がモントリオール世界映画祭で最優秀女優賞を獲得したということもあって、『悪人』を渋谷のシネクイントで見てきました。 (1)この映画は、出会い系サイトで知り合った佳乃(満島ひかり)を殺してしまった清水祐一(妻夫木聡)が、これも同じようにして知り合った光代(深津絵里)と逃避行を続けるも、最後は逮捕されてしまうという物語です。  こう書いてしまうと、殺人犯の祐一が「悪人」であって、随分と単純なタイトルでありその内容ではないかと思われてしまうかもしれません。  ですが、この映... [続きを読む]

» 悪人 [だらだら無気力ブログ]
芥川賞作家・吉田修一の同名ベストセラーを「涙そうそう」の妻夫木聡と 「博士の愛した数式」の深津絵里主演で映画化したヒューマン・ミステリー・ ドラマ。長崎の漁村で孤独な人生を送り、ふとしたことから殺人者となって しまった不器用な青年と、そんな男と孤独の中で…... [続きを読む]

» 悪人 やっぱ役者ってすごいわ〜! [労組書記長社労士のブログ]
【{/m_0167/}=41 -12-】 モントリオール世界映画祭で深津絵里が最優秀女優賞を受賞したり、初日舞台あいさつで妻夫木くんが感極まって号泣しちゃったり、と話題は満載。 予告編の流し方も良かったからか、前評判はさておき、自分も是非観たいなと思っていた。  長崎在住の清水祐一は、博多で働く石橋佳乃と待ち合わせをしていた。しかし、待ち合わせ場所で佳乃は他の男の車に乗って行ってしまった。佳乃を追いかけた祐一は、福岡県の三瀬峠で彼女を殺してしまう。その後、長崎でいつも通りの日常を送っていた祐一は、... [続きを読む]

» ◆映画・悪人 [映画大好き☆]
悪人 観てきました。 モントリオール世界映画祭で 深津絵里が最優秀女優賞をとった作品。 ストーリーは大体皆さんもおわかりでしょうし、書きませんが・・・ まだズシーンと重い気持ちから抜け出せません。 ネタバレアリなので注意デ...... [続きを読む]

» 悪人 [日っ歩~美味しいもの、映画、子育て...の日々~]
吉田修一の同名小説を映画化した作品。原作は、既に読んでいます。 保険外交員の女性の遺体が発見されます。当初、彼女が待ち合わせをしていると友人に話していた地元の大学生に疑いの目が向けられますが、捜査が進み、彼女と出会い系サイトで知り合っていた土木作業員の清水祐... [続きを読む]

» 映画「悪人」誰かと出合いたかった、それだけなのに [soramove]
「悪人」★★★★☆オススメ 妻夫木聡、深津絵里、岡田将生、満島ひかり、柄本明、樹木希林出演 李相日監督、139分 、2010年9月11日公開、2010,日本,東宝 (原題:悪人」)                     →  ★映画のブログ★                      どんなブログが人気なのか知りたい← モントリオール世界映画祭で、深津絵里が最優秀女優賞を受賞した。 「原作はここ数年読んだ本の中で 最も好きな作品だったので、 映画を見るのが怖いような気がしていた、 ... [続きを読む]

» 悪人 [にき☆ろぐ]
さて、深津さんが賞をもらったことで注目された作品です。私自身みてみたいな~と思っていたんですがやっとみることが出来ました。監督はフラガールの李相日さんですね。あらすじ若... [続きを読む]

» 『悪人』'10・日 [虎党 団塊ジュニア の 日常 グルメ 映...]
あらすじ若い女性保険外交員の殺人事件。ある金持ちの大学生に疑いがかけられるが捜査を進めるうちに土木作業員、清水祐一が真犯人として浮上してくるが・・・。感想芥川賞作家の吉... [続きを読む]

» 悪人 [映画、言いたい放題!]
『フラガール 』の李相日氏の監督作品。 この作品が優等生的過ぎて、 あまり好きではなかったので、 観る予定はなかったのですが、 主演の深津絵里さんが モントリオール世界映画祭で主演女優賞を取ったというので 観てみることにしました。 行こうと思った日は連休。... [続きを読む]

» 映画「悪人」誰かと出合いたかった、それだけなのに [soramove]
「悪人」★★★★☆オススメ 妻夫木聡、深津絵里、岡田将生、満島ひかり、柄本明、樹木希林出演 李相日監督、139分 、2010年9月11日公開、2010,日本,東宝 (原題:悪人」)                     →  ★映画のブログ★                      どんなブログが人気なのか知りたい← モントリオール世界映画祭で、深津絵里が最優秀女優賞を受賞した。 「原作はここ数年読んだ本の中で 最も好きな作品だったので、 映画を見るのが怖いような気がしていた、 ... [続きを読む]

» 映画「悪人」 [itchy1976の日記]
映画「悪人」(映画.com) 「悪人」オフィシャルサイト ... [続きを読む]

» 悪人 [まてぃの徒然映画+雑記]
深津絵里がモントリオール世界映画祭で最優秀女優賞を受賞した作品。モントリオール映画祭って『おくりびと』も2008年にグランプリになっているし、日本映画と相性がいいのかな。祐... [続きを読む]

» 悪人 [ここにあるもの]
自分が悪人であることは、誰もが心に秘めているのでは? 俳優たちの表現に釘付けだった139分。日本映画の攻撃力に正直タマゲタ。 吉田修一のベストセラー『悪人』の映画化。原作は ... [続きを読む]

« 食べて、祈って、恋をして | トップページ | 十三人の刺客 (試写会) »

2024年8月
        1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30 31
無料ブログはココログ