悪人
愛に出会いたかった
公式サイト http://eat-pray-love.jp
朝日新聞に連載された吉田周一の同名小説の映画化
文庫本が上巻 下巻 で出版されています
監督: 李相日(フラガール)
音楽: 久石譲
深津絵里さんが
第34回モントリオール世界映画祭最優秀女優賞受賞
福岡と佐賀の県境の三瀬峠で、OL佳乃(満島ひかり)の他殺死体が発見された。
当初、当日彼女と会っていた福岡の大学生(岡田将生)が容疑者だったが、彼はシロだった。そして彼女と出会い系サイトで知り合った解体工の清水祐一(妻夫木聡)に、捜査が及ぶ。その頃祐一は、同じく出会い系サイトで知り合った、馬込光代(深津絵里)と会っていた。
すぐには誰が犯人か明かされない展開なので、前知識無しに見たかったですね。妻夫木くんが殺人犯役と、早くから大々的に宣伝されちゃってるのは残念。
祐一や光代のような孤独感を抱えている人は、現代社会では多いのでしょうか。
幸いにも、彼らのような孤独感を感じた事はないし、出会い系サイトを利用しようと思った事もないので、そういうサイトで遊びでない出会いを探そうとしちゃう人がいるの?って感じです。
理由は何であれ、それこそ泥棒や詐欺師や、殺人者かもしれないのに、安易に会うのって危険だと思うけど、そういうサイトの利用者は多いのね。
佳乃は合コンで知り合った、裕福な旅館の息子の大学生圭吾に、積極的にアプローチ。その一方で出会い系で、セックス相手を物色しているあばずれ。
でも両親(柄本明・宮崎美子)にとっては、大事な可愛い一人娘。
圭吾は、佳乃に対して気はなく、むしろうっとうしく思っている。
佳乃の遺体が発見されてから、彼女のメールや、彼女の父親の言動を、仲間に笑い話として披露するろくでなし。
でも彼が佳乃を迷惑な女と思うのは、無理もないこと。彼の対処の仕方が悪かっただけとも言える。
佳乃は祐一を見下しているけど、自分が圭吾から同じ様に思われているのに気づかなかった。
それぞれに、相手に対する気持ちと、相手からの気持ちが違っている。
祐一は祖父母と暮らしている。母親(余貴美子)は別に暮らしていて、祐一は祖母(樹木希林)に育てられた。
祖父は介護が必要な状態。
光代は妹と暮らしていて、妹の部屋には彼氏がたびたび来るけれど、自分には恋人はいない。職場でも出会いはない。
祐一と光代は、同様な孤独感を持ち、出会い系に電話をする動機も似ている。
ふたりとも、心を寄せ合える人がほしかった。
祐一が言うように、光代ともっと早く出会っていたら、殺人者にならずにすんだかも知れない。自分の苦労や辛さを聞いてくれる人、自分の事を気づかってくれて寄り添える人がほしかっただけなのにね。
佳乃が圭吾の車から蹴りだされたあと、祐一と佳乃の間に何があったのか祐一が話すけど、ひどい女だと同情はするけれど、殺してしまうのはやはり許されないこと。
娘を思う両親、孫を思う祖母。
自分を心配してくれる家族を、泣かせるような事はしてはいけないと、痛感しますねえ。
人を殺した祐一だけが、悪人なのか。
状況によって、心の中の悪魔と天使の、どっちが出てきてもおかしくないのが人間。
祐一が光代の首を絞めたのは、彼のやさしさだと思ったんだけど。
光代が、自首を止めた自分のせいだと罪悪感を持たずにすむように、そして光代の祐一への思いを消しさるため。
もし殺す気なら、逮捕される前に彼女は死んでいたでしょう。
逮捕された時、祐一は必死に光代の手をつかもうとしていたものね。
祐一の思いが伝わるシーンでした。
ん~~、善悪だけでなく、いろいろ現代社会についても考えちゃう映画でした。
とりあえず、自分は夫と友人達に感謝。あなたたちのおかげで孤独じゃありません。
(鑑賞日9月18日)
« 食べて、祈って、恋をして | トップページ | 十三人の刺客 (試写会) »
「【映画】あ行」カテゴリの記事
- 弟は僕のヒーロー(2024.01.23)
- アクアマン/失われた王国(2024.01.19)
- エクスペンダブルズ ニューブラッド(2024.01.14)
- ウォンカとチョコレート工場のはじまり(2023.12.15)
- アナログ(2023.11.30)
コメント
トラックバック
この記事へのトラックバック一覧です: 悪人:
» 真実が潜む場所。『悪人』 [水曜日のシネマ日記]
モントリオール世界映画祭で最優秀女優賞を受賞した作品。九州で起きた殺人事件の被害者と加害者を取り巻く人たちの物語です。 [続きを読む]
» 映画レビュー「悪人」 [映画通信シネマッシモ☆映画ライター渡まち子公式HP]
悪人(サントラ)◆プチレビュー◆ひとつの殺人事件が重層的にあぶりだす人間の心の闇。愛を渇望する男女の逃避行が胸を打つ。 【75点】 長崎在住の土木作業員の祐一と、佐賀に住む紳士服量販店店員の光代は、携帯の出会い系サイトで知り合い、強く惹かれ合う。だが祐一は、...... [続きを読む]
» ■『悪人』■ ※ネタバレ有 [〜青いそよ風が吹く街角〜]
2010年:日本映画、李相日監督&脚本、吉田修一原作&脚本、久石譲音楽、妻夫木聡、深津絵里、岡田将生、満島ひかり、樹木希林、 柄本明出演。 [続きを読む]
» 「悪人」 無表情の感情 [はらやんの映画徒然草]
深津絵里さんがモントリオール世界映画祭で主演女優賞を受賞しましたが、作品を観れば [続きを読む]
» 悪人 やっぱ役者ってすごいわ〜! [労組書記長社労士のブログ]
【{/m_0167/}=41 -12-】 モントリオール世界映画祭で深津絵里が最優秀女優賞を受賞したり、初日舞台あいさつで妻夫木くんが感極まって号泣しちゃったり、と話題は満載。
予告編の流し方も良かったからか、前評判はさておき、自分も是非観たいなと思っていた。
長崎在住の清水祐一は、博多で働く石橋佳乃と待ち合わせをしていた。しかし、待ち合わせ場所で佳乃は他の男の車に乗って行ってしまった。佳乃を追いかけた祐一は、福岡県の三瀬峠で彼女を殺してしまう。その後、長崎でいつも通りの日常を送っていた祐一は、... [続きを読む]
» 映画「悪人」誰かと出合いたかった、それだけなのに [soramove]
「悪人」★★★★☆オススメ
妻夫木聡、深津絵里、岡田将生、満島ひかり、柄本明、樹木希林出演
李相日監督、139分 、2010年9月11日公開、2010,日本,東宝
(原題:悪人」)
→ ★映画のブログ★
どんなブログが人気なのか知りたい←
モントリオール世界映画祭で、深津絵里が最優秀女優賞を受賞した。
「原作はここ数年読んだ本の中で
最も好きな作品だったので、
映画を見るのが怖いような気がしていた、
... [続きを読む]
» 映画「悪人」誰かと出合いたかった、それだけなのに [soramove]
「悪人」★★★★☆オススメ
妻夫木聡、深津絵里、岡田将生、満島ひかり、柄本明、樹木希林出演
李相日監督、139分 、2010年9月11日公開、2010,日本,東宝
(原題:悪人」)
→ ★映画のブログ★
どんなブログが人気なのか知りたい←
モントリオール世界映画祭で、深津絵里が最優秀女優賞を受賞した。
「原作はここ数年読んだ本の中で
最も好きな作品だったので、
映画を見るのが怖いような気がしていた、
... [続きを読む]
何をもって悪人とするのか…。
その根源的な問いを投げかけてくる作品だったと思います。
法を犯したら悪なのか、それじゃ祐一の逃亡を助けた光代も
悪なのか、そもそも悪人の詐欺師だって、それと気づかれて
いないうちは悪人じゃなかったわけで、悪は相対的なものな
のか。
一つだけいえるのは、この物語の中で大事な人がいる、或いは
手にした人は悪人ではないのではないか。そんな気がしました。
投稿: KLY | 2010年9月22日 (水) 00:22
★KLYさん
自分のした事、している事がどういうことなのか、わかっていない人が一番問題ですね。悪い事をしたのだと自覚できる事が大事なのだと思いました。
投稿: 風子 | 2010年9月22日 (水) 10:24
おかげさまで孤独ではない自分に感謝です。
どの役者さんも見事でしたね。
冗長な台詞や、説明などなくても、役者さんたちの表情や演技だけですべてが伝わるような・・。こういうのを見ると、日本の役者さんたちって、凄い!と改めて感じました。
投稿: sakurai | 2010年9月23日 (木) 15:49
★sakuraiさん
みな、それぞれのキャラクターを見事に演じていましたね。
投稿: 風子 | 2010年9月23日 (木) 22:45