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2011年2月17日 (木)

英国王のスピーチ (試写会)

演説のプレッシャー

Kings_speech

公式サイト http://kingsspeech.gaga.ne.jp

子供の頃から吃音症に悩む、国王ジョージ5世(マイケル・ガンボン)の次男ヨーク公アルバート(コリン・ファース)。何人もの言語聴覚士の治療を受けたが、改善しない。
1936年、兄のエドワード(ガイ・ピアース)が離婚歴のある女性と結婚するため、王位を捨ててしまい、彼はジョージ6世として王位を継ぐことになってしまった。公務に演説は欠かせない。
妻のエリザベス(ヘレナ・ボナム=カーター)は、型破りな言語障害の専門家ライオネル・ローグ(ジェフリー・ラッシュ)に、夫の治療を依頼する。

ウィンザー公は、愛する女性のために王位を捨てた人と知っていましたが、エリザベス女王のお父さん、ジョージ6世については何も知りませんでした。
ストレスで早死にしたと言われていると聞いた事があったけど、急に王位を継いだことだけではなく、幼少期から色々大変だったのねえ。映画を見て、そう言われているのも無理はないと思いました。

左利きを右利きに矯正され、X脚の矯正も、子供にはかなり辛かったらしい。彼の吃音症は身体的な機能のせいではなく、精神的な要因によるもの。そして吃音症により、もともとおとなしい性格が、さらに引っ込み思案になってしまう悪循環。

私の父親の職場の後輩の息子に、どもる子がいました。私より8歳下で、その子のお父さんは、独身の頃からうちに時々来ていたので、生まれた時から知っていました。
相手に何かを伝えようと気持ちが焦るので、「ぼ、ぼ、ぼ、ぼくね・・・」って感じだった。そのたびにうちの母が、ゆっくり話しなさいと言っていた。いつまでどもっていたか覚えていないけれど、中学生の頃にはどもっていなかったな。小さいうちだけだったのかもしれない。

その子の事があったので、中学のクラスメートで「あ、あ、あ、あのね・・・」などとどもる女の子に、ゆっくりしゃべっていいよと言っていました。彼女は放送部に入っていて、お昼の校内放送をしたりしていたけど、その時には全くどもることがなかったので、不思議がっているクラスメートもいたわね。
校内放送には原稿があるし、早く話す必要はないし、相手の顔が見えないお昼の校内放送は、彼女にとっては精神的に落ち着いた環境だったんでしょうね。

しかしジョージ6世は国王。
ラジオの放送は、イギリス国民だけでなく、植民地の人々も聞いている。そのプレッシャーは民間人とは、天と地の差。
しかも王位継承者は、幼少の頃から帝王学を学び、別格に養育されるのに、彼の場合は、自分の意に反し、突然王位につかされた。

Thekingsspeech

オスカーにノミネートされたコリン・ファースの演技は、見ているこっちまで言葉につかえてしまいそうです。
どれだけの重圧が彼にかかっていたか、その心情は充分に伝わってきます。

真面目で内向的だけど、時には短気で怒鳴るヨーク公。

ユニークな治療をするローグは、国王を特別扱いせず、身内だけの愛称の“バーティ”と呼び、対等な関係でいたいからと、宮廷ではなく、国王を自分の診療所に来させます。

最初はローグの方針に合意できないヨーク公でしたが、徐々に彼を信頼して行く様子が描かれます。
戴冠式の時には、ローグを身内の席に座らせました。

ジェフリー・ラッシュが、コミカルなパートを担当。
ローグの治療の様子は、笑えます。だだ、予告編とかで面白い場面を見ていたのが残念です。

内向的で早死にしたジョージ6世と違い、エリザベス女王の母、エリザベス皇太后は、101歳まで長生きしたので、彼女に関する話は少しだけ知っていました。
2000年には、100歳を祝うパレードがイギリスでありましたが、皇太后は終始笑顔で手を振っていたそうです。気さくでパーティー好きで、お酒も好きだったらしいです。
第二次大戦中には、国民の士気高揚につとめて、ヒトラーにヨーロッパで一番危険な女性と言わしめました。
若い頃は、ダイアナ妃並みの人気があったとか。

映画の中でも、陽気でおおらかな感じの女性として描かれていました。

ウィンストン・チャーチル役は、ハリポタにも出演している、ティモシー・スポールでした。

(鑑賞日2月14日)

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【映画】あ行」カテゴリの記事

コメント

歴史ではあるけれどついこの間のことなんですよね。
それだけに何だか話がリアルで…。
単に吃音を治療する話ではなくて、王室の政治的な立場だとか国民との関係、
ジョージのパーソナリティまで掘り下げた面白さが印象的でした。
ティモシー・スポールの励ましの一言って何気に効いてましたよね。(笑)

★KLYさん
英国王室の内情がわかって興味深かったです。

>ティモシー・スポールの励ましの一言って何気に効いてましたよね。(笑)

のちに首相になった人ですからね。

日本でもこういう形で映画にしてほしいと思っています。
宮内庁のことをもっと知りたいですしね。
でも、誰をモデルにするかで、かなりのチェックが入りそうで無理かな(笑)

★itukaさん
日本では考え方が違いますからね。
英国では、王室は自分達国民が養ってやっているという感覚が強いのだとか。
「クイーン」のようにまだ健在な方の話は、日本では無理でしょうね。

さすが作品賞ゲット!
今流行のCGなど使わずに、演出と俳優達の演技で見せる作品でしたねっ。

コリン・ファースの王族としての、威厳、品格、
しかし、繊細さもあって、人間らしさも出ていて、素晴らしかったですよね
本当は手の届かない王が主人公ながら、結構親しみやすさも感じられて、
身近に思え、共感出来ました。

あのスピーチのシーンは涙が出て、感動しました。
笑いあり、涙ありでした。

★紫の上さん
それぞれの演技力で、説得力がありましたね。

私も見てて、実は高校のときの世界史の先生を思い出したのでした。
バ行が苦手で、なのに世界史って、バ行がやたら多くて、聞いてるこっちが緊張してるようでした。バビロンとか、ヴィクトリアとか、ブルボンとか・・・
聞いてる方も、きついのが吃音なんだなあと思いながら見てました。
でも、よく出来てましたね。役者も素晴らしかった。それぞれの「やったー!」と言うどや顔もよかったです。

★sakuraiさん
>バ行が苦手で、なのに世界史って

そんな先生がいらしたんですか。よく教師という職業を選びましたね。

実力者の役者ぞろいで、見事でしたね。

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