トゥルー・グリット
タフガール
公式サイト http://www.truegrit.jp
ジョン・ウェイン主演「勇気ある追跡」(1969)のリメイク
原作: トゥルー・グリット (チャールズ・ポーティス著)
監督: ジョエル&イーサン・コーエン
父親を雇い人のトム・チェイニー(ジョシュ・ブローリン)に殺された14歳のマティ・ロス(ヘイリー・スタインフェルド)は、遺体を引き取りにオクラホマ州へやってきた。チェイニーに罪を償わせようと、連邦保安官のルースター・コグバーン(ジェフ・ブリッジス)をお金で雇う。テキサス・レンジャーのラビーフ(マット・デイモン)も、別の容疑でチェイニーを追っていて、3人は一緒に、チェイニーが逃げ込んだ先住民居留地に向かう。
製作総指揮に、スティーヴン・スピルバーグが名を連ねています。
「勇気ある追跡」は未見ですが、今回のほうが、女の子を主人公にした原作に沿った作りだそうです。
中年女性が少女時代を語り、冒頭で仇を取ったと言っているので、結果はわかっていますが、どのような過程だったのか。
全体としては、オーソドックスな西部劇の作りかしら。
コーエン兄弟の暴力描写はいつも結構過激なので、縛り首の場面とかは、目を背けたくなりました。
父親を失ったマティ・ロスは、頭が良くて度胸もある女の子。父親亡き後、家族は自分が支えなくてはという気構えです。
父の葬儀や現地の後始末なども、物怖じせず大人顔負けの交渉術です。
保安官達は他の凶悪犯の追跡が優先で、チェイニーを追う気がないのを知ると、凄腕で“真の勇者”と言われるコグバーンを雇います。
コグバーンも、他の容疑でチェイニーを追ってきたラビーフも、マティは子供だからと、彼女を置いて出発しますが、馬で川を渡って追いかけてきたマティに驚き、ここで彼女に対するふたりの評価が変化します。
マティはとにかくタフ。しかしそれでもまだ14歳なので、子供らしい面もあります。
チェイニーの居所を話した男が、仲間に撃たれて亡くなる前に、コグバーンはちゃんと埋葬してやるからと言います。しかし冬の今は地面が硬くて埋葬できないと、コグバーンがそのまま小屋の前に置いた遺体を、何度もかわいそうに見つめるコティ。現実の厳しさを知ります。
撮影開始当時、13歳だったというヘイリー・スタインフェルドの演技がすごいです。ベテラン俳優に混じって、物怖じせず、堂々と渡り合う様子は、本当に13かと思うほど。
マティが、父親のコートと帽子を身につけた姿が凛々しい。父親の銃も持って、仇を追います。さすがに銃は使い慣れてはいませんけど。
ジェフ・ブリッジスも、乗馬がうまいんですね。
コグバーンは凄腕ながら、大酒飲み。できる男だけど、欠点も多く持ち合わせている人物なのだ。「クレイジー・ハート」のキャラとかぶる部分がありますね。
マティが蛇に噛まれて命が危ないと知ると、必死で走ります。
何せ広い荒野。馬を動けなくなるまで全力疾走させ、そのあとはマティを担いで。
ラスト、墓の前に凛々しく立つマティがいいですね。彼女にとってコグバーンは大恩人。時代は変わったけれど、お互い、開拓時代を逞しく生き抜きました。
いい余韻が残る映画でした。
チェイニーが身を隠す悪党一味のボス、ネッド役に、バリー・ペッパー。久しぶりに見たような。
(鑑賞日3月20日)
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110分、2011年3月18日公開
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ほんとオーソドックスな西部劇でしたね。
私は昔から、西部劇が大好きなので、絶対みたいと思っていました。
近くのシネコンで上映いていず、池袋まで電車で行くのは嫌なので、
高速を使って、行ってきました。
でもこれぞ大きなスクリーンで見る価値がありましたね
西部の自然の美しさを堪能し、そして、自然の厳しさを知りました。
冬は地面が固くて、埋葬できない・・・とは厳しいですね。
そうですね、ジョン・ウェインよりも14歳のマティが主人公で良かったと思います。
そう、私もマティの交渉術には関心しました。とても14歳とは見えないです。
うふふ、日本の外交官や政治家も彼女の交渉術を見習って欲しいとおもいました。
で、ジョシュ・ブローリンの影がちょっと影が薄かったと思いましたが・・・。
投稿: 紫の上 | 2011年4月 7日 (木) 12:34
★紫の上さん
西部劇なので、上映館が少ないのでしょうか。
当時の西部で女が生き抜くには、マティくらいの度量がないとね。
ジョシュ・ブローリンは思ったより、大きな役ではありませんでしたねえ。
投稿: 風子 | 2011年4月 7日 (木) 13:34
いろいろあってやっと見ました。
コーエン兄弟監督作品にしてはリメイクだからか割とオーソドックスな西部劇という印象です。
細かい所はかなりクセがありますが。
父親の復讐をする少女役のヘイリー・スタインフェルドがいいです。
保安官役のジェフ・ブリッジス、テキサスレンジャー役のマット・デイモンも好演していましたね。
ラストは原作に忠実らしく、小林信彦が書いていた様にデスペレートな終り方ですが、割とキリスト教的な終り方なのかもしれません。
この映画も沢木耕太郎さんが「銀の街から」でも取り上げていました。
http://doraku.asahi.com/entertainment/movie/review/110316_2.html
投稿: きさ | 2011年4月 9日 (土) 06:54
★きささん
>細かい所はかなりクセがありますが
コーエン兄弟にしてはオーソドックスな西部劇でしたが、細部には、コーエン兄弟らしさがあったと思います。
投稿: 風子 | 2011年4月 9日 (土) 12:22
こんにちは♪
いつもTBではお世話になってます。
今回ブログを引っ越しました。
改めまして、今後ともよろしくお願いいたします。
投稿: yukarin | 2011年4月12日 (火) 13:26
★yukarinさん
お引越し了解しました。
今度はこちらからTBできますね。
投稿: 風子 | 2011年4月12日 (火) 16:06
堂々たるマティぶりは素晴らしかったですね。
タフさのかげに、腰が引けてるのを絶対に見せまいとする強がりなんかも見えて、本当にうまかったと思います。
その辺は地で行けたかもね。
ちょっとグロいとこはコーエンらしかったけど、全編引き込まれました。
投稿: sakurai | 2011年5月18日 (水) 08:05
★sakuraiさん
ヘイリー・スタインフェルドが、オスカーにノミネートされたのも納得の演技でした。
今後が楽しみですね。
投稿: 風子 | 2011年5月18日 (水) 15:16
TBありがとうございました。
コーエン兄弟で復讐もの。
期待大でしたが、意外にあっさり。
拍子抜けでした(笑)
最後に、今年もよろしくお願いします。
投稿: Yoshimi | 2012年1月10日 (火) 00:19
★Yoshimiさん
オーソドックスな感じでしたね。
でも、ヘイリー・スタインフェルドの演技はすごかったと思います。
こちらこそ、今年もよろしくお願いしますね。
投稿: 風子 | 2012年1月10日 (火) 09:53