BIUTIFUL ビューティフル (試写会)
父として生きた
公式サイト http://biutiful.jp
6月25日公開
カンヌ映画祭主演男優賞受賞
監督: アレハンドロ・ゴンザレス・イニャリトゥ 「バベル」 「21グラム」
スペインのバルセロナで、幼い2人の子供をひとりで育てながら暮らすウスバル(ハビエル・バルデム)。生活のために、時には非合法な仕事もしていた。
そんな彼はある日、医師から末期がんで、余命2ヶ月と告げられる。
あいからわず、イニャリトゥ監督作は暗~~い。
社会の最底辺にいる人達を描き出します。その様子が、見ていて悲惨で辛い。
「恋するバルセロナ」と違って、バルセロナの闇の現状は、こんななのかと思いました。
ただこれまでのように、必要以上に時間軸をシャッフルしていないので、その点は見やすかったです。
失業率の高いバルセロナにいる不法移民たち。
ウスバルは、アフリカ系移民やアジア系の移民の、ブローカーのような事をしています。そして死者の声を聞ける霊媒師で、その仕事もしています。
そんな中、病院で診察を受けると、前立腺がんで、それが転移していて、治療しても余命は2ヶ月だと宣告されてしまいます。
別れた妻は、ヤク中で身持ちが悪い。
兄も、子供を任せられるような人ではない。
元妻や兄、子供達にも、自分の病状を話せません。
自分の死後、子供の面倒を任せられる相手がいない。
とりあえず、できるだけお金を稼ごうとします。
不法移民たちに、良かれと思った事が裏目に出たり、辛い毎日の中、日に日に症状は悪化し、死期が近づいてきます。
彼にできるのは、子供達を愛することだけ。
自分を覚えていて欲しいと望むだけ。
苦しみながら必死に生き、子供を愛するパルデムの演技は、胸に刺さります。
冒頭の真っ白な林の中で話している相手は、誰なのかと思いましたが、ラストで同じ場面が出てきました。会話の意味とその場所が意味するものが、わかりました。
誰にでも死は訪れます。でもそれがいつ、どのようにやってくるのか、わかりません。
辛い映画ですが、静かに心に沁みる感じでした。
(鑑賞日6月16日)
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わけでもないけれど、それでも目が釘付けになってしまいました。
やっぱり非常にシビアな現実だからこそ、逆に我々にとっても無意識のうち
に身近に感じられてしまうのかもしれませんね。
投稿: KLY | 2011年6月19日 (日) 23:27
★KLYさん
幼い子供の事が心残りな、ごく普通の父親でしたね。
>やっぱり非常にシビアな現実だからこそ、逆に我々にとっても無意識のうち
に身近に感じられてしまうのかもしれませんね。
そうですね。現実にいる父親像として感じられましたね。
投稿: 風子 | 2011年6月20日 (月) 08:20
重い現実を投げかけた映画でしたね。
状況を察した娘とトイレで抱き合いながら泣くシーンに、私も涙ポロポロでした。
移民や不法滞在者を扱う映画は他にもありますが、
サスペンス、アクションぽいのが多いです。
この映画はそれとは違うトーンで、胸が痛かったです。
投稿: 小米花 | 2011年7月 8日 (金) 16:38
★小米花さん
死期が迫っても、現実にできる事は、いつもどおりのことでしかないんですよね。辛い現状でした。せめて子供達の心に残ればと思いますね。
投稿: 風子 | 2011年7月 8日 (金) 18:13