ファミリー・ツリー
アロハ
ダメオヤジのクルーニー
公式サイト http://www.foxmovies.jp/familytree
原作: ファミリー・ツリー (カウイ・ハート・ヘミングス著/ヴイレッジブックス)
監督: アレクサンダー・ペイン 「アバウト・シュミット」 「サイドウェイ」
オアフ島に暮らすマット・キング(ジョージ・クルーニー)は、人生の転機を迎えていた。妻のエリザベスが事故にあい、意識不明の昏睡状態となってしまったのだ。それまで仕事に明け暮れていたマットは、今度こそ良き夫、理想の父親になると誓う。しかし、家庭をないがしろにしていたマットには、10歳になる次女のスコッティをどう扱っていいのか見当もつかない。さらにマットには、もうひとつ大きな課題があった。カメハメハ大王の血を引く彼は、カウアイ島に先祖から受け継いだ広大な土地を所有しているのだが、それを売却して巨額の富を得るか、自然を守るかの決断に迫られていた。
妻の病状が思わしくなく、全寮制の高校に入っている長女のアレックス(シャイリーン・ウッドリー)を迎えに行って帰宅すると、アレックスから、妻が浮気していたと聞かされ、親友夫妻を問い詰めると、妻は本気で離婚を考えていた言われる。
セクシーでかっこいいジョージ・クルーニーが、今作では妻の浮気にも全く気づかなかった、情けな~い寝取られ夫のダメオヤジ。走り方も、役に合わせて、全くかっこよくなく、見事に演じていました。
娘たちとも最初は大きな距離があり、翻弄されるマットですが、次第にその距離が縮まっていく様子が良かったです。やっぱり家族は大事にしなくちゃね。
一緒に困難な時を過ごして乗り越えると、絆は深まるもの。
この監督は人生の悲哀を、ユーモアを交えて描きますよね。
笑っちゃう場面も多々ありました。
長女がなーんでオバカなシド(ニック・クラウス)といるのだろうと思ったけど、のーてんきに見える彼も、実は最近父親を失っていたの,ね。
このオバカ役、好演でした。
シャイリーン・ウッドリーも、様々な感情が入り混じる長女役を、うまく演じていたと思います。
風景や音楽など、ハワイの雰囲気も満喫できる映画でした。
家庭の事は妻任せで、典型的な熟年離婚されるタイプの夫。
妻が昏睡状態になり、やっと妻子との関係を修復しようと決意するも、妻には恋人がいて、しかも自分と離婚するつもりでいたと知り、愕然とするマット。
怒りをぶつけようにも、妻は意識がなく口もきけない状態だから、ケンカすらできない。やり場のない怒りは増すばかり。
しかし、医師からは妻は回復の見込みがなく、生前彼女は延命治療を望まないとの正式な書類を作成していたので、装置をはずす予定と宣告されます。
顔が知りたいと、マットはアレックスが妻と相手の男を見かけた場所に行ってみますが、男は現われませんでした。しかし、男の名前と顔がある広告の看板を見つけ、男が不動産業者だとわかります。
妻が本気になっていたのなら、きっと妻はその相手に会いたいはずだと、マットはその男を妻に会わせようとします。
でも色々探っていくと、浮気相手のブライアン・スピアーには妻子がいる事、彼にとってはただの遊びだった事がわかります。
妻の浮気に怒りながらも、妻の父親に自分が責められてもその事は言わず、浮気相手にも、彼の家族に知られないように妻の病状を伝えて、病院に面会に来るように言います。このあたりは、一応分別のある大人の男。怒りもあるけど、妻をほったらかしにしていたのも事実だものね。
延命装置をはずして、死んでいくのを見るのは辛いですねえ。
昏睡状態の妻を演じたパトリシア・ヘイスティは、衰えていくのを如実に表現するため、わざと寝ずに数夜を過ごし、ゲッソリした様を生かして撮影した後、約10キロの減量をして末期の姿を熱演した結果、セリフがないのでエキストラ扱いの予定が、エンドクレジットにも名前が載り、主役格扱いなったそうです。
確かに、見事にやせこけていたわよね。
一方の土地問題。
土地を売るかどうか、一族の投票が間近。売却に反対する者もいますが、ほとんどは売却に賛成で、地元の業者に売却する予定です。売却すると一族に大金が入り、土地はリゾート開発される。
マットも売却に賛成でしたが、これまでないがしろにしていた家族と過ごして、自分のルーツや流れる血、受け継がれていくものに対して考えるようになります。
(鑑賞日5月19日)
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へえ~、そうだったんですか。
うん、見てて、凄い痩せ方だと思って、これは最近流行のVFX?とまで思ったのですが、それは凄い。
役者魂ですねえ。
何かを失ったけど、何かを得られた。。そんな優しさが感じられました。
投稿: sakurai | 2012年5月28日 (月) 15:29
★sakuraiさん
ベットに寝ているだけの役ですが、10キロ減量とは、やっぱり女優ですね。
マットと娘達には、家族の絆が感じられましたね。
投稿: 風子 | 2012年5月28日 (月) 16:43
ジョージ・クルーニーの最高傑作なんていわれてますが、少なくとも彼の演技と言う意味では納得してしまうほど良かったです。欧米だけじゃなくて、娘を持つお父さんは多かれ少なかれ彼に共感をしてしまう部分があるんではないでしょうかね(笑)
あのラストシーンがホントに好きです。微妙な距離感なんですよね、これからもっと近づくのかな?^^
投稿: KLY | 2012年5月29日 (火) 17:36
★KLYさん
ジョージ・クルーニーは、こんな情けないオヤジもできちゃうんですよね。
ソファーに3人でいる様子が、父娘の関係の変化を感じられてよかったです。
投稿: 風子 | 2012年5月30日 (水) 09:31
こんにちは、
私のMac5年目で古いので風子さんのところが
重くてなかなか立ち上がるの時間かかってしまいます
すみませんー(涙)
コメしたんですがはいってなかった
アレクサンダーペイン監督らしい作品でユーモアあってよかったですよね、
ジョージも普段プライベートの独身貴族から
子持ちで悩む役、なかなかハマってました〜☆
投稿: mig | 2012年5月30日 (水) 11:21
★migさん
この監督さんて、ちょっと皮肉った部分もありますよね。
プライベートとは違う、ごく普通の悩める夫でお父さんに見えました。^^
投稿: 風子 | 2012年5月30日 (水) 14:40
普段は、クールでスタィリッシュなジョージ・クルーニーが、
アロハシャッツに短パン、サンダル履きで、すっかりおじさんになり、
おじさん走りをしていたけど、デモ、彼だから見せてくれましたよね。
結構深刻なテーマなのに、ハワイアンとハワイの自然が、緩和させてくれて、いました。
あの長女の彼、最初はオバカにみえたけど、正にさびの要素でした。
あのハワイの解放されれた雰囲気、とっても良いですねっ
投稿: 紫の上 | 2012年5月30日 (水) 19:22
★紫の上さん
ジョージ・クルーニーの好演でしたね。
ハワイの空気が、おおらかな気持ちにしてくれました。
投稿: 風子 | 2012年5月31日 (木) 12:04