夢売るふたり
女心は複雑
公式サイト http://yumeuru.asmik-ace.co.jp
原案・脚本・監督: 西川美和 「ゆれる」 「ディア・ドクター」
東京の片隅で小料理屋を営む貫也(阿部サダヲ)と妻(松たか子)の里子。店は小さいながらも繁盛していたが、開店5周年の日に、調理場からの失火が原因で店は全焼。もう一度やり直せばいいと前向きな里子とは対照的に、やる気を無くした貫也は、働きもせず酒びたりの日々。そんな貫也はある日、常連客だった玲子(鈴木砂羽)と再会し、酔った勢いで一夜を共にしてしまう。その事を知った里子は、結婚詐欺で金をだまし取る事を思いつく。店を再開する資金を稼ぐために貫也は、結婚したい実家暮らしの出版社のOL(田中麗奈)、男運の悪いソープ嬢(安藤玉恵)、孤独なウエイトリフティング選手(江原由夏)、幼い息子を抱えたシングルマザー(木村多江)など、言葉巧みに次々と接近する。
西川美和監督の作品て、楽しくないしわかりやすくもない。
様々で複雑な人間の心情を描いて、見終わって色々考えてため息が出る。
いろいろと他の人の意見を聞きたくなりますね。
貫也も里子も、完全な悪人でも、完全な善人でもない。
でも人間て、大体そんなもんでしょ。
貫也は憎めないダメ男。板前としては、生活のために妥協はできないし、理想を持つ。
妻の里子はしっかり者で、夫を支えている。
夫に結婚詐欺をさせるけど、妻としては、夫が他の女性と関係を持つ事に平気なわけはない。
貫也にだまされる女性達の、それぞれの事情と心情の描き方もうまいですね。
登場する女性達の心理はわかるけど、貫也の心理はどうなのか、男性の方に聞いてみたいですね。
だまされる女性達に申し訳ないという気持ちもあるみたいだけど、妻の事は本当のところどう思っているのかな。
どういう気持ちで結婚詐欺を続けていたのかしら。
男性はだまされる女達をどう思うのかなあ。
夫に対しいろんな思いが交錯する、松さんの表情がすばらしい。
玲子と交差点で偶然出会い、玲子にニコッとお辞儀をされた後の表情とか、ラストの表情とか。
夫婦って複雑で奇妙なものかも。
(鑑賞日9月10日)
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あら・・・明るい話かと思いきや・・・
意外とダークネスなんすね
けど面白そう~
投稿: ジョニー・タピア | 2012年9月12日 (水) 16:28
★ジョニー・タピアさん
西川美和監督ですから、お気楽コメディーではありません。
女って...
男って...
夫婦って...
感じです。
投稿: 風子 | 2012年9月12日 (水) 16:41
西川監督らしく色々キツイ映画ですね。
とはいえ「ゆれる」あたりと比べるとかなりユーモアも。
松たか子と阿部サダヲは好演、他にも鈴木砂羽、木村多江など俳優陣はみないいです。
ウェイトリフティングの選手役の江原由夏は本当の選手としか思えませんでした。
最初の方の阿部サダヲのダメ男っぷりはうまいです。
松たか子の演技も色々と怖いです。
ラストは西川監督らしく観客の心に投げかける様な終り方ですが、実は最初の構想では全く違うエンディングだったのだそうです。
見ごたえのある映画ですが、137分はちょっと長かったかな。
「夢売るふたり」に関しては、ほぼ日刊イトイ新聞の糸井重里と西川美和監督の対談が面白いです。
http://www.1101.com/nishikawa2012/2012-09-04.html
投稿: きさ | 2012年9月14日 (金) 05:23
★きささん
わたしも糸井さんと西川監督の対談読んでます。
裏話もわかって面白いですね。
投稿: 風子 | 2012年9月14日 (金) 15:27
いつもながら、すさまじいものをつくりだしますよねえ。
決して楽しくはないですが、一瞬たりとも目が離せませんでした。
男なんて、あんなもんでしょ。ふらふらと。好かれれば嬉しいし、ついてきてくれれば浮かれるし、本当痛い目に遭わないと分からなかったりと、監督のある意味、男性感のような気もしました。
投稿: sakurai | 2012年9月16日 (日) 08:42
★sakuraiさん
女性の心の隙間にうまく入り込む阿部さんは、イメージに合っていて適役でしたね。
投稿: 風子 | 2012年9月16日 (日) 13:45
この映画観たかったんですよね~
出演者的にも監督的にも気になって・・・。
でも、当分映画館には行けそうもないので、DVD出るのを待たなくちゃ・・・。(><。)
投稿: yuki | 2012年10月 3日 (水) 20:54
★yukiさん
お母さんになられて、当分は赤ちゃんのお世話で大変ですね。
映画館でなくても、レンタルならいつでも見られますから。
投稿: 風子 | 2012年10月 4日 (木) 13:42