危険なメソッド
自分の精神分析はむずかしい
公式サイト http://dangerousmethod-movie.com
クリストファー・ハンプトン作の戯曲“The Talking Cure”の映画化
監督:デヴィッド・クローネンバーグ
1904年、チューリッヒのブルクヘルツリ病院に勤める29歳の精神科医ユング(マイケル・ファスベンダー)は、精神分析学の大家フロイト(ヴィゴ・モーテンセン)が提唱する“談話療法”を、新たな患者ザビーナ(キーラ・ナイトレイ)に試みる。まもなくユングは、彼女が抱える性的トラウマの原因を突き止めることに成功するが、医師と患者の一線を越えてしまう。ふたりは秘密の情事を重ねるようになり、ザビーナをめぐるユングの内なる葛藤は、フロイトとの友情にも亀裂を生じさせていく。
性衝動や性癖は、何が正常かとか、どこまでが正常かとかはっきりできない微妙な問題よね。
常識と同じく、絶対的定義があるわけでなく、時代や環境によっても変わるしね。
ユングの患者となったザビーナは、裕福な家庭で育ち、医者を志す学生。
ロシア人だけど、ユダヤ人でもある。
談話療法を受ける時の、キーラの演技がすごい!
彼女がヒステリックなのは、自分の性癖を恥て、自分自身に腹を立てている感じかしら。しかしそう思いながらも、その衝動は消えないし抑えられないので、さらにもがき苦しんでいる。
彼女にとって一番の治療は、彼女の性衝動を発散させ満足させる事よね。
医者として彼女に接していたユングでしたが、フロイトの依頼で引き受けた患者グロス(ヴァンサン・カッセル)のささやく悪魔の誘惑に乗ってしまうのですね。
グロスは精神分析医でありながら、薬物中毒で快楽主義者。ザビーナに対する自分の性衝動を拒むなと言うんですよ。
グロスの言葉で、心が揺れるユング。
ユングを説得するヴァンサン・カッセルがうまいのよ。
ついに関係を持ってしまい、しかもその関係を続けていってしまう。
まあね、憎からず思っている女性から誘われたら、男はねえ~~...
一方、ユングがフロイトと初めて会った時、会話が弾み、師弟のような友情関係ができます。その時ユングは、まだザビーナと関係を持っていませんでした。
妻子がいるユングは、ザビーナとの関係に罪悪感を持ち、関係を絶とうと決意。
しかしそれを拒むザビーナは、ユングを脅迫。
だからこういう女と関係を持っちゃダメなのよ。
ユングはザビーナとの関係を正直にフロイトに打ち明け、何とかザビーナとの関係に終止符を打った。
ユングの妻はとっても裕福で経済的には心配がないので、ユングも研究に時間を割けたのでしょう。
ザビーナと駆け落ちしても、生活できませんからね。
ザビーナと別れたくはないけれど、現実問題として、一緒になってもふたりに未来はない。それはユングも充分わかっていた。
フロイトがユダヤ人だったとは知りませんでした。
フロイトとザビーナはユダヤ人。ユングはアーリア人で、プロテスタントの牧師の息子。
生い立ちの違いも、フロイトとユングの精神分析に対する理論の相違に影響を与えているのでしょうね。
主要キャストが演技力のある人ばかりなので、すんなり物語に入り込めました。
ユングとフロイトの夢分析も面白かった。
今作は、特にキーラの演技の見せ場が印象に残りました。
キーラはヌードも披露しているけど、ペチャパイなので、あまり色っぽくないかも。(笑)
(鑑賞日10月30日)
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TBありがとうございます。
クローネンバーグっぽくないですが意外と好きで2回みちゃいました。
投稿: mig | 2012年11月 1日 (木) 00:36
★migさん
実力のあるキャストをそろえているので、引き込まれますね。
投稿: 風子 | 2012年11月 1日 (木) 15:46
どんな大女優になっても、キーラの体当たり演技というか、出し惜しみしないというか、彼女の根性には、いつも感心させられます。
相変わらず、ムネタイラですがね。
とってもわかりやすくて、勉強にもなりました。
クローネンバーグ!ありがとう!!でした。
投稿: sakurai | 2012年12月 4日 (火) 09:41
★sakuraiさん
キーラはヌードシーンは拒まないようですね。
それぞれの人物について、よく知ることができました。
投稿: 風子 | 2012年12月 4日 (火) 12:46