インポッシブル (試写会)
津波で散り散りに
公式サイト http://gacchi.jp/movies/impossible
6月14日公開
実話を基にした映画
監督: J・A・バヨナ 「永遠のこどもたち」
2004年12月。マリア(ナオミ・ワッツ)とヘンリー(ユアン・マクレガー)は、3人の息子と共に休暇を過ごそうとタイにやって来る。楽しく過ごすはずの南国のバカンスだったが、クリスマスの翌日、彼らは未曾有の天災に巻き込まれる。一瞬にして津波にのみ込まれ、散り散りになった家族はそれぞれの無事を祈りつつ再会への第一歩を踏み出す。
2004年のスマトラ島沖地震では、ジェット・リーも家族でモルディブにいて津波に遭遇し、家族を抱えて必死で走ったとか。
鑑賞中、東日本大震災で被災した人達と重なっちゃって、ちょくちょくハンカチが必要になりました。
実際に津波をまのあたりにした人や、波にのまれたり家族を失った人にとっては、見るのは辛いかなあ。
もっと時間がたてば、見られる日も来るのでしょうか。
高台に避難した背の低い小学生たちには見えなかったけど、同じ場所にいる中学生のお兄さんお姉さんたちが海を見て涙を流しているので、なにかすごい事が起きていると感じたらしいとテレビで話していた先生もいたなあ。
セリフは英語だけど、スペイン製作の映画。
モデルとなった家族は、スペイン人なんですね。
映画では、夫の仕事の都合で日本に住んでいるアメリカ人一家みたいで、クリスマス休暇を過ごしに来たのかしら。
ヘンリーはビジネスマン。マリアは医者だけど、子育て中の今は仕事をしていない。
一家がプールで遊んでいると、突然海から押し寄せてきた巨大な波にマリアは飲み込まれ、流されてしまう。どんどん押し流される中、マリアは長男ルーカス(トム・ホランド)を見つける。お互い流されながらも、必死に合流を試みる。
何とか一緒にいることができたが、マリアは胸と脚に大怪我をしていた。
現地の住人達に発見され、彼らはマリアを病院まで運んでくれた。
しかし、ケガ人であふれかえる病院では、手当てや手術の順番も思うようにはこない。
病院に行くまでの道中、ヘンリーは大勢の死人やケガ人を目にします。
どんな気持ちだったかと思うと、胸が詰まります。
一方ヘンリーは、木にしがみついていた次男トマスと三男サイモンを見つけるが、マリアとルーカスを必死に探していた。二人の息子を高台に行くトラックにのせて、ひとり残って探し続けるヘンリー。
マリアとルーカスは、かなり遠くまで流されてしまったのでしょう。
ヘンリーは宿泊していたホテル周辺を探していましたが、その後はずらっと並ぶ遺体を一つ一つ確認したり、ケガ人が収容されている場所をあちこち見に行きます。
どんな気持ちで探していたかと思うと、たまりませんねえ。
亡くなった人も大勢いたけど、ヘンリーと同じ様に、家族を探す人も大勢いたんですよね。
津波の映像もすごいですが、波に翻弄されるマリアの映像は、見ていてつらい。
様々な物にぶつかり、なすすべもなく流されていく。
東日本大震災で被災した人達の話が終始思い出されて、しばしば涙。
つないでいた手が離れ、娘が流されて行くのを見ているしかなかったとかね。
重症で病床にいるマリアは、夫と下の2人の息子は死んでいる。自分が死んだらルーカスは一人ぼっちになってしまうと思っている。
きれいなナオミ・ワッツが、顔も体もぼろぼろでベッドに横たわっている。
いつもなら両親に守られるルーカスのそばには、重症で横たわる母親しかいません。彼が母の面倒を見なくてはいけませんし、母親から、何か他人のためにできる事をしなさいと言われます。
被災したことで、彼は成長していきます。
一方、妻と長男を探し回るヘンリーも、精神的にかなりまいっています。しかし息子達の前でそんなそぶりはできません。他人から携帯電話を借り、身内と話しているうちに泣き崩れてしまうヘンリーにもらい泣き。
とにかく登場する人達の心情を思うと、涙なくして見られませんね。
マリアとルーカスは、避難する途中でダニエルという幼い男の子を助けて、一緒に高い木に登るのですが、ダニエルが傷だらけでルーカスに助けてもらいながらやっと木に登ってきたマリアの頭を優しくなでるシーンでも涙でした。
まあただ、バカンスに来るのはリッチな外国人ですからね。
マリアは現地の病院で手術を受けたけど、その後は保険会社の専用機で、シンガポールの病院に運ばれる。
(鑑賞日5月10日)
« L.A. ギャング ストーリー | トップページ | プレイス・ビヨンド・ザ・パインズ/宿命 (試写会) »
「【映画】あ行」カテゴリの記事
- ヴェノム:ザ・ラストダンス(2024.11.09)
- 弟は僕のヒーロー(2024.01.23)
- アクアマン/失われた王国(2024.01.19)
- エクスペンダブルズ ニューブラッド(2024.01.14)
- ウォンカとチョコレート工場のはじまり(2023.12.15)
コメント
トラックバック
この記事へのトラックバック一覧です: インポッシブル (試写会):
» インポッシブル(’12) [Something Impressive(KYOKOⅢ)]
30日(火)、虎の門のニッショーホールで「インポッシブル」試写会、招待メールが来ていて、都合も合ったので、「いい加減な・・・」ブログのいい加減人(Yamato)さんとご一緒して見てきました。
'04年のスマトラ島沖地震題材の、実話ベースのスペイン・アメリカ合作作品、手掛けたのはスペインのJ・A・バヨナ監督、主演は一家の母マリア役ナオミ・ワッツ、父ヘンリー役ユアン・マクレガー、
ユアン・マクレガーは、私は3月の試写会での「ジャックと天空の巨人」に続いて、で、その時は姫とジャックをサポー... [続きを読む]
» インポッシブル /The Impossible [我想一個人映画美的女人blog]
ランキングクリックしてね larr;please click
2008年のアカデミー賞外国語映画賞のスペイン代表に選ばれた
怖いだけじゃない、お気に入りのホラー「永遠のこどもたち」のJ.A.バヨナ監督作
ということで楽しみにしていた作品。
実は1ヶ月も前に試写で...... [続きを読む]
» ショートレビュー「インポッシブル・・・・・評価額1550円」 [ノラネコの呑んで観るシネマ]
生きることを、諦めない。
実に23万人もの犠牲者を出した、2004年のスマトラ島沖地震による大津波。
本作は旅先のタイでこの津波に遭遇し、一家離散しながらも壮絶なサバイバルを生き延びて再会を果たした...... [続きを読む]
» 「インポッシブル」☆実体験の恐怖 [ノルウェー暮らし・イン・原宿]
ロンドンのときのお友達に、このスマトラ島沖の津波を実際に体験したというご家族が居た。
まさにこの映画に登場する家族と同じ。
彼女の体験談を聞いて私が想像したものは、まるでその10分の1ほどでもなかったのだと痛感。
勿論、この映画はドキュメンタリーではないのだけど・・・・・... [続きを読む]
» 『インポッシブル』あまりにつらい、でも観る意味。 [Healing]
インポッシブル THE IMPOSSIBLE ★★★★☆ 4.5 不可能かもしれなかった命の生還 生かされている、その意味を問う 2004年、スマトラ島沖地震後に発生した大津波に遭遇した、ある家族の実話を映画化。 モデルとなったスペイン在住中のマリア・ベロンさんは、脚本にも助言をし、 自分が被災した場所での撮影にも立ち会ったそうです。 来日して、東日本大震災... [続きを読む]
» 映画「インポッシブル」@一ツ橋ホール [新・辛口映画館]
今回私は映画サイト「Gacchi」の試写会に招かれた。客入りは6~7割くらい。本編上映前に配給元プレシディオの宣伝担当さんから、東日本大震災を経験した日本で本作が上映がされるまでの経緯が語られた。... [続きを読む]
» ナオミ・ワッツ、ユアン・マクレガー『インポッシブル (Lo Imposible)』J・A・バヨナ監督 [映画雑記・COLOR of CINEMA]
注・内容、台詞に触れています。スマトラ島沖地震後に発生した津波に遭遇した一家の実話を基に映画化『インポッシブル』監督は『永遠のこどもたち』のフアン・アントニオ・バヨナ(J・A・バヨナ)。主演はナオミ・... [続きを読む]
» インポッシブル 津波の怖さとはこれなのか! [労組書記長(←元)社労士 ビール片手にうろうろと〜]
【=35 うち今年の試写会5】 「2004年のスマトラ島沖地震による津波に巻き込まれたスペイン人一家の実話を基にして作られた映画。予告編ではワッツとマクレガーが『希望、勇気、家族の愛について問い掛ける物語で、被災者の方々への大きな敬意を示した作品です』と、東日...... [続きを読む]
» この状況下で人は・・・ [笑う社会人の生活]
24日のことですが、映画「インポッシブル」を鑑賞しました。
マリアとヘンリーは3人の息子と共にタイにやって来た。
しかし 彼らは未曾有の天災に巻き込まれ 一瞬にして津波にのみ込まれ散り散りになってしまい・・・
スマトラ島沖地震後に発生した津波に遭遇した一家の...... [続きを読む]
» インポッシブル ★★★★ [パピとママ映画のblog]
ナオミ・ワッツとユアン・マクレガーが主演を務め、スマトラ島沖地震後に発生した津波に遭遇した一家の実話を基に描く感動の人間ドラマ。突如襲った災害により一時は離散してしまうも、諦めることなく生き抜いた家族の絆を描き出す。監督を務めるのはデビュー作『永遠のこ...... [続きを読む]
» 寄せては返す波のようで J・A・バヨナ 『インポッシブル』 [SGA屋物語紹介所]
いまも多くの人々の記憶にはっきりと焼きついている東日本大震災。直後はその影響で様 [続きを読む]
» インポッシブル (試写会) THE IMPOSSIBLE [まてぃの徒然映画+雑記]
2004年、スマトラ沖大地震の大津波で実際にあった出来事を元にしたストーリー。主人公の1人マリアを演じたナオミ・ワッツがアカデミー主演女優賞にノミネートされました。昨年の東京国際映画祭では、チケットが発売後すぐに売り切れて、鑑賞した人から「ぜひ今の日本で公...... [続きを読む]
» 映画『インポッシブル』を観て [kintyres Diary 新館]
13-54.インポッシブル■原題:Lo Imposible(英題:The Impossible)■製作年、国:2012年、スペイン■上映時間:113分■料金:1,800円■観賞日:6月29日、TOHOシネマズシャンテ(日比谷)
□監督:J・A・バヨナ◆ナオミ・ワッツ◆ユアン・マグレガー◆トム・ホラ...... [続きを読む]
訪問&TBありがとうございます。
風子さんも試写会でご覧になったんですね。
アンケートや配給会社のあいさつはありましたか?
私はその2つが押しつけがましくて、なんか引いて観てしまいました。
映画の舞台となったスマトラ沖地震と、東日本大震災の被災者のことを考えると、複雑な心境です。
投稿: すぷーきー | 2013年6月10日 (月) 19:53
★すぷーきーさん
>アンケートや配給会社のあいさつはありましたか?
ありました。
帰りを急いでいたので、アンケート用紙は書かなかったですけど。
被災者の方々を考えると辛いですが、「津波」という概念がない外国人に知ってもらうには良いと思います。こういう被害にあわないためにどうすればよいのか、警鐘になってくれるといいなぁ。
投稿: 風子 | 2013年6月10日 (月) 20:39
劇場へ向かう足は重くなりましたが、観て良かったです。
絶望の中の希望こそ、人間が生み出すものなのだと痛感しました。
投稿: オリーブリー | 2013年6月19日 (水) 02:03
★オリーブリーさん
どんなに辛くても、希望を捨ててはいけないんですね。
投稿: 風子 | 2013年6月19日 (水) 10:52
伝えたいこともわかるし、とっても大事なことを描いているのはわかるんですが、なんかいろいろと違和感を感じてしまいました。
長男君がよかったですね。
ばっちり唾付けました。
投稿: sakurai | 2013年8月 9日 (金) 15:56
★sakuraiさん
長男くんの頑張りが、いじらしかったです。
投稿: 風子 | 2013年8月 9日 (金) 16:27