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2013年7月18日 (木)

25年目の弦楽四重奏

25年のその先は

A_late_quartet

公式サイト http://25years-gengaku.jp

第1バイオリンのダニエル(マーク・イヴァニール)、第2バイオリンのロバート(フィリップ・シーモア・ホフマン)、ビオラのジュリエット(キャサリン・キーナー)、チェロのピーター(クリストファー・ウォーケン)から成るフーガ弦楽四重奏団は、結成25周年を迎えようとしていた。そんな時、ピーターはパーキンソン病の告知を受け、引退を申し出る。残されたメンバーは動揺すると同時に、今まで抑えてきた感情や葛藤が露呈し、メンバー内に不協和音が響き始める。

かなり混んでいましたが、シニア率がかなり高く、半分以上じゃないかと思われました。
いつでも千円の方は、レディースデイは避けてほしいですぅ。┐(´-`)┌

映画館の音響で弦楽四重奏が聞きたいと思ったのですが、人間ドラマがメインで、予想より演奏はずっと少なかったです。

フーガ弦楽四重奏団は、ジュリアードを卒業したばかりのダニエルが、教授のピーターを誘ったのが始まりで結成されました。

A_late_quartet2

30歳も年上のピーターは、いつかは自分が楽団から先に去る日が来るとは覚悟していましたが、まさかの病気。しかも妻には先立たれている。しかし、教え子でもある他の3人に対しては気丈に振舞い、自分の後任にはニナ・リーがいいと提案します。

すると今ままでピーターの存在があったからこその結束が、崩れ始める。

メンバーそれぞれの長年の思いや感情が描かれますが、どれも共感できるものでした。

ベートーヴェン 弦楽四重奏曲第14番嬰ハ短調作品131は、7楽章を途切れることなく演奏するので、演奏途中でチューニングができず、歪んでいく音色の中に調和を探し続けなければならない。そんな曲に合わせた人間模様が展開していきます。

新しいメンバーが入って音が変わるならと、ロバートは、暗譜での演奏や、第2だけでなく第1バイオリンもやりたいと言い出します。

ロバートの妻は、チェロのジュリエット。ジュリエットは彼と結婚する前、ダニエルと付き合っていた。ロバートは、妻は妊娠したためにしかたなく自分と結婚したのではないかと思っている。
自分は第2バイオリンをやりたかったわけではないのに、それに甘んじてきた。自分にだって第1バイオリンの才能はあると主張。

ジュリエットは、母を亡くしてからピーター夫婦がずっと面倒をみてくれたので、娘も同然の存在。ピーターの病気と引退に激しく動揺。
ピーターは昔組んでいた楽団を、団員であったジュリエットの母の死を機に解散した。

ロバートとジュリエットのひとり娘アレクサンドラ(イモージェン・プーツ)も、ピーターの教え子だ。第1バイオリンの才能があるからと、ピーターはダニエルに彼女の指導を頼みます。

A_late_quartet3

昔ジュリエットと恋人同士だったダニエルは、アレクサンドラと恋仲に。本気だし、昔のようにあきらめたくないと、ジュリエットやピーターに別れるように言われても、断固拒否。
彼がソリストにならずに弦楽四重奏を選んだ理由も、彼の別の一面がうかがえてよかった。

またアレクサンドラは、子供の頃から両親が演奏のため1年の半分以上、自分のそばにいなかった思いを、母にぶちまける。

ロバートがジョギング仲間の女性と関係を持っちゃうけど、これはジュリエットよりロバートに同情したわ。
妻にまではっきり才能を否定されたら、やけになるのも無理はない。

みんなばらばらで、これはもう解散か?...
25年の重み。それぞれの長所もよくわかっている。
新しい調和に踏み出すのねえ。
楽団を去るピーターの思いに、じーんときました。

エンドロールで流れるベートーベン弦楽四重奏曲第14番。
演奏するのはブレンターノ弦楽四重奏団。同楽団の現役団員チェリスト、ニナ・リーが実名で出演しています。やっぱり本物は弾き方が全然違いますわ。

ピーターの亡き妻ミリアム役は、メゾソプラノ歌手のアンネ=ゾフィー・フォン・オッター。すばらしい歌声が聴けます。

(鑑賞日7月17日)

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コメント

シニアの方々は、曜日なんか、気にしませんよね。
この間も、おしんで、うさうさいました・・。

>メンバーそれぞれの長年の思いや感情が描かれますが、どれも共感できるものでした。
これ!お見事な脚本でした。
うまい描き方でした。ほんとに気持ちがよーくわかった~。

★sakuraiさん

弦楽四重奏に合わせた人間ドラマでしたね。

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