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2013年11月21日 (木)

フィルス

わけありのロクデナシ

Filth

公式サイト http://www.uplink.co.jp/filth

原作: フィルス (アーヴィン・ウェルシュ著/パルコ出版)

クリスマス・キャロルが街中で流れ出す季節のある晩に、残忍な日本人大学生殺人事件が起きた。この事件の捜査の指揮を任されたのは、エディンバラ警察のブルース・ロバートソン刑事(ジェームズ・マカヴォイ)。差別主義者にして性欲の権化。おまけにアルコールとドラッグの中毒も併せ持つ筋金入りのロクデナシ。しかし刑事として有能なのを自負する彼は、同じ部署の無能なライバルたちを出し抜いて事件を解決し、警部補への昇進を目論む。

※R18+

イギリス映画で、本国では大ヒット。原作は、「トレインスポッティング」と同じ著者。
フィルスの意味は「クズ」で、主人公はまさにクズ野郎。
フィルスには、スラングで「警察」の意味もあるそうです。

真面目で繊細な役が多いマカヴォイさんが、とんでもないやさぐれた悪徳刑事を演じています。

Filth_4
↑子供に向かってこんなポーズ

同僚の妻との不倫に売春。未成年者との淫行現場に踏み込むと、少女を脅して○ェ○させるなど、様々な悪行の数々。
警部補のポストがひとつ空き、その座を狙うライバルたちの評判を落とすべく、裏工作も怠らない。
とにかくひどい男です。

同僚には
隠れナチ
同性愛者のピーター
無能なガス(ゲイリー・ルイス)
ヤク中で短小の新米刑事レイ・レノックス(ジェイミー・ベル)

Filth_5

上司と寝ているはずのアマンダ(イモージェン・プーツ)

リッチな会計士でブルースと買春旅行に行くクリフォードに、エディ・マーサン

Filth_2

ブルースがいたずら電話をかけているクリフォードの妻は、シャーリー・ヘンダーソン

ブルースがかかっている精神科医に、ジム・ブロードベント

「リトルダンサー」で親子役だったジェイミーくんとゲイリー・ルイスが、同じ部署の刑事役ですよ。月日が流れましたねえ。
会計士の妻は、ハリポタの嘆きのマートル。

同僚の評判を落として出世を目論むゲスな様子を、コミカルに描いていくのかなと思いきや、意外な展開が待っていました。
主人公の内面があらわに。
色々なピースがあちこちにあったのも、わかります。
お下劣シーンの連続ですが、意外にも切なく悲しいおすすめ映画だった。
チラシの中央に書かれている「この男をお救いください!」も納得。
「トランス」といい本作といい、マカヴォイさんは役と演技の幅を広げてますねえ。

ここからは、ネタバレを含む感想です。

冒頭の殺人現場で、ある女性が近づいてくると、逃げ出す犯人グループ。
彼らが逃げ出すような人物って誰?と思ったけど、ブルースの悪行ぶりで、少し注意がそれていたところに、正体がわかって愕然!( ̄ロ ̄lll)

ブルースには妻キャロルと娘がいるはずなのに、何かおかしいなとは思っていたのよ。
それと、精神科医にかかっている理由。
なぜ、犯人達の顔を知っている?
最近読んだばかりの「セイフ ヘイヴン」の夫ケヴィンと、かなり重なっちゃったわ。映画では描かれていない、妻が家出してからのアル中のケヴィンの様子が、ブルースとそっくりなの。家はゴミだらけで散らかっている。妻がいなくて寂しい気持ちと、妻を恨む気持ちが入り混じる。自分勝手な思い込みと妄想。他の女性とセックスしても妻を思い出す。
自分ではばれないていないつもりでも、実はアルコールの臭いがプンプンして、周囲にはアル中なのがバレバレな現実とかね。

道で倒れている男性を助けようとするあたりから見え隠れする、ブルースの良心。
あら、こんなところもあったの?と思うのよ。

白人女は黒人男に○ェ○したりしないとのセリフも、ずっとあとに効いてくる。
妻が娘を連れて家を出た。妻の相手は黒人だった。
そのショックから立ち直れないまま、どんどん気持ちも生活も荒れていった。
昇進すれば、妻が帰って来ると思ったのかしら。
昇進どころか制服警官に降格された。

やっと現実を把握し、しっかりと制服に身を包んだ彼が選んだ道は、悲しい。
悲しく哀れな男の物語だった。

(鑑賞日11月19日)

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