ランナウェイ・ブルース (試写会)
お前はいい奴だよ
公式サイト http://runaway-blues.jp
3月15日公開
原作: The Motel Life (ウィリー・ヴラウティン著)
シェラネバダ山脈のふもと、ネバダ州リノの郊外に生まれた、ジェリー・リー(スティーヴン・ドーフ)とフランク(エミール・ハーシュ)のフラナガン兄弟は、幼くして孤児となった。兄と弟は自作の冒険譚を語り、兄はそれをイラストにして、日々の暮らしのつらさを笑い飛ばして生きてきた。そんなある日、ジェリー・リーが誤って車で少年をひいてしまった。自責の念に駆られたジェリー・リーは、自殺しようとするが死にきれず、病院に担ぎこまれる。警察の追及を逃れるため、フランクはジェリー・リーを病院から連れ出し、元恋人アニー(ダコタ・ファニング)の住むエルコヘ向かう。
2012年ローマ国際映画祭で、観客賞、最優秀脚本賞、最優秀編集賞、オンライン批評家賞の4賞を受賞というのを宣伝文句にしているようですが、有名でも権威がある映画祭でもないみたい。どういう内容の映画祭なのかしらね。
本作は地味だけど、じわ~っときました。
私の文章力ではうまく表現できない。 (いつもだけど)
アメリカには、この兄弟のような状況の人が多いのかなあ。
まともな親がいて、日本で生まれてよかったわ。
兄弟の父親は蒸発。母親は病死。
幼いふたりに親がいなくなれば、別々に引き取られてしまうと、母親は生前にふたりでよそへ行って決して離れずに暮らすように言い残しました。
母の死後町を出ようと、兄弟は走っている貨物列車に乗りこもうとして失敗し、兄は片足を失った。
結局町を出ることはできず、14才だったフランクは、年を偽って中古車販売店で働きました。
そこのオーナーのアール(クリス・クリストファーソン)が、「頭の中に隠れ家を作って、辛い事があった時は、そこへ行け、兄さんにも夢を話してやれ」と教えるんですね。
ふたりが住むモーテルの部屋には、兄が書いたイラストがいっぱい。
そんな風にして生きてきた兄弟。
ある日、帰宅したジェリー・リーの様子がおかしい。
車で少年をひいて、死なせてしまったという。そして遺体を病院の前に置いてきたと。
すぐにふたりで車に乗り、逃げようとしますが、兄は途中の店に寄った弟を置き去りにして走り去ってしまう。
兄は車を処分して自殺をしようとしますが、頭を撃つ事はできずに、足を撃って病院に担ぎ込まれます。
知り合いから兄が病院にいると知らされた弟は、すぐに病院に向います。
刑務所に行きたくない兄は、警察の捜査が自分に向いたら、病院から連れ出して欲しいと弟に頼みます。
弟に負担をかけて悪いと思いつつ、弟に頼らざるを得ない兄。
そんな兄を、見捨てられない弟。
ジェリー・リーがした事は悪いけれど、彼のような弱さは誰にでもあると思うの。
根が悪い奴ではないので、とてもやるせなかった。
ジェリー・リーは優しいけれど、弱い人間なの。
死なせた少年に家族がいるのか調べて欲しいと、兄は弟に頼みます。
兄の心の負担を少しでも軽くしようと、少年には両親や兄弟がいるけれど、里親をたらい回しにされていて身よりはいないと、兄に嘘をつく弟。
兄弟が優しく互いを思いやっている場面が度々あって、じーんときました。
以前フランクはアニーという恋人がいました。
ある日彼女の家に行くと、彼女が母親に売春をさせられていた場面に遭遇。それっきり別れてしまいました。
その後引っ越したアニーから手紙は来ていましたが、フランクが返事を書くことはなかった。
それでもリノからの逃亡先として浮かんだのは、アニーの住むエルコでした。
エルコに着いて、アニーと再会するフランク。
アニーは自立してひとり暮らし。真面目に働いていました。
フラナガン兄弟もアニーも不遇な家庭環境でしたが、頑張って生きてきた。
アールが言ったように、立派な男だよ、胸を張って生きていってねとフランクに言ってあげたいラストだった。
タフな男を演じる事が多いスティーヴン・ドーフが、精神的に弱い役なんて珍しい。こんな役もできるのね。
エミールくんもうまいわ。
兄と違って堅実だけど、どこか人生をあきらめているようなところがあるのよね。
ダコタちゃんの、悲しさを秘めた普通の女の子もよかった。
14歳のフランク役のアンドリュー・リーくんが、なかなかの美形だったの。
これからが楽しみだわ。
(鑑賞日3月6日)
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ドラマ
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