あなたを抱きしめる日まで
罪とは 赦しとは
公式サイト http://www.mother-son.jp
事実に基づいた映画
原作: あなたを抱きしめる日まで (マーティン・シックススミス著/集英社文庫)
監督: スティーヴン・フリアーズ 「ハイ・フィデリティ」 「クィーン」
製作・脚本・出演: スティーヴ・クーガン
イギリスに暮らす敬虔なフィロミナ(ジュディ・デンチ)は、ある日娘のジェーンに、長年の秘密を打ち明けた。50年前のアイルランドで、10代で未婚のまま妊娠したフィロミナは、家を追い出され修道院に入れられた。そして男の子を出産してアンソニーと名付けるが、その子が3才の時、修道院は養子に出してしまう。それ以来アンソニーを忘れたことのない母のために、ジェーンは政府の広報担当をクビになった、元ジャーナリストのマーティン・シックススミス(スティーヴ・クーガン)に話を持ちかける。再起を図るマーティンはその話を受け、信心深くて平凡な田舎の主婦フィロミナと無神論者でインテリ紳士のマーティンという、対称的なふたりのアンソニー捜しの旅が始まった。
フィロミナの相手は長く付き合ったのではなく、ゆきずりの相手みたいね。
母親は亡くなっていて、父親と2人暮らしだったらしいフィロミナは、妊娠すると勘当されて修道院へ。
出産後はただ働きで、子供とは一日に一時間しか会わせてもらえない。
修道院を出るには、お金を払わなければならない規則。
アンソニーと仲良しのメアリーを養女にというとても身なりのいい夫婦が来ましたが、アンソニーがメアリーから離れないため、アンソニーも一緒に連れて行かれました。
カトリック信者でないので、フィロミナがいた修道院に対してマーティンと同じ気持ちや憤りを感じる一方、彼らの法にとってはどうなのだろうと考えます。
カトリック教徒にとって、その罪の重さはどのくらいに位置づけられるのかは知りませんけど、未婚で妊娠する事は罪であり、当然罰がある。
そうなると、そもそもそれを知っていて妊娠したフィロミナが悪いとなる。
息子と一緒に暮らせなかった事も、その罪に対すると罰ともいえる。
すべては彼女の罪のせいである。
しかし、彼女はどの程度の性教育を受けていたのか。
何しろ60年も前で、しかもカトリック教徒が詳しい性教育を受けていたとは思えない。
映画の中でも、妊娠については教えてもらっていないような事言っていたものね。
教えを破った未婚の母たちへの仕打ちは仕方ないかも知れないけれど、子供には罪はないわよね。
養子に出された子達が、実母を捜しに来たのに嘘をつくのは許せないわ。
修道院もお金がなければ運営できないけど、子供を売っていたとわね。
一応お金持ちのアメリカ人たちで、ちゃんと養育してくれるであろうという家庭ではあったけど、書類を処分したというから、何か後ろ暗いところがあったのでしょう。
そういうことをしていたシスターたちは、それを罪とは思っていなかったのかしら。
フィロミナの罪とシスター達の罪は、どういう位置づけなのか聞いてみたくなります。
それにしてもめぐり合わせってあるのかな。
フィロミナひとりでは、息子の消息はわからないままだったでしょう。
様々な人脈やコネを持つシックススミスが協力してくれたので、知ることができた。
対称的なフィロミナとマーティンの旅の様子は、とてもユーモラスでイギリスらしかったです。
アンソニーは高い教育を受けて大きな家に住んでいた。それはフィロミナと暮らしていたら、できなかった事。立派に成人し、母親を恨んでいなかったようだし、会いたがっていたと知ったフィロミナは、どれほどうれしかったでしょう。そしてある意味、彼女のもとに帰ってきていたのですね。
悲しみもあるでしょうが、彼女が心の平安も得られたのであればいいなと思います。
シスターを赦すと言ったフィロミナもよかったわ。
辛くても、憎むより赦す事を選んだ彼女。
マーティンもBBC時代にアンソニーと会っていたなんて、なんというめぐり合わせでしょう。
袖振り合うも他生の縁。
目に見えないつながりがある人っているんだわ。
(鑑賞日4月4日)
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事実は小説より奇なり・・とはよく言ったもんですね。
ジュディ・デンチがまた素晴らしかった!さすがでした。
投稿: sakurai | 2014年5月29日 (木) 12:53
★ssakuraiさん
驚きの事実でした。
ジュディ・デンチって、本当にどんな役もこなしてしまいますね。
投稿: 風子 | 2014年5月29日 (木) 13:03