アメリカン・スナイパー (試写会)

両極端の場所を行き来する者たち

公式サイト　http://wwws.warnerbros.co.jp/americansniper
２月２１日公開

原作：　ネイビー・シールズ最強の狙撃手 (クリス・カイル著/原書房)
　　　　　早川書房から文庫本(題・アメリカン・スナイパー)が２月２０日に発売予定
監督：　クリント・イーストウッド

テキサス出身で幼い頃から父親に狩猟を教わって育ち、ロデオ・カウボーイをしていたクリス・カイル(ブラッドリー・クーパー)は、１９９８年のアメリカ大使館爆破事件のニュースを見て、愛国心から海軍に入隊し、ネイビーシールズの隊員となる。アメリカ同時多発テロ事件を契機に始まったイラク戦争に、カイルは２００３年に派遣される。人並み外れた狙撃の精度から“伝説”と称されるが、その一方で反乱軍からは懸賞金をかけられてしまう。故郷に残した家族を思いながら、スコープをのぞき、引き金を引き、敵の命を奪っていくクリス。４回にわたってイラクに送られた彼は、次第に心に深い傷を負ってしまう。

上映前に、鳥越俊太郎さんのトークショーがありました。
映画の感想の他に、以前イーストウッド監督にインタビューした時の事や、イラクに取材に行った時の事を話して下さいました。

自叙伝を基にした今回の映画。
製作に名前を連ねるブラッドリー・クーパーが、クリス・カイル本人に交渉して、映画化権を得たとか。
クーパーは役作りで、かなり体重を増やしてがっちりとした体になっていました。顔の輪郭も太くなってましたね。

これまでも、戦争によるＰＴＳＤの映画はいくつか見てきましたが、イラク戦争では、「勇者たちの戦場」かな。
２００８年の日本公開だけど、公式サイトがまだ残っています。
http://www.nikkatsu.com/yusha

今回の映画は戦場の緊迫感がすごくて、見ているだけでぐったりするほどでした。
２時間見ているだけでそうなんだから、実際に常に死と隣り合わで、一瞬たりとも気が抜けない場所に何ヶ月もいたら、急に気楽な日常生活にもどれって言うほうが無理よね。

戦場から突然、アメリカ本土での家族の様子が映ると、見ているだけでもそのギャップに戸惑います。クリスと彼の家族が、同時にこんなに違う場所にいるなんて。

エンドロールは、監督の演出により無音。
いつもはエンドロールになるとがやがやしたりしますが、観客もシーンとしていました。
戦争について考えさせられる映画でしたね。

厳しい訓練をパスしてシールズ隊員になったクリス。
結婚後、妻の妊娠中にイラクに狙撃兵として派遣が決まった。

自宅には妻子が待っているが、戦地では、兵器を所持している敵は、子供でも女性でも撃たなければならない。そしてそばにいた仲間でも、死んでいく者がいる。
クリスの心の葛藤が伝わってきます。

自宅に帰っても、戦地での生活と同様に、音や泣き声に反応してしまう。
体も心も戦地から離れていないのよ。

妻には、「フォックスキャッチャー」ではデイヴの妻役だったシエナ・ミラー。
死んでしまうかも知れない夫を待つ身は辛い。

戦地で敵を次々狙撃していくクリスだけど、自身はシリアの射撃のオリンピック選手だった優秀な狙撃手ムスタファに狙われる。

仲間が次々とムスタファに狙撃されて死ぬのを見て、ムスタファをしとめる事に執念を燃やすクリス。

こちらが本物のクリス・カイル夫妻

(鑑賞日２月１０日)