イミテーション・ゲーム／エニグマと天才数学者の秘密

天才の悲劇

公式サイト　http://imitationgame.gaga.ne.jp

実話に基づいた映画

原作：　エニグマ　アラン・チューリング伝 (アンドルー・ホッジス著/勁草書房)

１９５２年、ケンブリッジ大学のアラン・チューリング教授(ベネディクト・カンバーバッチ)の家に、泥棒が入った。近所の通報で駆けつけた警察を追い返そうとする教授に不審を抱いた刑事が、事情聴取をする。そこでチューリングは、驚愕の事実を語り始める。
第二次世界大戦下、ドイツ軍と戦う連合軍にとって、敵の暗号機“エニグマ”の解読は勝利のために欠かせない最重要課題だった。１９３９年、イギリスではＭＩ６のもとにチェスのチャンピオン、ヒュー・アレグサンダー(マシュー・グード)をはじめ、様々な分野の精鋭が集められ、解読チームが組織される。ケンブリッジ大学の研究員で、若き天才数学者アラン・チューリングはその一員となる。しかし彼は共同作業に加わろうとせず、勝手に奇妙なマシンを作り始めてしまう。次第に孤立を深めていくチューリングだったが、クロスワードパズルの天才ジョーン(キーラ・ナイトレイ)がチームに加わると、彼女がチューリングの良き理解者となり、周囲との溝を埋めていく。

カンバーバッチの演技につきますね。
他人とのコミュニケーション能力ゼロ。自分の理論にひたすら突き進む天才を演じたカンバーバッチが、見事ではまっています。
テレビドラマのシャーロックも、天才で変人だものね。

変人ぶりに笑えるし、あきれちゃう。
そして、天才の苦労と苦悩が伝わってきました。

話は、チューリングの寄宿学校時代、戦時中、戦後の様子が出てきました。

エニグマは第二次大戦時には解読されなかったとずっと言われていたけど、それはイギリスが５０年も公表しなかったからなのね。

エニグマの暗号のパターンは、なんと１５９の後にゼロが１８個。
しかも毎日設定が変わる。
チューリングは他のメンバーたちとは別行動で、解読用のマシン作りに専念。

そんな彼をデニストン中佐がクビにしようとすると、チューリングは首相に手紙を出してマシン作りを認めさせてしまうし、無能だと判断したメンバーをやめさせちゃう。
周囲の反感を買うのも当然よね。
そして代わりのメンバーは、新聞にクロスワードパズルを出題して有能な人材を探す。
それで一番優秀だったのは、ジョーン・クラークという女性。
彼女の両親が、独身の２５歳の娘が男性ばかりの職場で働くのを反対していると知ると、何としても彼女をメンバーに入れたいチューリングは、彼女と婚約までしちゃう。

ジョーンはマシンを作るにはヒューたちの協力も必要だといい、チューリングと周囲との橋渡し役になってくれました。
とっても賢い女性だったのねえ。

彼女のおかげで、チーム一丸となってエニグマ解読にあたります。

大金を投じたマシンの成果がなかなか出ないので、またもやデニストン中佐がチューリングを辞めさせようとしますが、今度は他のメンバーたちがチューリングの味方になってくれました。

女性通信員のふとした一言から、彼らはついに解読に成功！

しかし、そのあとがまた大変だったんですね。
解読したことを敵に悟られないためには、解読の事実を知る者は最小限にしなければならないし、敵のすべての攻撃を阻止するわけにはいかない。
その後の犠牲者を減らすため、見殺しにしなければならない人達がいる。
たとえそれが親兄弟であっても。

戦後彼らのチームは解散し、作戦の資料はすべて焼却された。

そして数年後、家に泥棒が入ったのに、何も盗まれていないと主張するチューリングをいぶかるノック刑事。チューリングがスパイではないかと疑うけれど、チャーリングが隠したいのは別の事だった。

昔のヨーロッパでは同性愛は違法で、犯罪者となってしまうのよね。
宗教的な要因が大きいのでしょうか。
いまだに欧米では、同性愛者に対する偏見や差別が大きいものね。
だから同性愛者である事を苦に、死ぬ人や死のうとする人がいる。

同性愛は病気だとして、治療しようとするなんていうのを洋画でよく見ますね。
病気じゃないし、治療できるものでもないわよね。

投獄されるよりホルモン注射を選んだというチューリングが、気の毒でならない。
でも当時は、同様な人が多くいたのでしょうね。
本当にかわいそう。

同性愛者というだけで不当な扱いをうけ、業績や才能も認められないなんて。
ただでさえ周囲に理解されない天才は孤独なのに、同性愛者である事を秘密にしなければならないから、チューリングはさらに孤独だったと思うわ。
せめてクリストファーが生きていたら、少しは違ったかもしれない。

４１歳で亡くなったチューリング。
もっと生きていれば、ジョブズみたいになったかもしれないのに。

(観賞日３月１４日)