ハイネケン誘拐の代償 (試写会)
格の差
公式サイト http://kidnapping.asmik-ace.co.jp
6月13日公開
実話を基にした映画
原作: De ontvoering van Alfred Heineken (ピーター・R・デ・ヴリーズ著)
監督: ダニエル・アルフレッドソン 「ミレニアム2 火と戯れる女」 「ミレニアム3 眠れる女と狂卓の騎士」
1983年、オランダ・アムステルダム。コル・ヴァン・ハウト(ジム・スタージェス)は、幼なじみのヴィレム(サム・ワーシントン)、カット(ライアン・クワンテン)、スパイクスの3人とともに経営していた建設業の会社が倒産して窮地に陥る。追い詰められた末にコルたちは、世界的ビール会社“ハイネケン”の経営者フレディ・ハイネケン(アンソニー・ホプキンス)を誘拐するという、大胆不敵な計画に全てを賭ける。そして予定通りハイネケンの誘拐に成功し、莫大な身代金の要求も行う。しかしその後は計画通りには進まず、人質であるハイネケンの傲慢な言動にも翻弄され、次第に仲間たちの歯車も狂いだす。
犯人達の視点で描かれているので、警察の捜査の様子は全く出てきません。
映画では犯人達を30代の俳優が演じていますが、実際には20代半ばだったらしい。
まだ若い素人による、ずさんな計画だった。
犯罪物としてより、人間ドラマとして見た方がいいと思う。
共同経営する会社が、不況によりピンチになったコルたち。
スーツ姿で銀行へ融資の相談に行くが、当然融資はしてもらえない。
お金に困ったコル達は、ビール会社“ハイネケン”の経営者フレディ・ハイネケンの誘拐を計画。素人の犯行と見破られないように、情報収集や武器調達の資金を作るため、なんと銀行強盗をする。
コル、ヴィレム、カット、スパイクス、そしてコルの弟ブレイクス。
この5人が計画を実行します。
コルの妻ソーニャはヴィレムの妹で、妊娠中。
ヴィレムの父親はハイネケンの工場に長年勤めていたが、クビになった。
カットは妻子持ち。
5人はフレディ・ハイネケンと、彼の運転手アブの誘拐に成功。
倉庫内に一見するとわからないように作った、完全防音の監禁部屋に、2人を別々に入れた。こういうのを作るのは、さすが建築業。
しかし、身代金を払うという連絡がない。
指定した期限を過ぎても来ない。
そうすると、この後どうするか、5人の意見が違ってくるんですね。
仲が良くて結束していた5人ですが、その結束が揺らぎ始めます。
一方人質のハイネケンは、怯えるどころか落ち着きを払っていて、食べ物や音楽に注文を付けたり、犯人達を心理的に揺さぶるような発言をします。
創始者の孫と言っても、会社を世界的な大企業にしたのはフレディ・ハイネケン。
やっぱり一代で財を成した人は、さすがにタフですねえ。
彼に比べると犯人達はひよっこ。
格の違いは明確ですね。
身代金目的の誘拐で難しいのは、お金の受け渡し。
なんとか身代金を受け取り逃げられると思った5人ですが、まいたと思っていた警察が追いかけて来た。
必死に逃げる5人ですが、それぞれの選択は別れてしまいました。
その後の彼らの人生にも、考えさせられますね。
「裕福には二通りある。大金を手にするか、大勢の友人を持つかだ。両方はありえない」というハイネケンの言葉にも納得させられるストーリー。
安易に犯罪に走ってしまった、若くて愚かな者たち。
でも素人であるという理由だけでなく、根っからの悪人でなかったから失敗したとも言えるかも。優しさや弱さを持っている。
妻子を置いて逃げる事が出来なかったカット。
妻に電話すれば捕まることがわかっていても、妊娠中の妻に電話せずにはいられなかったコル。
今でも身代金の大半は行方がわらかないそうだから、その点は創作なのでしょう。
犯人達は大金を手に入れたけど、結局使うことはできなかったって事ね。
オランダで製作された、ルトガー・ハウアーがハイネケンを演じた
「誘拐 狙われたハイネケン」(2011)も見てみたいですね。
(観賞日6月4日)
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作品について http://cinema.pia.co.jp/title/167198/
↑あらすじ・配役はこちらを参照ください。
1983年に起きた、ハイネケンの経営者誘拐事件に基づいています。
大富豪ハイネケン役の アンソニー・ホプキンス の
セレブな雰囲気に惹かれて、鑑賞しました。(ポスターより)
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» ハイネケン誘拐の代償 [Cest joli〜ここちいい毎日を♪〜]
ハイネケン誘拐の代償
14:ベルギー イギリス オランダ
◆原題:KIDNAPPING MR. HEINEKEN
◆監督:ダニエル・アルフレッドソン「ミレニアム2 火と戯れる女」
◆主演:アンソニー・ホプキンス、ジム・スタージェス、サム・ワーシントン、ライアン・クワンテン、マーク...... [続きを読む]
» ハイネケン 誘拐の代償 [マープルのつぶやき]
JUGEMテーマ:サスペンス映画全般
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「ハイネケン 誘拐の代償」
原題:Kidnapping Mr.Heineken
監督:ダニエル・アレフレッドソン
2015年 ベルギー=イギリス=オランダ映画 95分
キャスト:アンソニー・ホプキンス
ジム・スタージェス
サム・ワーシントン
ライアン・クワンテン
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1983年、幼馴染... [続きを読む]
TBありがとうございます。
おっ!鑑賞日がその日ということは、よみうりホールですか?
もしかしたら近くをすれ違っていたかもしれないですね。(笑)
>格の違いは明確ですね。
まさにその通りですね。
馬鹿な若い犯人達とハイネケンでは、人生の経験値が違いましたね。
投稿: すぷーきー | 2015年6月 7日 (日) 20:35
★すぷーきーさん
同じよみうりホールにいらしたんですね。
人生の修羅場を数々経験してきたであろうフレディ・ハイネケンを相手にするには、犯人達は経験不足過ぎましたね。
投稿: 風子 | 2015年6月 8日 (月) 09:22
TBありがとうございます。
犯人たちがあまりにバカばかりでしたね。
でもラストの字幕で出所後、コルとヴィレムはマフィアの巨匠になったと出ていたから、刑務所で地道もにコツコツ学習したのかな。
アンソニー・ホプキンスの存在感も大きかったです。
投稿: ミス・マープル | 2016年7月 6日 (水) 16:17
★ミス・マープルさん
刑務所で、ゆっくり考える事が出来たのかも。
投稿: 風子 | 2016年7月 6日 (水) 16:22