アリスのままで (試写会)
瞬間を生きる
公式サイト http://alice-movie.com
6月27日公開
原作: アリスのままで (リサ・ジェノヴァ著/キノブックス)
言語学者で、ニューヨークのコロンビア大学の教授アリス(ジュリアン・ムーア)は、家庭も仕事も順調で50歳の誕生日を迎えた。そんなアリスがUCLAでの講演中に、突然単語が思い出せなくなった。その後も、キャンパスでのランニング中に場所がわからなくなったりと異変が続くので、脳の検査を受けた結果、若年性アルツハイマー病だと宣告される。しかもそれは、子どもたちに50%の確率で遺伝してしまう家族性だった。
ジュリアンムーアが、米アカデミー賞主演女優賞を獲得した作品。
受賞のコメントで、
「最後に、2人の監督に感謝の気持ちを伝えたい。ウォッシュ・ウェストモアランドとリチャード・グラッツァー。彼らは今日ここにいることを望んでいましたが、リチャードの健康状態が良くないため、来ていません。リチャードがALSであるとわかったとき、ウォッシュが彼に聞いたんです。『何がしたい?旅行?世界中を見て回ろうか?』──彼の答えは映画を作ることでした。だから、ウォッシュはその願いを叶えたんです。」
彼女の受賞の3週間後に、リチャード・グラッツァー監督は亡くなりました。
若年性アルツハイマーというと、「私の頭の中の消しゴム」や「明日の記憶」などを思い出します。「半落ち」では、主人公がアルツハイマーの妻を殺害した。
若年性ではないけれど、「アイリス」は実話の映画化だった。
本作は発症した本人の視点を中心にしていますが、家族の戸惑いや苦悩もわかります。
内容は、目新しいものではありません。
アルツハイマー患者に理解と希望をというためなのか、どろどろした内容はなく、恵まれている状況だと思う。
ただ、アリスの病気が進行していく様子の演技はすごいです。
アルツハイマーは運動機能も失われていきますからね。
段々動かなくなるし、言葉も発しなくなる。
表情の違いにも注目です。
アリスは独身の時に、母と姉を事故で亡くしている。
たぶん両親は離婚したのでしょう。
父(どうやらろくでなし)とは疎遠だったが、その父も亡くなっている。
アリスの家族は、
夫ジョン (アレック・ボールドウィン) 医者
長女アナ (ケイト・ボスワース) 既婚者で、不妊治療中。
大学では法学部だったらしい。
長男トム (ハンター・パリッシュ) 医学院生
「セブンティーン・アゲイン」「恋するベーカリー」などに出演しているイケメン俳優ですね。
次女リディア (クリステン・スチュワート) ロサンゼルスで女優を目指す。
母親のアリスは、彼女にも大学への進学を望んでいる。
50歳の誕生日を、夫や子供たちに祝ってもらったアリス。
しかし単語が出てこない、ランニング中に方向がわからないなど、時々自分が変である事を自覚する。
そして、家族に内緒で検査を受けます。
医師には、検査結果を聞くのは家族と一緒にと言われたけど、ひとりで行きます。
精密検査が必要と言われ、今度は必ず家族の誰かと同伴でと念を押されます。
若年性アルツハイマーと診断され、子供たちにもその結果を伝えます。
知性と教養が高い人ほど、発見が遅れるとか。
そして若年性アルツハイマー病は、進行が早い。
教養があり、特に言語学者であるアリスにとって、段々記憶や言葉が失われていく自分は、自分でなくなってしまう。それは耐えがたい。
まだ、癌になった方がましだったというアリス。
長女の名前や誕生日すら忘れるようになったら、自殺したいと考えるのは無理ないでしょう。
しかし、自分にあてたビデオメッセージの存在すら忘れてしまう。
そして症状が進んでいくアリスを見ている家族は、とても辛いです。
外の風景で、八重桜が咲いたり紅葉した葉で、時間が経過しているのがわかる映像がよかったです。
アリスは一人きりではないからいいですよね。
こういう時、発病前の家族関係が影響すると思います。
アリスは家族を愛し、家族もアリスを愛している。
それが感じられて泣けました。
言葉や記憶が失われていっても、愛を感じる事は出来るのではないでしょうか。
(観賞日6月17日)
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ちなみに、現在54歳でした。(撮影時は52歳くらいかな?)
【ストーリー】
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作品について http://cinema.pia.co.jp/title/166823/
↑あらすじ・配役はこちらを参照ください。
主演:ジュリアン・ムーア
50歳で、若年性アルツハイマー病を発症した、言語学者アリスの物語。
“言語“を専門に研究してきた彼女が、まず、
言葉を忘れることから始まる皮肉……
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もしかしたら、数年前に発症していたんでしょうが、聡明な彼女は上手くカバーしていたんでしょう。
スピーチをやり遂げた後、転げ落ちるように進行していく病気、ここは痛々しかったですし、動画を見つけたとき、言われるままに彼女が行おうとした行為、あのまま飲んでいたらどちらが幸せだったのか?
いろいろ考えさせられた作品でした。
こちらからもTBお願いします。
投稿: atts1964 | 2015年6月30日 (火) 11:53
★atts1964さん
病気の進行を自分が自覚できるうちは辛いでしょうね。
本人も家族も大変ですね。
覚悟するしかないのでかな。
投稿: 風子 | 2015年6月30日 (火) 12:11
こんにちは☆
TBありがとうございます、
返礼Tbがうまくいっていないかもしれません。
そのときは、すみません,,,,,,
同じ世代なので、近い気持ちで鑑賞いたしました。
意識のさいごまで、愛に包まれていたいです。
ではでは☆
投稿: yutake☆イヴ | 2015年6月30日 (火) 20:06
★yutake☆イヴさん
この病気の知識はありませんが、
感覚というか、感情的なものというか、
そういうのが無くなるのは、
言葉よりずっと後なのではないかなあなんて思います。
投稿: 風子 | 2015年6月30日 (火) 20:13