ぼくらの家路 (試写会)
母を客観視する
公式サイト http://bokuranoieji.com
9月19日公開
10歳のジャック(イヴォ・ピッツカー)は、6歳になる弟のマヌエルの世話で毎日大忙し。優しいけれど、まだ若いシングルマザーの母は、恋人との時間や夜遊びを優先していた。ある日つい不注意から弟にやけどを負わせてしまったジャック。それが原因で、ジャックは施設に預けられることになる。施設になじめなず、上級生からいじめられるジャック。待ち続げた夏休みがようやく来るが、母から迎えが3日後になると電話が入る。がっかりしたジャックは、絡んできた上級生を殴り倒してしまい、そのまま施設を飛び出して家へ向かったが、母は不在で鍵もなく、携帯電話は留守番メッセージばかり。ジャックは母に伝言を残すと、預け先までマヌエルを迎えに行く。弟を連れて、母のいそうな場所を捜してベルリン中を駆け回る。
原題は「Jack」
俳優デビュー作だという主演のイヴォ・ピッツカー。
すごいですよ。とても初めてと思えません。
出ずっぱりの主演ですよ。
ずっと一人で奮闘する。
この映画の一番の見所は、この子役。
表情もいいですよー。
この子に心を打たれます。
お母さんは子供を愛してはいるんだけど、育児を優先してはいない。
暴力をふるうとか、子供を拒絶しているとかではないけれど、子供の気持ちを考えていない。
悪い人ではないけれど、親としての自覚が足りない。
一方、10歳にして大人にならなくてはならないジャックに、胸が痛みます。
どんな母親でも、子供には大好きな母親。
マヌエルがやけどした事で、児童福祉局はジャックを施設に入れるように促します。
育児が行き届かないと考えたからでしょう。
でも母や弟と一緒に暮らしたいジャックは、施設になじめず、いじめにもあう。
施設を飛び出したジャックは、必死に歩き続けて自宅にたどり着きます。
しかし母は不在で鍵もなく、家には入れない。
なかなか母が帰って来ないので、母が友人に預けた弟を迎えに行きます。
母は一日だけと言って預けたというのに、弟を引き取りにも来ていなかった。
ジャックは、全くの良い子というわけではありません。
弟と一緒に母の帰りを待ちますが、頼れる大人もいないし、お金も食べ物もないとなれば、する事は決まっています。
それでも母の職場や遊んでいそうな場所、元彼のところなど、弟を連れて心当たりを駆け回ります。
母に対する、ジャックの表情がうまい。
母はきっとまた同じ事を繰り返す。
母は自分や弟の事を真剣に考えていない。
ジャックはそう判断したのでしょう。
悲しい決断だけど、正解なのよ。
たくましさを感じるラストだけど、切なかったわ。
(観賞日9月11日)
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