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2015年10月26日 (月)

黄金のアデーレ 名画の帰還 (東京国際映画祭にて)

あの日オーストリアで

Woman_in_gold

公式サイト http://golden.gaga.ne.jp
11月27日公開

実話の映画化

監督: サイモン・カーティス  「マリリン 7日間の恋」

1998年、カリフォルニアで小さなブティックを経営しながら暮らすマリア・アルトマン(ヘレン・ミレン)は、ナチスに占領されたオーストリアから脱出してアメリカに亡命したユダヤ人。姉が亡くなり、その遺品から、姉が生前、オーストリア政府を相手に絵画の返還を求めようとしていた事を知る。マリアの伯母の肖像画で自宅にあったクリムトの「黄金のアデーレ」は、ナチスに奪われ、現在はオーストリア政府の所有で、ウィーンのベルベデーレ美術館に飾られていた。マリアは姉の遺志を継ごうと、友人の息子で新米弁護士のランディ・シェーンベルク(ライアン・レイノルズ)に相談する。

東京国際映画祭で映画を見るのは、5年ぶりです。
今回はヘレン・ミレンの舞台挨拶があるというので、チケットを買いました。

司会は伊藤さとりさん、通訳は鈴木小百合さんで、ヘレンさんと監督の舞台挨拶が始まりました。一般人も最初の方だけ撮影が許可されたんですよ。
持っててよかったデジカメ!
でもねえ、席が遠いから、マスコミカメラのフラッシュがすごくて、全身を撮ろうと思うとなかなかちゃんと映らないのよ。

H12_3

アップだとなんとかって感じでした。

H22

それにしてもヘレンは、70才とは思えない綺麗さ。
寝起きは綺麗じゃないと言っていましたが、誰でもそうでしょ。
好奇心が若さの秘訣かもと話してました。

とてもチャーミングでユーモアもあって、初来日である監督をパチンコに連れて行くわと言って、会場を笑わせていました。
監督はパチンコが何かわからないから、ちょっと怖いなあと言ってましたよ。(笑)

これの前に監督と対談したという石坂浩二さんが登場して、お2人に金色の花束を渡しました。

さて実話を基にした映画。
未亡人のマリア・アルトマンの回想の形で、オーストリアで暮らしていた時の様子が挿入されます。
裕福なユダヤ人の娘として、伯母と過ごした幼い日々、オペラ歌手であったフリッツとの結婚、そしてドイツの侵攻。

マリアが先頭に立って、積極的に絵画返還を要求したのかと思っていたのですが、どちらかというと弁護士のランディ方が、より強く絵画を取り戻したいと頑張ったようですね。
マリアは何度も諦めますが、そのたびにランディが背中を押しています。

Woman_in_gold_4

最初は、勝訴すれば莫大な金額が手に入ると思った弁護士のランディ。
しかしアデーレの遺言書などの調査のためにオーストリアへ行き、彼の気持ちが大きく変化したようです。
彼の祖父は有名な作曲家。裕福で多くの芸術家のパトロンとなっていたアデーレ夫妻と交際があったのでしょうね。彼のお母さんとマリアは昔からの友人。
そして彼の曽祖父母は、ホロコーストの犠牲となって亡くなっている。

マリアは辛く悲しい思い出が甦るオーストリアには行きたくなかったけれど、意を決してランディに同行しました。
二度と行きたくない国なのに、アメリカでの勝訴の後、調停のためにまたオーストリアへとランディに言われますが、拒否するマリア。
でも...

マリアの思いがひしひしと伝わってくる映画でした。
是非映画を見て、マリアがどんな思いで絵画の返還を要求したのか知ってほしいです。
決してお金目当てではないのです。
家族との思い出、奪われたアイデンティティー。
そしてナチスを歓迎した当時の政府への怒り。
泣ける場面もありましたし、笑えるユーモラスなシーンもありましたよ。

人はすぐに忘れてしまう。
しかし語り継がなくてはいけない歴史がある。
絵を見た時、思い出してほしい。

妻と幼い子供がいるのに、大手の法律事務所を辞めて借金だらけの生活になっても、絵画の返還のために頑張ったランディ。

協力してくれた妻役は、ケイティ・ホームズです。

Woman_in_gold_32

マリアとランディに協力してくれるオーストリア人ジャーナリストに、ダニエル・ブリュールWoman_in_gold_5

彼にも、マリアとランディに協力する理由があった。

アデーレを演じるのは、「マン・オブ・スティール」にも出演していた美人のドイツ人女優、アンチュ・トラウェ

Woman_in_gold_antje_traue

若き日のマリアの夫は、ジェレミー・アイアンズの息子、マックス・アイアンズ

Woman_in_gold_2

クリムト役に、モーリッツ・ブライプトロイ
「ピエロがお前を嘲笑う」の主演のトム・シリングも、自宅監禁されたマリア一家を監視するナチスの兵士役で出演しています。

NHKBSで放送しているイギリスのTVドラマ「刑事フォイル」のレギュラーのアンソニー・ハウエルも、ワンシーンだけ出演していました。

(観賞日10月24日)

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コメント

TBありがとうございます。
生ヘレン・ミレンを見たんですね、うらやましい!
てっきりマリアが主導で動くのかと思っていたら、ランディが引っ張っていましたね。
一度でいいから、本物の「黄金のアデーレ」を見てみたいですね。

★すぷーきーさん
諦めないランディがすごかったです。
絵も見たいですねえ。

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