完全なるチェックメイト (試写会)

天才の代償

公式サイト　http://gaga.ne.jp/checkmate
１２月２５日公開

実話に基づいた映画

監督：　エドワード・ズウィック　　「ラスト サムライ」　「ブラッド・ダイヤモンド」　「ラブ＆ドラッグ」

幼い頃からチェスの虜となったボビー・フィッシャー(トビー・マグワイア)は、１５才で最年少グランド・マスターとなり、世界一を目指していた。チェスの天才である一方、その思考は突飛で、行動は制御不能。傲慢な自信家で、自分の主張が通らないと大事なゲームすら放棄する。そんな奇行の天才が、米ソの冷戦真っ只中の１９７２年、アイスランドで世界王者であるソ連のボリス・スパスキー(リーヴ・シュレイバー)と対戦する。対局一局目はスパスキーに完敗し、二局目はボビーが会場に現れず、不戦敗となる。

チェスのルールは全く知りませんが、ボビー・フィッシャーの名前は聞いたことがありました。
彼が日本で生活していた事があるからか、日本で入国管理法違反の疑いで収容されたニュースからなのか。
それより前に、「ボビー・フィッシャーを探して」(１９９４年日本公開)って映画のタイトルの可能性が高いかな。映画は未見ですけどね。

↑ボビー・フィッシャーを描いた映画ではないけれど、実在のチェスの天才少年プレイヤー、ジョシュ・ウェイツキンの話。

今回の映画は、チェスの手よりも、ボビー・フィッシャーがどういう人物だったかを描いていると思う。
久々に、トビー・マグワイアの演技力が発揮されている主演作ね。
チェスの知識が全くないので、どんなにすごい手なのかがわからなかったのが残念です。

それにしても、たぐい稀な天才って、やっぱりどこかおかしい。
常人にはない能力を発揮する脳の回路がある反面、普通は真っすぐな回路が、こんがらがっているんじゃないかと思います。

異様に神経質で、強迫神経症だったのではと思いました。
アスペルガー症候群でもあったのかしら。
ボビーは精神的に明らかに病んでいて、医師の診察を受けさせようとする姉。
しかし治療しようとすれば、天才的なチェスの能力を失ってしまうだろうという、ボビーのセコンドをしているロンバーディ神父(ピーター・サースガード)。

優秀なチェスプレイヤーだった神父は、ボビーをよくわかっていたんだと思う。
天才とはどういうものなのかって事を。

愛国心と野心からボビーの弁護士となったポール・マーシャル(マイケル・スタールバーグ)も、ボビーの言動に振り回される。

ポールも、よくボビーみたいな男にずっと付いていたわよね。

冷戦中の米ソ両国の、威信をかけた対戦となったボビーとスパスキー。
当人たちは、そんな事は気にしていなかったみたい。
２人にとって大事なのは、チェスなのよ。

ボビーにとっては、チェスしか信用できなかったのかな。

長年の念願だった世界一に、名実ともになったボビー。
しかし世界一なのが証明されたら、目標が無くなったのかな。

ボビーの幼い頃を演じていたエイデン・ラヴカンプが、可愛かった。

完全なるチェス 天才ボビー・フィッシャーの生涯 (フランク・ブレイディー著/文春文庫)

(観賞日１２月１４日)