グランドフィナーレ (試写会)

老人にとっての未来と過去

公式サイト　http://gaga.ne.jp/grandfinale
４月１６日公開

監督：　パオロ・ソレンティーノ　　「グレート・ビューティー／追憶のローマ」

世界的にその名を知られる、英国人音楽家フレッド(マイケル・ケイン)は、作曲も指揮も引退し、ハリウッドスターやセレブが宿泊するアルプスの高級ホテルで休暇を過ごしていた。長年の親友で映画監督のミック(ハーヴェイ・カイテル)も一緒だが、彼は若いスタッフたちと新作の構想に没頭中だ。ある日、フレッドに英国女王から、彼の代表曲の指揮の依頼が舞い込むが、彼は頑なに断り続け、理由を話そうとしない。

女王のオファーを断った、著名な指揮者の実話から着想を得た物語だそうです。

みんながつながっているわけではないので、群像劇ではないけれど、高級ホテルの滞在客のそれぞれの人間模様という感じ。

ミックは、オスカーを２度獲得しているベテラン女優ブレンダ(ジェーン・フォンダ)を主演にした映画の脚本を、若手スタッフとともに執筆中。

ブレンダも、ミックに会いにホテルに来ます。

フレッドの娘のレナ(レイチェル・ワイズ)は、ミックの息子と結婚しているが、突然夫に離婚を切り出される。
夫に床上手の若いポップシンガーの恋人、パロマ・フェイス(本人役で出演)ができたからだ。
今は父のアシスタントをしているが、仕事ばかりで家庭を顧みなかった父を恨んでいた。
昔の父は浮気もしょっちゅうで、母を苦しめた。

ハリウッドの若手人気俳優ジミー(ポール・ダノ)は、次の作品の役作りのために滞在中。
ヒットしたロボット映画の役のイメージばかりが定着して、他が知られていないのが悲しいし不満。

ミスユニバースとか、太りすぎのマラドーナ、チベット仏教僧、ダンサー志望のマッサージ師、食事中に全く会話をしない夫婦など、様々な人物が登場。

そんなホテルの滞在客たちの様子や交流を通して、フレッドの心境に変化が起きます。

テンポがのろいですが、ユーモラスで皮肉もある。
幻想的な部分もある。
映像は美しかったです。
アルプスの風景は、特にきれいでした。

ただ、ラストシーンのハーヴェイ・カイテルは、どう解釈すればいいのかな。

ヴィクトリア・ムローヴァのヴァイオリン演奏や、ソプラノ歌手スミ・ジョーの歌声が聞けるフィナーレは、とてもゴージャスです。

(鑑賞日４月５日)