ルーム

子役が主役

公式サイト　http://gaga.ne.jp/room

原作：　部屋 (エマ・ドナヒュー著/講談社)
監督：　レニー・アブラハムソン　　「FRANK　-フランク-」

閉じ込められた［部屋］で暮らす、ママ(ブリー・ラーソン)とジャック(ジェイコブ・トレンブレイ)。ママはオールド・ニック(ショーン・ブリジャース)と呼んでいる男によって７年間も監禁されており、そこで生まれ育った息子にとっては、小さな部屋こそが世界の全てだった。ジャックが５歳になった時、ママはこの密室しか知らない息子に、外の世界を見せる事を決意する。

予告編などで、部屋から脱出できるのがわかっているからいいけど、前半は閉塞感と緊迫感で見ていて辛かった。

ブリー・ラーソンの主演女優賞受賞は納得の演技だけど、それ以上に息子役のジェイコブ君に驚いたわ。
生まれてからずっと部屋の中での生活しか知らず、外界を全く知らないという役柄を、あの年齢で理解しての演技なんてすごいわよ。
すごい子役がでてきちゃったわ。

それにしても、こういう拉致監禁された人は、解放されたからといって、苦しみが終わるわけではないのですよね。奪われた日々は戻らないし。
アメリカだけでなく、日本でもこのような事件があるのは辛く悲しいし、憤りを感じますね。

高校生の時に誘拐され、７年間“部屋”に監禁されて強姦され続けているママ。
そこで生まれ育ったジャックには、“部屋”が世界のすべて。

息子が５歳になり、ママは息子を部屋から脱出させる事を決意。
なんとかジェイコブが脱出して、警察に保護された母子。

ママのジョイは両親と再会できたが、両親は離婚していて、父親(ウィリアム・Ｈ・メイシー)は遠くに住んでおり、母(ジョアン・アレン)は別の男性と暮らしている。

ジョイとジェイコブは、ジョイの母ナンシーとレオ(トム・マッカムス)が暮らす家に住む事に。
ジョイの部屋は、誘拐される前のままだった。(壁にレオナルド・ディカプリオの写真があったわん)

ジェイコブには、ママ以外の人と話すことを始め、見るもの接するものすべてが初めて。
戸惑うことも多いけれど、少しずつ吸収して順応していく。

一方、自分を守ってくれる人はなく、ジャックを守るのは自分しかいないと、息子との生活のみを守るだけだったジョイは、その緊張は解けたけれど、“部屋”の外の現実が迫って来る。

誘拐され、強姦されて出産した、被害者としての自分。
両親は離婚しているし、父親は孫のジャックを見ようとしない。
そりゃねえ、娘の子供ではあるけれど、娘を誘拐して妊娠させた男の子供だものね。

母親とレオが、ジャックに優しく接してくれるのが救いよね。
特にレオが、とってもいい人でよかったわよ。

“部屋”の外で、自分の世界を広げていくジャックと、“部屋”の外の世界に押しつぶされていくジョイ。

心が壊れてしまったというか折れてしまったいうか、そんなジョイを、成長していくジャックが救ってくれる。
“部屋”を懐かしがるのかと思いきや、“部屋”の物たちにバイバイする様子にうるっときました。

(鑑賞日４月１４日)