トランボ ハリウッドに最も嫌われた男 (試写会)
赤狩り時代の脚本家
公式サイト http://trumbo-movie.jp
7月22日公開
原作: トランボ ハリウッドに最も嫌われた男 (ブルース・クック著/世界文化社)
監督: ジェイ・ローチ 「ミート・ザ・ペアレンツ」シリーズ
第2次世界大戦後の冷戦下で、赤狩りが猛威をふるうアメリカ。理不尽な弾圧はハリウッドにもおよび、売れっ子脚本家ダルトン・トランボ(ブライアン・クランストン)は、議会の下院非米活動委員会での証言を拒んで、議会侮辱罪に問われる。裁判で敗訴し、刑務所に収監された。出所後も仕事はなく、友人にこっそり脚本を託した「ローマの休日」がアカデミー賞を受賞し、彼は偽名で執筆を続ける。
「ヘイル、シーザー!」と共通する部分があるので、併せて見ると面白いと思います。
深刻な問題をユーモアを交えて描いて、エンターテイメント作品になっていました。
当時の実際の映像も使用されていました。
ただ、多少当時の社会事情とか映画とかに知識がないと、楽しめないかもしれません。
赤狩り時代は、本当に理不尽でひどかったらしい。
ハリウッドでも大勢が赤狩りの犠牲者で、チャップリンもハリウッドから追放されているわよね。
いい加減な密告で投獄された人も多かったらしいし。
映画ではトランボに焦点を当てているし、ユーモアもあるので、社会一般の赤狩りの犠牲者たちが、どれほど苦しみ苦労したかは伝わりません。
悲壮感をメインにしていないのは、コメディーが得意な監督だからかしら。
のちの大統領、ロナルド・レーガンは、当時俳優組合の委員長で、赤狩りに協力していたのねえ。
ジョン・ウェインも、赤狩りの協力者だった。
映画では、すごくやな奴にしか見えません。
「ヘイル、シーザー!」の記者のモデルの一人、ヘッダ・ホッパーをヘレン・ミレンが演じています。やっぱり、ヘレン・ミレンはうまいですねえ。
ヘッダ・ホッパーは、女優でもあったのね。彼女も赤狩りの推進派。
赤狩りで、困窮する脚本家たち。
生活のために、仲間を裏切る者もいる。
トランボの脚本家としての才能もあるけど、家族の支えがあったからこそ、苦しい時を乗り越えられたと思います。
特に妻のクレオ(ダイアン・レイン)が偉い!
この妻だからこそ、子供たちもしっかり育って父を支えたと思います。
長女ニコラ役は、エル・ファニングでした。
映画には出てこないけど、一家は身の危険を感じて、メキシコで暮らしていた時もあったそうです。
出所後、ハリウッドで仕事ができないトランボは、B級映画の制作会社で、数々の偽名を使って脚本を書きます。量が多くて一人ではこなしきれないと、トランボ同様にブラックリストに載っている脚本家仲間をたちを誘います。
まあ、この間にまたまた彼の脚本がアカデミー賞脚本賞を取ったりしているし、業界で噂になるのも当然でしょう。トランボを雇っている制作会社にも、共産主義者を解雇しろと圧力がかかりますが、社長が一喝!
社長を演じるジョン・グッドマンもうまい!
トランボに脚本を依頼するカーク・ダグラスが、すごく男気のあるいい奴に見えます。
演じるのは「ホビット」シリーズでフィーリ役のディーン・オゴーマン。
とにかくトランボは、思想弾圧と戦い続け、辛抱に辛抱を重ねて勝利した。
本当に才能ある脚本家だったんですね。
ラストの実際のトランボの演説は是非聞いてほしいです。
それにしても、共和党の大統領候補のトランプ氏に、赤狩りの頃と同じ危機感を感じますねえ。
試写会の終了後、ウィスキーのシーバスリーガルの小瓶をもらいました。
お土産付きの試写会は久しぶりです。
(鑑賞日7月7日)
« ウォークラフト | トップページ | フラワーショウ! »
「【映画】た行」カテゴリの記事
- トランスフォーマー/ONE(2024.10.05)
- デッドプール&ウルヴァリン(2024.08.05)
- チケット・トゥ・パラダイス(2022.12.14)
- TANG タング(2022.09.19)
- 峠 最後のサムライ(2022.06.25)
コメント
トラックバック
この記事へのトラックバック一覧です: トランボ ハリウッドに最も嫌われた男 (試写会):
» トランボ ハリウッドに最も嫌われた男。 [すぷのたわごと。]
『トランボ ハリウッドに最も嫌われた男』の試写会に行ってきました。
またまた実話をもとにした話。
正直に言うと、金を払ってまで観ようとは思っていなかった作品。
懸賞に当たって良かった。思ってたより面白かった。
原題は『 TRUMBO 』のみ。
赤狩りが猛威をふるうアメリカ。
売れっ子脚本家のダルトン・トランボ(ブライアン・クランストン)は、共産主義を理由に会社に切り捨てられ、議会での証言を拒んだことで投獄されてしまう。
やがて出..... [続きを読む]
» トランボ ハリウッドに最も嫌われた男 [♪HAVE A NICE DAY♪]
あらすじ
アカデミー賞脚色賞にノミネートされ、着実にキャリアを積んできたダルトン・トランボ(ブライアン・クランストン)。しかし、第2次世界大戦後の冷戦下に起きた赤狩りの標的となり、下院非米活動委員会への協力を拒否したことで投獄されてしまう。釈放後、彼は偽...... [続きを読む]
» トランボ ハリウッドに最も嫌われた男 [atts1964の映像雑記]
2015年作品、ジェイ・ローチ監督、ブライアン・クランストン主演。
第二次世界大戦中、アメリカとソ連は同盟を組んで戦った。 そして共産主義と手を握ったアメリカの中で、多くの国民がその共産主義に触れ、共産党に入党し、共産主義を主張していった。 しかし戦後、冷戦が起こり、ソ連は敵国となり、アメリカは共産主義排斥活動 “赤狩り” が猛威を振るうようになっていった。
売れっ子脚本家ダルトン・トランボ(ブライアン・クランストン)は、自ら書いた脚本の製作にも顔を出していた。 俳優のエ..... [続きを読む]
» 『トランボ ハリウッドに最も嫌われた男(Trumbo)』ジェイ・ローチ監督、ブライアン・クランストン、ダイアン・レイン、ヘレン・ミレン、ジョン・グッドマン、他 [映画雑記・COLOR of CINEMA]
注・内容、台詞に触れています。『トランボ ハリウッドに最も嫌われた男』Trumbo監督 : ジェイ・ローチ脚本・製作 : ジョン・マクナマラ出演 : ブライアン・クランストンダイアン・レイン、ヘレン・... [続きを読む]
» トランボ ハリウッドに最も嫌われた男・・・・・評価額1700円 [ノラネコの呑んで観るシネマ]
アメリカは、彼の何を恐れたのか?
1940年代から50年代にかけて全米で吹き荒れた、いわゆる“赤狩り”に抵抗し、社会から抹殺された名脚本家・ダルトン・トランボが、長きに渡る闘争の末に、“奪われた名”を取り戻すまでの物語。
華やかな黄金時代を代表するハリウッドの寵児が、その思想ゆえに仕事を奪われ投獄され、それでも彼は彼ならではのやり方で、表現することを決してあきらめない。
ブルース...... [続きを読む]
» トランボ ハリウッドに最も嫌われた男 [映画好きパパの鑑賞日記]
「ローマの休日」など数々の名作を書きながら、赤狩りの犠牲となり、名前を隠して活動した脚本家ダルトン・トランボの伝記映画。彼の不屈の精神とそれを支えた家族を格調高く描いた傑作。表現に不寛容になっている今だからこそ、多くの人に観てもらいたい作品です。 …... [続きを読む]
» 『トランボ ハリウッドに最も嫌われた男』 [beatitude]
第二次世界大戦後、共産主義排斥活動赤狩りが猛威を振るうアメリカ。その理不尽な弾圧はハリウッドにも飛び火し、売れっ子脚本家ダルトン・トランボ(ブライアン・クランストン)は、議会での証言拒否を理由に投獄されてしまう。やがて出所し、最愛の家族の元に戻ったものの、すでにハリウッドでのキャリアを絶たれた彼には仕事がなかった。しかし、友人にこっそり脚本を託した「ローマの休日」に続き、偽名で書いた別の作品でもアカデミー賞に輝いたトランボは、再起への歩みを力強く踏み出す...... [続きを読む]
» トランボ ハリウッドに最も嫌われた男 [映画と本の『たんぽぽ館』]
特定の者の意図した先導こそが恐ろしい
* * * * * * * * * *
1940年代後半~50年代、
米ソ冷戦のため、米国では「赤狩り」の動きがありました。
共産主義者への厳しい弾圧です。
ハリウッドの黄金期第一線で活躍した脚本家、ダルトン・トランボも
...... [続きを読む]
» トランボ ハリウッドに最も嫌われた男 [セレンディピティ ダイアリー]
1950年代の赤狩りの時代に「ローマの休日」などの名作を送り出した脚本家、ダルト [続きを読む]
» トランボ ハリウッドに最も嫌われた男/TRUMBO [我想一個人映画美的女人blog]
不朽の名作「ローマの休日」(53)の本編にクレジットされなかった真の脚本家、
ダルトン・トランボの苦難と復活の軌跡を映画化した実録ドラマ。
大好きなコメディ「オースティン・パワーズ」「ミート・ザ・ペアレンツ」シリーズの監督、
ジェイ・ローチがメガホンということで楽しみにしてました
1940年代~50年代にハリウッドを震撼させた...... [続きを読む]
» トランボ ハリウッドに最も嫌われた男★★★★ [パピとママ映画のblog]
1940年代から50年代にかけてアメリカで猛威をふるった赤狩りによってハリウッドを追われながらも、偽名で活動を続け、「ローマの休日」など数々の名作を世に残した不屈の脚本家ダルトン・トランボの苦難と復活の軌跡を映画化した感動の伝記ドラマ。いわれなき汚名による迫...... [続きを読む]
» トランボ ハリウッドで最も嫌われた男 [映画的・絵画的・音楽的]
『トランボ ハリウッドに最も嫌われた男』を日比谷のTOHOシネマズシャンテで見ました。
(1)映画『ヘイル、シーザー!』を映画評論家の町山智浩氏が解説している記事において、同氏が「この映画はね、奥の方でつながっている映画」であり、「これ、両方見ないとよくわ...... [続きを読む]
» トランボ ハリウッドに最も嫌われた男 [映画三昧、活字中毒]
■ TOHOシネマズ シャンテにて鑑賞トランボ ハリウッドに最も嫌われた男/TRUMBO
2015年/アメリカ/124分
監督: ジェイ・ローチ
出演: ブライアン・クランストン/アドウェール・アキノエ=アグバエ/ルイス・C・K/デヴィッド・ジェームズ・エリオット/エル・ファニング
公式サイト
公開: 2016年07月22日
米ソ対立が深まりつつあった1947年。アメリカでは共産...... [続きを読む]
» 「トランボ ハリウッドに最も嫌われた男」 Trumbo (2015 東北新社) [事務職員へのこの1冊]
ダルトン・トランボといえば、わたしの世代にとっては「ジョニーは戦場へ行った」の監督(原作と脚本も)。戦場で負傷し、目も見えず、口もきけず、聴覚も失ったジョニーは、壊死をふせぐために両手両足をも切断される。人間として見てもらえなくなった彼が、自分の意思をどのように伝えようとしたか、そして何を伝えたかったか...... [続きを読む]
» DVD:トランボ ハリウッドに最も嫌われた男 Trumbo 実力で暗黒時代を乗り切る男。公開時スルーを大後悔。今年のベスト10入りも! [日々 是 変化ナリ ~ DAYS OF STRUGGLE ~]
反ソな機運が高まり、マッカーシズムが吹き荒れた時代のアメリカ。
大学教授や政治の専門家だけでなく、映画界にも大きな悪影響を及ぼした。
主人公の脚本家ダルトン・トランボ もその1人。
だがこの不遇の時代も、この映画ではまだ半分もいってない。
...... [続きを読む]
» 映画「トランボ ハリウッドに最も嫌われた男」レビュー(ローマの休日、ジョニーは戦場に行ったの脚本家トランボの人生) [翼のインサイト競馬予想]
映画「トランボ ハリウッドに最も嫌われた男」のDVDを見たのでレビュー記事(感想)を書いてみたいと思います。(ネタバレは無しです。)YouTube 映画『トランボ ハリ ... [続きを読む]
» 「トランボハリウッドに最も嫌われた男」(2... [楽天売れ筋お買い物ランキング]
「トランボハリウッドに最も嫌われた男」(原題:Trumbo)は、2015年公開のアメリカの伝記ドラマ映画です。ブルース・クックの評伝「DaltonTrumbo」を原作に、ジェイ・ローチ監督、ブライア... [続きを読む]
» トランボ ハリウッドに最も嫌われた男 [こんな映画見ました~]
『トランボ ハリウッドに最も嫌われた男』---TRUMBO---2015年(アメリカ)監督: ジェイ・ローチ出演:ブライアン・クランストン、ダイアン・レイン、エル・ファニング、 ジョン・グッドマン 、 ヘレン・ミレン 、デヴィッド・ジェームズ・エリオット 、ディーン・オゴーマン、ロジャー・バート
1940年代から50年代にかけてアメリカで猛威をふるった赤狩りによってハリウッドを追われながらも、偽名で活動を続け、「ローマの休日」など数々の名作を世に残した不屈の脚本家ダルトン・トランボの苦難と復活... [続きを読む]
TBありがとうございます。
おっ!また同じ試写会だったみたいですね。(笑)
お土産が貰えたのも、映画が終わって拍手が起こったのも久しぶりです。
カーク・ダグラスがいい人でしたね~。
そしてトランボの家族がいい人たちでした。
トランボの仕事は、家族の支えがあってこそでしたね。
投稿: すぷーきー | 2016年7月16日 (土) 19:32
★すぷーきーさん
カーク・ダグラスって、こんなこともしていたんだなあと、
違ううれしい一面でした。
投稿: 風子 | 2016年7月16日 (土) 19:51
こんばんは♪
実名で色々な方も出てましたし
ローマの休日の事もそうでしたが
へぇ~へぇ~~と思いながら観ました♪
面白かったですね!
投稿: daisuki-johnny | 2016年7月28日 (木) 20:31
★daisuki-johnnyさん
トランボが書いた脚本で、
知っている作品がたくさんあって驚きました。
投稿: 風子 | 2016年7月29日 (金) 15:27
いやーこれは面白かった。伝記映画でもあるんですが、トランボの気骨と、奥さんの啖呵が何とも小気味よかった。
ジョン・ウエイン、ヘッダ・ホッパーは悪役で、ダグラス、B級社長が味方という対比もお白かった(^^)
でも複雑な時代でしたし、仕事よりも主義主張の時代だったんですね。
こちらからもTBお願いします。
投稿: atts1964 | 2016年8月 1日 (月) 12:02
★atts1964さん
ユーモラスで見やすかったです。
こういう事が繰り返されないために、
ちゅんと個々が自分で考えないといけないと思いました。
投稿: 風子 | 2016年8月 1日 (月) 12:49