ベストセラー 編集者パーキンズに捧ぐ
どんどん削ろう
公式サイト http://best-seller.jp
実話に基づいた映画
原作: 名編集者パーキンズ (A・スコット・バーグ/草思社)
1920年代のニューヨーク。ある日、編集者マックス・パーキンズ(コリン・ファース)の元に、出版社をたらい回しにされたという、無名の作家トマス・ウルフ(ジュード・ロウ)の原稿が持ち込まれる。彼の才能を見抜いたパーキンズは、感情のままに、際限なく文章を生み出すウルフに、出版の条件として膨大な原稿の大幅な削除を要求する。気の遠くなるような編集作業に取り組んだ2人の苦闘の末に完成した処女作「天使よ故郷を見よ」は、ベストセラーとなる。そして更なる大作に取りかかるふたりは昼夜を問わず執筆に没頭。パーキンズは家庭を犠牲にし、ウルフの愛人アリーン(ニコール・キッドマン)はふたりの関係に嫉妬し胸を焦がす。やがて第二作は完成し、またも大ヒット。その一方で、ウルフはパーキンズ無しでは作品を書けないという悪評に怒り、二人の関係に暗雲が立ち込める。
「奇蹟がくれた数式」と同じく、天才ってその才能をわかってくれる人がいない。
トマス・ウルフの才能に目をとめたのが、マックス。
あちこちの出版社にウルフの原稿を持ち込んだのは、彼のパトロンのアリーン。
夫と子供を捨てて、ウルフといる。
舞台の衣装デザインをしていたらしい。
こういうアーティストタイプの人って、激情家が多いのよね。
仕事に没頭している時は、他の事にかまっていられないのは当然。ましてや、これから小説家として身を立てようとしているんだから。
実際は18も年上だったそうです。それならそれくらい覚悟すべき。
ウルフにとって、自分の優先順位がずーっと低くなった事を悲しむのはわかるけど、銃を持ってマックスのところに来るなんて。
まあ、ウルフとアリーン、2人とも身勝手といえるけどね。
一方マックスは、妻と5人の娘がいた。
この人、食事をするときでも帽子を被ったまま。
いつでも被ったままなのよ。
フィッツジェラルド(ガイ・ピアース)やヘミングウェイ(ドミニク・ウエスト)を世に送り出した敏腕編集者。彼も、家族より仕事優先の毎日。
今年ノーベル賞を受賞した大隅良典さんも、研究第一だったので、奥さんがうちは母子家庭だからと言っていたと。
大隅さんだけでなく、日本のノーベル賞受賞者は、奥さんが支えてくれたとか、奥さんに苦労をかけたとおっしゃる方が多いですよね。
さて、作家だって商売なんだから、それで生計を立てるためには、買ってもらえる本を出版しなければならない。
ウルフの原稿は膨大なページ数で、とても手に取ってもらえる本にはならない。
そのため、ページ数を減らすための編集作業も、膨大な時間を費やす。
編集者は、自分が作者の作品を良くしているのではなく、もしかしたら別のものにしてしまっているのかもとの疑問を常に抱えながらも仕事をしている。
ウルフは、自分は編集者なしでも作品を作れると証明したい。
どちらの気持ちも共感できます。
作家と編集者は、相性もあるでしょうね。
互いの信頼関係がないとできない作業。
日頃は対照的な性格の2人です。
ウルフも夭折した作家。
彼の長い文章や、社交性に欠ける言動は、もしかしたら病気のせいもあったのかもしれないと思いました。
(鑑賞日10月11日)
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いつもTBありがとうございます。
投稿: mig | 2016年10月14日 (金) 23:44
★migさん
こちらこそいつもありがとうございます。
投稿: 風子 | 2016年10月17日 (月) 15:23
最後は悲しい別れでしたね。最後の“ラブレター”のシーンで初めてマックスが…というところはグッときました。
編集者と、作家、お互い立場が違いぶつかり合いながら、信頼が繋ぎ止めているという関係、いろんなところにこういう関係はありますが、その中からいろいろ生まれてくるんでしょうね。
こちらからもTBお願いします。
投稿: atts1964 | 2016年11月 1日 (火) 08:39
★atts1964さん
相手の才能や実力を認めていたから、
ぶつかり合いながらも進んでいけたのでしょうね。
投稿: 風子 | 2016年11月 1日 (火) 09:20