マンチェスター・バイ・ザ・シー
住むには辛すぎる町
公式サイト http://www.manchesterbythesea.jp
製作: マット・デイモン
アメリカのボストン郊外でアパートの便利屋をして孤独に生きる男リー(ケイシー・アフレック)は、兄ジョー(カイル・チャンドラー)の急死をきっかけに、ボストンのさらに北の港町マンチェスター・バイ・ザ・シーへと帰郷する。そしてジョーの遺言を預かった弁護士から、16歳の甥パトリック(ルーカス・ヘッジズ)の後見人に指名されていることを告げられ、戸惑うリー。ボストンで一緒に暮らす事を、リーはパトリックに提案するが、彼に激しく拒絶されて途方に暮れる。彼には、この町で暮らすにはあまりにも辛すぎる過去があった。
マット・デイモンが、製作、監督、主演を予定していた作品。
米アカデミー賞でもマットが司会者に、出演作選びを間違えたと言われてましたよね。
内容的には地味で静かな作品だけど、ごく普通の人間の心情を描いていて、誰でも共感できる。
ケイシー・アフレックは、兄の初監督作「ゴーン・ベイビー・ゴーン」での演技が評判だったし、「ジェシー・ジェームズの暗殺」では、ブラピより、断然ケイシーの演技が良かったと思いました。
本作で、米アカデミー賞主演男優賞を受賞。
ボストンで孤独に暮らすリー。
女性からの誘いにも、全く応じる気はない。
兄の危篤の知らせを受けて、病院に向かったが、すでに兄は死亡。
兄が自分を後見人に指定していたのは、寝耳に水。
しかも、兄の自宅で甥と暮らすようにとの指示。
しかしリーは、故郷のマンチェスター・バイ・ザ・シーに住みたくない。
それがなぜなのか、現在と過去の映像が交互に映し出され、次第にわかってくる。
リーは妻(ミシェル・ウィリアムズ)と、3人の子供と暮らしていた。
兄や甥とも仲が良かった。
ここからネタバレ感想です。
しかし、リーがビールを買いに行っている間に、火事で3人の子供を失った。
火事の原因は、リーが暖炉をつけた時に、スクリーンを忘れたため。
その夜リーは、男友達を大勢呼んで、自宅で酒やドラッグをやって騒いでいた。
妻が怒ったので友人達は帰り、リーはビールを買いに行った。
刑事責任は問われなかったが、自分を許せず警察で自殺未遂。
妻とは離婚。
一方、甥パトリックの母親は、アル中で家を出て行った。今はどこに住んでいるのか不明。
父も失ったパトリックは、その悲しみを表に出せないでいた。
プレイボーイで、ホッケー、バスケ、パンド活動もして友達も多い彼は、表面上は変わらずに過ごしていた。
母親と暮らせるかも思ったパトリックでしたが、母とその婚約者に会ってがっかり。
母は飲酒をやめたらしいが、母の婚約者からは、まだ彼女に“母親”は無理と言われる。
母親の婚約者で、マシュー・ブロデリックが出演していました。
子供を失っただけでも辛いのに、元妻ランディは再婚していて、リーの兄が亡くなった時は妊娠中。
リーはやがて、ベビーカーを押すランディに町で遭遇。
火事の後、ランディがどんなにリーを責めたかわかる、ミシェルの演技。
さすがです。
元妻に謝られ許されても、再婚相手との子供といる元妻を見るなんて無理無理!
この町にいれば、またランディと彼女の子供を目にすることになるでしょ。
そんなの耐えられないわよ。
いいよ、いいよ、この町に住まなくていいよと言ってあげたい。
リーが部屋に置いている、3つの写真立て。
何が写っているのかは見えないけれど、想像はつきますよね。
それを見て、パトリックもリーの心情を知る。
リーが自分を許せる日は来るのでしょうか。
(鑑賞日6月2日)
« 光をくれた人 | トップページ | キング・アーサー (試写会) »
「【映画】ま行」カテゴリの記事
- 名探偵ポアロ:ベネチアの亡霊(2023.10.01)
- ミッション:インポッシブル/デッドレコニング PART ONE(2023.08.10)
- モービウス(2022.04.09)
- メン・イン・ブラック:インターナショナル(2019.06.26)
- メリー・ポピンズ リターンズ(2019.02.12)
コメント
トラックバック
この記事へのトラックバック一覧です: マンチェスター・バイ・ザ・シー:
» マンチェスター・バイ・ザ・シー ★★★★ [パピとママ映画のblog]
「ジェシー・ジェームズの暗殺」「ゴーン・ベイビー・ゴーン」のケイシー・アフレックが心に深い傷を抱えた主人公を好演し、アカデミー主演男優賞をはじめ主要映画賞を総なめするなど各方面から絶賛された感動のヒューマン・ドラマ。ある悲劇をきっかけに故郷のマンチェス...... [続きを読む]
» マンチェスター・バイ・ザ・シー [映画1ヵ月フリーパスポートもらうぞ~]
評価:★★★★【4点】(11)
濃厚なスパイス料理が続くとお茶漬けが恋しくなる気持ち。
[続きを読む]
» ショートレビュー「マンチェスター・バイ・ザ・シー・・・・・評価額1750円」 [ノラネコの呑んで観るシネマ]
ふたたび、海からはじまる。
心に染み入る、極上のヒューマンドラマ。
古都ボストンから北東へ30マイル。
マサチューセッツ湾を望むマンチェスター・バイ・ザ・シーは、風光明媚な港町だ。
兄ジョーの急死をきっかけに、この街に戻って来た弟のリーと、彼が後見人を務めることになる16歳の甥っ子パトリックの関係を軸に、大きな葛藤を抱えた人々の人生模様が描かれる。
なぜリーは美しい故郷を捨て、...... [続きを読む]
» マンチェスター・バイ・ザ・シー [♪HAVE A NICE DAY♪]
面白かった。楽しい内容ではないけど・・・
今年観た中では「ラ・ラ・ランド」が一番ですが(私はですけど)
もしこの作品がアカデミー賞で作品賞に輝いてたら
納得するほどのストーリーでした。脚本賞獲りましたね
物凄く切ない物語ですが心に残る作品でした。
最後ま...... [続きを読む]
» マンチェスター・バイ・ザ・シー [セレンディピティ ダイアリー]
ケイシー・アフレック主演、ボストン近郊の小さな海辺の町を舞台にしたヒューマンドラマ。「ギャング・オブ・ニューヨーク」の脚本を手掛けたケネス・ロナーガンが監督・脚本を務め、マット・デイモンが製作に名を連ねています。
マンチェスター・バイ・ザ・シー(Manc...... [続きを読む]
» マンチェスター・バイ・ザ・シー [こんな映画見ました~]
『マンチェスター・バイ・ザ・シー』---MANCHESTER BY THE SEA---2016年(アメリカ)監督: ケネス・ロナーガン出演:ケイシー・アフレック、ミシェル・ウィリアムズ 、カイル・チャンドラー、ルーカス・ヘッジズ
「ジェシー・ジェームズの暗殺」「ゴーン・ベイビー・ゴーン」のケイシー・アフレックが心に深い傷を抱えた主人公を好演し、アカデミー主演男優賞をはじめ主要映画賞を総なめするなど各方面から絶賛された感動のヒューマン・ドラマ。ある悲劇をきっかけに故郷のマンチェスター・バイ・ザ... [続きを読む]
» 映画:マンチェスター・バイ・ザ・シー Manchester by the Sea 渋くアカデミー主演男優賞、脚本賞2冠、も納得の人間ドラマ。 [日々 是 変化ナリ ~ DAYS OF STRUGGLE ~]
アカデミーで、主演男優賞、脚本賞の2冠。
確かに主演のケイシー・アフレック、いつもいいが今回は更に存在感バツグン。
そして脚本も劇シブい。
ボストンと海辺の田舎町、を対比させながら、疲弊したアメリカ社会を描く。
主人公は地元の漁港マンチェスター・バイ・ザ・シーから距離を置き、ボストンに住んでいた。
ところが兄の急死で地元に呼び戻され、各位連絡、甥とともに遺体安置所へ、葬儀の手配 etc...... [続きを読む]
» マンチェスター・バイ・ザ・シー/MANCHESTER BY THE SEA [我想一個人映画美的女人blog]
泣くつもりなんてなかったんだけど
今年のアカデミー賞にて、作品賞ノミネート
ケイシー・アフレックが主演男優賞と、脚本賞で受賞
ある悲劇をきっかけに故郷のマンチェスター・バイ・ザ・シーに背を向けて生きてきた孤独な男が、
兄の突然の死で帰郷を余儀な...... [続きを読む]
» マンチェスター・バイ・ザ・シー [心のままに映画の風景]
アメリカ、ボストンの郊外で、便利屋として生計を立てるリー・チャンドラー(ケイシー・アフレック)は、兄ジョー(カイル・チャンドラー)の訃報を受け、故郷の港町マンチェスター・バイ・ザ・シーに戻る。
ジョーの遺言で甥にあたる16歳のパトリック(ルーカス・ヘッジズ)の後見人に指名されていたことを知ったリーは、ボストンで一緒に暮らそうと提案するが、パトリックは地元を離れることを頑なに拒む。
リ...... [続きを読む]
» 『マンチェスター・バイ・ザ・シー』 [真紅のthinkingdays]
MANCHESTER BY THE SEA
ボストン郊外。アパートの便利屋として世捨て人のように孤独に生きるリー
(ケイシー・アフレック)のもとへ、兄ジョー(カイル・チャンドラー)の訃報が届
く。帰郷したリーは、兄が遺した息子パトリック(ルーカス・ヘッジズ)の後見
人に、自分が指名されていることを知る。
マンチェスター・バイ・ザ・シ...... [続きを読む]
» マンチェスター・バイ・ザ・シー(2016) [銅版画制作の日々]
癒えない傷も、忘れられない痛みも。その心ごと、生きていく。
京都シネマにて鑑賞。アカデミー賞で主演男優賞をゲットしたケイシー・アフレックの作品。多分間違いないと思いますが・・・・。傑作ということでかなり期待して観にいったのですが。全体に淡々として正直退屈でした。
あらすじ(allcinemaより)
アメリカのボストン郊外でアパートの便利屋をして孤独に生きる男リー。兄ジョーの突然の死を受けてボストンのさらに北の港町マンチェスター・バイ・ザ・シーへと帰郷する。そしてジョーの遺言を預かった弁護士か... [続きを読む]
» マンチェスター・バイ・ザ・シー(Manchester by the Sea) [田舎に住んでる映画ヲタク]
「ジェシー・ジェームズの暗殺」「インターステラー」のケイシー・アフレックが主演し、心を閉ざして孤独に生きる男が、兄の死をきっかけに故郷に戻り、甥の面倒を見ながら過去の悲劇と向き合っていく姿を描いたヒューマンドラマ。「ギャング・オブ・ニューヨーク」の...... [続きを読む]
» 映画『マンチェスター・バイ・ザ・シー』★悲しみを知る人たちの“心の穴“に響く作品かと [yutake☆イヴの《映画★一期一会》]
作品について http://cinema.pia.co.jp/title/172223/
↑あらすじ・配役はこちらを参照ください。
主演:ケイシー・アフレック (=リー)
兄の死で、故郷(表題)に戻った男が
甥の後見人になったことで
過去の傷が、開かれる――
ケイシーは、寡黙でも、何かを抱えている男が絶品です!
“人生の再生“を謳う作品は多くあ...... [続きを読む]
» 「マンチェスター・バイ・ザ・シー」 [或る日の出来事]
叔父と甥の会話(言い合い)が、なかなか笑える。ユーモアがあっていい。 [続きを読む]
» 「マンチェスターバイザシー」 [Con Gas, Sin Hielo]
悲しみよこんにちは。
今年のアカデミー賞の主演男優賞と脚本賞を獲得。この2つの栄冠はまさに本作の群を抜いて秀でた要素であり、至極納得の結果である。
映画は海を走る船のシーンで幕を開ける。乗っているのは3人の男性で操舵士以外の2人、大人と子供が船尾で釣...... [続きを読む]
見終わってホッとして、後からジワジワ来る映画でした。
キャストもそれぞれ良かったけど、ケイシー・アフレックはあまり好きなタイプではなかったんですが、ちょっと見直した感じです。
投稿: 木蓮 | 2018年5月16日 (水) 08:48
★木蓮さん
胸が締め付けられる内容でした。
ケイシーは演技力のある俳優と、
以前から評価していました。
投稿: 風子 | 2018年5月16日 (水) 15:26