ヒトラーへの285枚の葉書
平和ではなく暴力が支配する世界になる
公式サイト http://hitler-hagaki-movie.com
実話を基にした映画
原作: ベルリンに一人死す (ハンス・ファラダ著/みすず書房)
監督: ヴァンサン・ペレーズ
1940年6月、戦勝ムードに沸くベルリンで質素に暮らす、軍需工場に勤めるオットー(ブレンダン・グリーソン)とナチの国家社会主義女性同盟のメンバーであるアンナ(エマ・トンプソン)夫妻のもとに、ひとり息子ハンスが戦死した知らせが届く。心のよりどころを失った二人は悲しみのどん底に沈むが、ある日、ペンを握り締めたオットーは「総統は私の息子を殺した。あなたの息子も殺されるだろう」と怒りのメッセージを葉書きに記し、それをそっと街中に置いた。ヒトラー政権を批判するささやかな活動を繰り返すことで、魂が解放されるのを感じる二人。だが市民からの通報を受け、ゲシュタポのエッシャリヒ警部(ダニエル・ブリュール)が捜査に乗り出す。
イケメン俳優だったヴァンサン・ペレーズも、50代なんですね。
こんな映画を監督するとはねえ。
フランス人かと思ったら、スイス生まれで父親はスペイン人、母親はドイツ人なのね。
ドイツの話だけど、映画のセリフは英語。
ドイツの敗戦が色濃くなった時ではなく、まだ戦勝ムードの時にこういう活動をした個人がいたのが驚き。
ヒトラーに賛同して最愛の息子を戦場に行かせたのに、届いた戦死の知らせ。
筆跡や指紋からばれないように政権批判の文章を書き、人の目に触れる場所にこっそり置いた。そんな事を3年もしていたらしい。
ほとんどの葉書きは警察に届けられ、届けられなかったのはほんのわずか。
世間で大きな反響を呼んだわけではないけれど、密かに共感した人はいたかも。
この葉書きを置いた人物を捜査する、エッシャリヒ警部。
置かれていた場所から、犯人が住んでいるであろう区域や人物像を絞り込んでいく。
有能だけど、そんな彼もナチス親衛隊の権力に屈せざるをえず、無実の者を有罪として葬り去らなければならなかった。
グリーソンとトンプソンの抑えた演技が良かったです。
ラストのダニエルくんも、とても良かったです。
届けられた全ての葉書きを読んでいるエッシャリヒ。
彼の心情がとてもよく表れていました。
戦争という狂気の中、何が真実か何が正義か見極めるのは難しいのですね。
気づいた時には、時すでに遅しとならないようにしなくてはね。
現代でも同じですね。
(鑑賞日7月21日)
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