ハクソー・リッジ
もやい結びで もうひとり あともうひとり
公式サイト http://hacksawridge.jp
実話を基にした映画
監督: メル・ギブソン
バージニア州で育ったデズモンド(アンドリュー・ガーフィールド)は、看護師のドロシー・シュッテ(テリーサ・パーマー)と恋に落ち、心躍る時を過ごしていた。だが第2次世界大戦が日に日に激化し、デズモンドの弟も周りの友人たちも次々と出征する。子供時代の苦い経験から、「汝、殺すことなかれ」という教えを大切にしてきたデズモンドは、「衛生兵であれば自分も国に尽くすことができる」と陸軍に志願する。しかし基地での訓練で銃に触れることを拒否し、上官や他の兵士たちから執拗ないやがらせを受けるようになる。それでも決して信念を曲げないデズモンドは、とうとう軍法会議にかけられてしまうが、ついには彼の主張が認められ、晴れて衛生兵として戦場に立つことを許可される。こうして彼は、日本軍との激戦の地、沖縄の前田高地、通称ハクソー・リッジへと赴く。
敬虔なカトリック信者で、ハリウッドスターには珍しく離婚歴もなく子沢山だったのに、10年くらい前、私生活のスキャンダルや問題発言でハリウッドから干されたメル・ギブソン。
久々に監督業に復帰。
前半は、銃の訓練を拒否するデズモンドの苦闘。
アメリカには、宗教上の理由での「良心的兵役拒否」なんていうのが認められているんですね。
デズモンドは人は殺したくないけれど、友人たちが次々と出征し、兵役検査で不適格となった若者二人が自殺。自分だけ家にいる事は出来ないと、志願して入隊。
しかしねえ、他の兵士たちにすれば、銃を持ちたくないのに、なぜ入隊したって思うのは当然ですよね。銃を持たずに戦地に行けば、すぐに撃たれて死んじゃうかもしれないでしょ。
仲間を助けるどころか、足手まといになると考えるのも無理はない。
他の新兵や上官たちは、なんとかデズモンドを除隊させようとします。
グローヴァー大尉(サム・ワーシントン)
ハウエル軍曹(ヴィンス・ヴォーン)
しかしどんな嫌がらせを受けても、彼の信念は決して揺るがない。
そんな彼は、ついには命令拒否として、軍法会議にかけられる。
公式サイトによると、デズモンドが銃を持つのを拒否したのは、信仰心と共に、酔った父がケンカになった叔父に銃を向けた事があったらしい。映画では叔父が母に置き換えられていますけど。
デズモンドの父親(ヒューゴ・ウィーヴィング)は、第一次世界大戦で心に傷を負い、アル中になり、日々家族に暴力をふるっていた。
その父親が古い軍服を着て、軍法会議にかけられた息子を助けようとするのは、涙を誘います。
後半は、壮絶な戦争のリアルな描写。
日本兵を悪として描くのではなく、リアルな戦場の様子を見せつける。
手や足、頭も吹っ飛び、内臓も飛び出す。
死体だらけの中、敵も味方も必死で戦い、更に犠牲者は増え続ける。
戦争は、勝っても負けても多くの犠牲を伴うもの。
生き残っても、心身共に傷は大きい。
ハクソー・リッジに行く途中、死体の山や負傷兵を乗せたトラックが、次々とデズモンドたちの横を通り過ぎていく。
そしてデズモンドたちがハクソー・リッジを登ると、日本兵の激しい攻撃を受け、撤退を余儀なくされた。
しかしデズモンドは、仲間が撤退した後も残り、負傷兵を崖から降ろし続けた。
彼は味方だけでなく、日本兵も助けていた。
本当にすごい人ですね。
真の勇者でしょう。
それにしても、よく死ななかったなあと思いました。
敵を攻撃する武器だけでなく、身を守る武器さえ持っていないんですよ。
デズモンドを臆病者と評していた仲間や上官も、彼への認識を一新。
ドスさん本人は、1969年と1995年に沖縄を訪れているそうです。
1995年の来日は、米陸軍の戦後50年記念行事などに参加するためで、その時に取材した日本人記者さんの記事を見ました。
(https://ryukyushimpo.jp/news/entry-521541.html)
ドスさんも負傷して陸軍病院に入院中は、戦時の光景がよみがえる悪夢に苦しみ、自身の体験を語ることで克服することができたとあります。
(鑑賞日6月30日)
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» 「ハクソー・リッジ」 [或る日の出来事]
銃を持たずに、人を助けることで、彼は戦った。 [続きを読む]
» 『ハクソー・リッジ』 2017年6月15日 よみうりホール [気ままな映画生活 -適当なコメントですが、よければどうぞ!-]
『ハクソー・リッジ』 を試写会で鑑賞しました。
メル・ギブソンは監督に転向した方がいいね
【ストーリー】
第2次世界大戦中、デズモンド(アンドリュー・ガーフィールド)は、人を殺してはいけないという信念を持ち、軍隊に入ってもその意思を変えようとしなかった。彼は、人の命を奪うことを禁ずる宗教の教えを守ろうとするが、最終的に軍法会議にかけられる。その後、妻(テリーサ・パーマー)と父(ヒューゴ・ウィーヴィング)の尽力により、デズモンドは武器の携行なしに戦場に向かうことを許可され……。
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神さま、あと一人だけ。
「アポカリプト」以来、10年ぶりとなるメル・ギブソン監督作品。
第二次世界大戦下の沖縄で、信仰ゆえに不殺の誓いをたて、一切の武器を持たずに、75名もの負傷兵を救出した衛生兵、デズモンド・ドスを描く実話ベースの物語だ。
アンドリュー・ガーフィールドが「沈黙-サイレンス-」に続いて、再び日本の地で信仰を問われる。
なんかこの人、前世で日本に縁があるのでは?...... [続きを読む]
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作品について http://cinema.pia.co.jp/title/171672/
↑あらすじ・配役はこちらを参照ください。
監督:メル・ギブソン
衛生兵デズモンド:アンドリュー・ガーフィールド
第二次大戦:沖縄戦での実話だそうです。
あらすじにあるように、銃を持つことを拒んだ男が
衛生兵として、戦地で救命に尽力します。
実は…ちょっと、鑑賞を迷っ...... [続きを読む]
» 『ハクソー・リッジ』のウソとマコト [映画のブログ]
【ネタバレ注意】
デズモンド・ドス上等兵が、日本軍との戦争のさなかに日本兵を助けたのは本当なのだろうか?
戦争映画は幾つも観たが、戦闘シーンで涙が止まらない映画ははじめてだった。
『ハクソー・リッジ』は、米国バージニア州の職人デズモンド・ドスが、モーセの十戒の一つ「汝、殺すなかれ」を胸に刻みながら戦争に臨む話だ。
1919年に生まれ、2006年に87歳で没したド...... [続きを読む]
» 「ハクソー・リッジ」☆度胆を抜かれるかつてない臨場感 [ノルウェー暮らし・イン・原宿]
見事である。
今までの戦争映画が足元にも及ばないと思ってしまうくらいのリアルな臨場感。
「野火」のグロさに匹敵する血肉飛ぶ戦場の惨状が、目の前にまざまざと見せつけられながら、そこには一筋の希望と癒しがあるという素晴らしさ。
メル・ギブソン監督に惜しみない拍手を!!... [続きを読む]
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世界一の臆病者が、英雄になった理由とは――
MOVIX京都にて鑑賞。いやあなかなか面白かったです。武器も待たずよくもまあ生き延びれたものだと感心。しかもこれ実話だというのだから二度びっくり!アンドリュー・ガーフィールド、この役ぴったりでしたね。何となく弱弱しさも、キャラ的にあるから本当にぴったりでした。でもここまでかたくなに武器を持たないと決めた主人公の意志にはびっくりしました。
平和に暮らしていたとは言えないけど、父の母への暴行にピストルを向けてから自ら銃は持たないと決めた様子。
可愛... [続きを読む]
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メル・ギブソンと言えば
演技は勿論、監督になっても「やや?かなり?エキセントリック」
なので、気になっちゃう点が、 3つ も!(笑)
その1.
監督が「エキセントリック」なので、過去のごとく「暴力シーンがエグい!」
鑑賞してみると、確かにエグいシーンは多いが、そのエグさを感じきる前に、シーン転換。
なので、ハキソー(吐きそー)リッジ、には至らない。
このへんの...... [続きを読む]
» ハクソー・リッジ 監督/メル・ギブソン [西京極 紫の館]
【出演】
アンドリュー・ガーフィールド
サム・ワーシントン
テリーサ・パーマー
ヒューゴ・ウィーヴィング
【ストーリー】
第2次世界大戦中、デズモンドは、人を殺してはいけないという信念を持ち、軍隊に入ってもその意思を変えようとしなかった。彼は、人の...... [続きを読む]
今だったら反戦運動をしていたと思います。でもあの時代ではもう世界中が戦争に熱せられていましたから、デズモンドはあの選択をしてしまったし、他の兵士は違和感を感じたのは無理もないですね。
“戦争とはこういうものだ!”という沖縄戦の描写、近年一番壮絶な戦争シーンだったと思います。
いつもTBありがとうございます。
投稿: atts1964 | 2017年7月 5日 (水) 08:39
★atts1964さん
メル・ギブソン監督作なので宗教色が強めでしたが、
見ごたえのある映像とドラマでした。
投稿: 風子 | 2017年7月 5日 (水) 14:56