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2017年7月 4日 (火)

ハクソー・リッジ

もやい結びで もうひとり あともうひとり

Hacksaw_ridge

公式サイト http://hacksawridge.jp

実話を基にした映画

監督: メル・ギブソン

バージニア州で育ったデズモンド(アンドリュー・ガーフィールド)は、看護師のドロシー・シュッテ(テリーサ・パーマー)と恋に落ち、心躍る時を過ごしていた。だが第2次世界大戦が日に日に激化し、デズモンドの弟も周りの友人たちも次々と出征する。子供時代の苦い経験から、「汝、殺すことなかれ」という教えを大切にしてきたデズモンドは、「衛生兵であれば自分も国に尽くすことができる」と陸軍に志願する。しかし基地での訓練で銃に触れることを拒否し、上官や他の兵士たちから執拗ないやがらせを受けるようになる。それでも決して信念を曲げないデズモンドは、とうとう軍法会議にかけられてしまうが、ついには彼の主張が認められ、晴れて衛生兵として戦場に立つことを許可される。こうして彼は、日本軍との激戦の地、沖縄の前田高地、通称ハクソー・リッジへと赴く。

敬虔なカトリック信者で、ハリウッドスターには珍しく離婚歴もなく子沢山だったのに、10年くらい前、私生活のスキャンダルや問題発言でハリウッドから干されたメル・ギブソン。
久々に監督業に復帰。

前半は、銃の訓練を拒否するデズモンドの苦闘。

アメリカには、宗教上の理由での「良心的兵役拒否」なんていうのが認められているんですね。
デズモンドは人は殺したくないけれど、友人たちが次々と出征し、兵役検査で不適格となった若者二人が自殺。自分だけ家にいる事は出来ないと、志願して入隊。

Hacksaw_ridge_4

しかしねえ、他の兵士たちにすれば、銃を持ちたくないのに、なぜ入隊したって思うのは当然ですよね。銃を持たずに戦地に行けば、すぐに撃たれて死んじゃうかもしれないでしょ。
仲間を助けるどころか、足手まといになると考えるのも無理はない。
他の新兵や上官たちは、なんとかデズモンドを除隊させようとします。

Hacksaw_ridge_5
グローヴァー大尉(サム・ワーシントン)
ハウエル軍曹(ヴィンス・ヴォーン)

しかしどんな嫌がらせを受けても、彼の信念は決して揺るがない。
そんな彼は、ついには命令拒否として、軍法会議にかけられる。

公式サイトによると、デズモンドが銃を持つのを拒否したのは、信仰心と共に、酔った父がケンカになった叔父に銃を向けた事があったらしい。映画では叔父が母に置き換えられていますけど。

デズモンドの父親(ヒューゴ・ウィーヴィング)は、第一次世界大戦で心に傷を負い、アル中になり、日々家族に暴力をふるっていた。
その父親が古い軍服を着て、軍法会議にかけられた息子を助けようとするのは、涙を誘います。

Hacksaw_ridge_7

後半は、壮絶な戦争のリアルな描写。
日本兵を悪として描くのではなく、リアルな戦場の様子を見せつける。

手や足、頭も吹っ飛び、内臓も飛び出す。
死体だらけの中、敵も味方も必死で戦い、更に犠牲者は増え続ける。
戦争は、勝っても負けても多くの犠牲を伴うもの。
生き残っても、心身共に傷は大きい。

ハクソー・リッジに行く途中、死体の山や負傷兵を乗せたトラックが、次々とデズモンドたちの横を通り過ぎていく。

そしてデズモンドたちがハクソー・リッジを登ると、日本兵の激しい攻撃を受け、撤退を余儀なくされた。

Hacksaw_ridge_2

しかしデズモンドは、仲間が撤退した後も残り、負傷兵を崖から降ろし続けた。
彼は味方だけでなく、日本兵も助けていた。

本当にすごい人ですね。
真の勇者でしょう。
それにしても、よく死ななかったなあと思いました。
敵を攻撃する武器だけでなく、身を守る武器さえ持っていないんですよ。

デズモンドを臆病者と評していた仲間や上官も、彼への認識を一新。

ドスさん本人は、1969年と1995年に沖縄を訪れているそうです。
1995年の来日は、米陸軍の戦後50年記念行事などに参加するためで、その時に取材した日本人記者さんの記事を見ました。
(https://ryukyushimpo.jp/news/entry-521541.html)

ドスさんも負傷して陸軍病院に入院中は、戦時の光景がよみがえる悪夢に苦しみ、自身の体験を語ることで克服することができたとあります。

(鑑賞日6月30日)

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コメント

今だったら反戦運動をしていたと思います。でもあの時代ではもう世界中が戦争に熱せられていましたから、デズモンドはあの選択をしてしまったし、他の兵士は違和感を感じたのは無理もないですね。
“戦争とはこういうものだ!”という沖縄戦の描写、近年一番壮絶な戦争シーンだったと思います。
いつもTBありがとうございます。

★atts1964さん
メル・ギブソン監督作なので宗教色が強めでしたが、
見ごたえのある映像とドラマでした。

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