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2020年2月10日 (月)

ザ・ピーナッツバター・ファルコン

善悪を決めるのは魂
友達は自分で選べる家族

The-peanut-butter-falcon

公式サイト http://tpbf-movie.jp

老人の養護施設で暮らすダウン症の青年ザック(ザック・ゴッツァーゲン)は、子どもの頃から憧れていたプロレスラーの養成学校に入るために、ある日施設を脱走する。一方兄を亡くした孤独な漁師のタイラー(シャイア・ラブーフ)は、無許可で漁をしていて地元漁師とトラブルになり、ボートで逃亡を図る。ところが、そのボートにはザックが隠れていた。最初はザックを追い払おうとしていたタイラーだったが、一緒に旅を続けることに。やがてザックを探してやってきた施設の看護師エレノア(ダコタ・ジョンソン)も、彼らの旅に加わるのだった。

主演のザック・ゴッツァーゲンはダウン症。
幼い頃から演技に興味を持ち、演劇学校(?)を出て俳優兼ダンサーとして、インディペンデント映画などに多数出演しているそうです。
34歳だけど、映画では22歳の設定。
大昔ダウン症の人は、3歳くらいまでには亡くなっていたらしい。
現代では医療の発達で、日本などではかなり長生きになってきている。

この映画が作られたきっかけは、共同監督をつとめたマイケル・シュワルツとザックの出会いで、「映画スターになりたい!」と夢を語るゴッツァーゲンに「それは叶いっこない。」とシュワルツが答えると、「じゃあ、君たちが僕のために映画を作ってくれよ。」と言ったそうです。

シャイア演じるタイラーは漁師。
音声はないけれど、度々出る回想シーンで、兄(ジョン・バーンサル)とはとても仲が良かったけれど、タイラーの居眠り運転が原因で亡くなったらしいと推測されます。兄が亡くなり、漁業権を失って生活に困っている様子。

一方ザックは、ダウン症で身寄りがないため、州の規定で施設にいるらしい。空いている施設が老人の介護施設だったらしい。
しかし青年の彼に、老人しかいない場所で外にも出られず、死ぬまで生活させるのは可哀そうよね。
そう思うから、彼の脱走に協力してくれる老人たちがいるのだと思う。
ブルース・ダーンもいいじいちゃんです。
施設では、2度脱走しようとすると危険人物となってしまい、ザックの部屋の窓に鉄格子。

逃亡者となったタイラーとザックが出会い、最初はザックをうっとおしく思うし、自分が指揮をとるタイラー。
でも一緒に旅をするうち、お互い支えあい応援しあう仲になる。
ザックがタイラーの肩を抱く場面がとてもいい。

タイラーはザックをダウン症だからという風には見ていない。
ダウン症だから何もできないわけではない。
誰でもできる事できない事があるし、善人か悪人かは魂で決まるもの。

タイラーはザックを探しに来たエレノアに、言葉で見下していなくても、彼女のしている事は同じだというんですね。
施設でザックの世話をしていたエレノアですが、必要のないサポートまでしようとするのです。
優しくてかいがいしいかもしれませんが、ザックは幼い子供ではないのです。

エレノアは未亡人。
タイラー同様、大事な人を亡くしている。

ザックが憧れるプロレスラー、ソルトウォーター・レッドネック(トーマス・ヘイデン・チャーチ)。
とっくに引退している彼ですが、ザックのためにできるだけの事をしてくれます。

ザックといると、みな優しくなれる気がします。
ザックの持つ魅力が、この映画を包んでいるように思いました。

都合のいい展開も多々ありますが、ラストでじんわり涙が出ました。

(鑑賞日2月7日)

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